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2021年4月の記事一覧

【詩】人まかせ

【詩】人まかせ

約束の日を待ち侘びて

何も動かない 動けない

言い訳ばかり 脳内警報

純然たる理性を噛み締める瞬間は

嫌いじゃない

人を人たらしめる要素が

内から生まれる喜びよ

補完される安心を手にすること

確約された世界なんてはない

あの日あのとき気付かされたはずのなのに

そのしがらみから抜けられない

ブレインウォッシング

誤った漂白が生み出した

美しいタイダイ模様

リーブオブフェイ

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【詩】星占い

【詩】星占い

選択する不自由から逃れたくて 星を読む

自由を手にした人類のパラドックス

騙して 

信じさせて

そして、できれば

裏切らないで

服の色

食べる物

全てが正解でありたいの

考えることに疲れた

もう休みたいの

ベットの中

羊を数えながら

乙女は語る

双子の姉妹が

山羊のミルクに溺れた夢の話を

水瓶を覗くと 白濁した液体

魚が跳ねる 透明な身体を射る 朝陽の光の中

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【詩】痕跡

【詩】痕跡

少し疲れてみえる黄色いチューリップが

首を傾げていた午後の日

あの人の車を見た

そのときからずっと

あの人のことばかり考えている

空っぽの痕跡に

目一杯、愛を注ぐ

表面張力ギリギリまで

“溢れて誰かを傷つけませんように“

願いを込めて

ときめく身体

満たされる心

彼女は自分で思っているより

前向きなのかもしれない

あるいはナルシスト

後ろ向きなナルシストは成立するのか

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【詩】UFO

【詩】UFO

UFOを見た 

am2:35

崩れ落ちそうな身体を引きずって

それでも平静を装って

階段を登り切ったあの日

寝室にそれはいた

光の輪

旋回する生命

私は怖くなって 瞬いだ

布団に潜り込み

ただただ震えていた

誰かに助けを求めることも

そこから逃げ出すこともせず

本当は知っていたから

UFOが現れた意味を

抱き留めるべき存在を

私はいつも 取り逃がす

大切な人が側に

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【詩】蜘蛛の巣

【詩】蜘蛛の巣

蜘蛛の巣を

まるめて

重ねて  

なでて 

なでて

そうやって

雲をつくっている誰かがいるから

お空の雲はできるのかな

ぼんやり考えていた

こどもの頃

蜘蛛の巣

もがいている

ハエを見て

最期くらい甘い夢を

見させてあげても良いのにねと

同じ8本足の仲間でしょう

あの子を助けてあげられないの?

右目に住む蟹に聞いてみる

彼は答える

なぜお前は

ゴミを出さない

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【詩】嫉妬

【詩】嫉妬

望んでないのにくるまれる

真っ黒い 繭の中

苦しい 息ができない

なのに 

こども向けアニメのドロボウみたい

どこか滑稽

思い返すと 恥ずかしくて

蓋をしたくなる感情

恥部で 汚物

かき立てられる エロス

全てをめちゃくちゃに焼き尽くして

メタモルフォーゼ

私を向こう側に連れて行って

【詩】ダンス

【詩】ダンス

この夕暮れ

この季節 

この場所が

1番好き

彼女はつぶやく

冷たい風が吹く

雪国の遅い春

薄黄色の日差しには

濃いオレンジのような寂しさがない

満ち足りた明日を予感させる宵の色

ぽつぽつと点き始める

つくしのランプは

幸せな明日への道標

大きなエメラルドの上には子供たち

マティスの「ダンス」の如く

満ち足りた生命の歓喜

肉体、魂、世界が同化し

瞬間そのものを描き

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