ストローの吸口につく口紅は嫌いだけど、煙草の吸口につく口紅はエロくて好き
何故私は、煙草を吸っているのだろうか――――。
ふと、時折、時たま、本当にたまに、いや、二日に一回程度の回数、考えることがある。
人生で初めて煙草を吸ったのは、二十歳の誕生日を過ぎてしばらくも経たないうちであった。
まだ秋に差し掛かったばかりだというのに、ひどく冷たい夜風を浴びながら、私は煙草に火をつける。
立ち上る煙と共に顔を上げれば、雲一つない、だが星も一つも見えない、そんな空が広がっていたのを覚えている。
胸が苦しかった。
それは異物のせいなのか、はたまた別の要因なのかは定かではない。
だが私は確かに、胸の痛みを感じていた。
何故私は、煙草を吸っているのだろうか??
そんな疑問を抱きつつも、私は今も、また新しく、煙草に火をつけようとしている。
嘘だ
私は、その答えを知っている。
知っていながら、その答えから目を逸らそうとしていることもわかっている。
私はよく、嘘をつく。
いや正確には、本当のことを言うことを避けている。
自分の心に嘘をつき、本性を隠す。
まるで煙草の煙のように、その先をぼかしてしまうのだ。
赤く灯る光は儚く死に、風と共に散っていく。
煙は静かに、空の彼方に消えていく。
あぁ、私は――――
口元に笑みを浮かべる。
煙が目に染みた。
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