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催花雨

大分空港から車で1時間。
駅を出て由布岳を見ると、(あぁ、帰ってきた…)という感じがする。

駅から湯の坪街道にかけては小洒落たカフェや雑貨屋が並び、大学が春休みということもあってか、若い女子のグループやカップルの観光客も目立つ。

今日のような肌寒い雨の日に、湯布院温泉は最高だ。トロリとしたお湯に肩まで浸かると、身体の芯からぽかぽかになる。
東京の1Rのアパートには湯船がなく、最初はなかなか衝撃を受けた。シャワー生活で入学早々風邪をひき、初日の授業を受け損ねたのは4年前の話だ。


大分川の河原を歩く。
もう少し暖かくなると、空と大きな由布岳を背景に桜と菜の花が咲き乱れ、どこを切り取っても絵葉書になりそうな景色が川沿いを彩る。

しとしとと雨が降っている。

膨らんだ先から雫が落ちると、蕾は小さく体を揺らし、開花のときを知るのだ。


来週は晴れ予報らしい。
私は入社式のため東京に帰るが、河原の花々は見頃を迎えるだろう。

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