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ほんのりスパイシーの香りがする日本街


「スパイシーな香りがする」
電車に揺られて1時間、違う路線に乗り換えた。小田急線に似た青と白の列車に乗り込んで行くと、車両の中はほんのりスパイシーな香りがする。独特の香辛料の匂いだ。私個人としては、嫌いではない。むしろ、タイ料理やインド料理が好きな私は唾液が充満してきた。しばらくすると、電車は動き出して、目的地へと向かう。

私は、ちょっとした癖がある。
名探偵コナンのように観察をして推測してしまう。
特に電車に乗る人は、ほぼ目的があって利用するので、尚更、気になってしまう。
例えば、スーツ着てる人であれば仕事に向かうサラリーマン。 朝、満員電車でお婆ちゃんを見かけたときは病院かなと想像している。

「今日の車両もたくさんの人が乗車している」
隣の車両では大家族がいる。ゴールデンウィークなので、実家に帰っているのだろう。あのカップルはデートの帰りかな。本をじっくり読んでいる人もいる。さまざまだ。全体を通して、いつも違うのは「この車両に、日本人がいない」
ほんの数時間、離れたところに来ただけで、まるで旅しているかのようだ。
しばらくすると目的地の場所に到着した。駅は、緑と黄色を基調にしたデザインになっており、特徴的である。また、黄色の長いくちばしを持つトゥッカーノという鳥が描かれていた。駅に降り立ち、駅前には売店があった。肉や缶詰、乾き物、普段目にしない食材が売っている。実際、それが何かというのは異国の言葉で書かれているため、読むことはできない。近くには、八百屋もあり、日本と同じように葉物が置いてあって、並べ方は不規則に置かれ、値札の文字が外国語でいかにも地産地消野菜という感じだ。

また、スパイシーな香りが……。
いい匂いだ。 
自然と足がその方向に歩く。何語で書いてあるかわからない看板には、様々な料理の絵が描かれており、どれも美味しそうで選べない。
また、道路を挟んで向かい側には、英語でASAIと描かれていたので、すぐにアサイボールとわかったが、そこまで興味を持つことはできなかった。

到着したのが夕方だったため、小腹が空いていた。しかし、目的地まではもうすぐ、我慢して向う。辛い。
さらに歩いていくと、壁に貼ってあるポスターにはイベントの様子が描かれていた。ここ近辺のみならず、他のところの料理も食べることができるようだ。
数字が羅列しているため、おそらく頻繁に開催されているのだろう。
なんとも楽しい街だ。
近くにこんな街にがあると思わなかった。
まだまだ、知見が足りないと心の中で頷く。
旅だからもかもしれない。または、ゴールデン・ウィークということもあり、いつにも増してワクワクが止まらない。
5感がフル稼働しているのがわかる。

目的の家に到着をして、今日の夕食はカレーだ。ここまでに香辛料を浴びて来た私にとってみたら、ヨダレが止まらず、お腹も警報音を鳴らしていたため、いつもの倍は食べた。

翌朝、人の賑やかな声で起きた。なんと、朝からBBQをしている。縦に半分に切られたドラム缶に金網をして、口の中に入るのか心配になるぐらいの大きい肉を焼いている。そして、見事噛みちぎって食べている。
「なんてファンタスティックなんだ」
活き活きと楽しそうにしている人が多い。友人の話を聞くと、人口も増えてきて、学校の校舎も急遽増設したという。日本は少子高齢化で、廃校が増える中で、若い人が増えているのは羨ましい限りだ。例えそうでなくても、元気な街な気がするが……。

そう。ここは日本のブラジル「大泉町」
日本の中でも2番目に外国人が多い街なのだ。人口の2割ほどが外国人で、ポスターやチラシはいつも日本語・英語・ポルトガル語が書いてある。

何より都内から近い、電車でも車でも2時間ほどで着く。個人的には電車をオススメする。
なぜならば、ローカル線に乗り換えた時の乗車したときに一気に外国に来た気分になれる。
車で来るとわかりづらく、駅から徒歩で街並みを歩くと、見慣れないお店がある。

シュラスコはもちろん、バーガーもあれば、インド料理も。移住してきた人たちが自分たちが住みやすいように街並みも変えている。

他にもさまざまな魅力的なところがあるが、今日はここまでにしようと思う。
少しスパイシーな日常を過ごしたい人は是非、大泉町へ。

<info>
大泉町観光協会
https://www.oizumimachi-kankoukyoukai.jp/