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接骨院評論家への道

本日は日経メディカルより引用
このような記事を書けるようになりたいと思います。



医療行政の舞台裏◎反社会的勢力による詐欺事件を契機に柔道整復師と整形外科医が歴史的和解!?

2016/04/12

庄子 育子=編集委員


整形外科医と柔道整復師。共通の領域に携わる両者の関係は、これまで良好ではなかった。いや、むしろ敵対していたと言った方が正しいだろう。だが、そんな関係性が変わるかもしれない。

 公益社団法人大阪府柔道整復師会(大阪柔整師会)は3月26日、平成28年大阪保険講演会を開き、「療養費適正化理念」を発表した。

 柔整師の療養費を巡っては、以前から不正受給が問題になっていた。昨年11月には、反社会的勢力による接骨院を舞台にした療養費詐欺事件が発覚。療養費を架空請求していたとして、暴力団組長らが逮捕された。この事件を受けて、大阪柔整師会は「療養費適正化理念」の発表に踏み切った。その内容は次の通り。

 一. 大阪柔整師会会員は、柔道整復業に当たって営利を目的としない。

 一. 負傷の徴候の認められない患者への医科受診指導を促進する。

 一. 療養費の不正請求排除に向け、療養費適正化特別対策班を設置する。

 一. 違法広告に関する指導を強化し、監督官庁への通報制度を設ける。

 一. 往療料の適正な算定について会員に指導する。

 これらの項目の中身は、具体化されてもいる。例えば、負傷徴候のない患者の医科への受診促進に関しては、初検料(医科診療報酬の初診料に相当)のみの算定となることから、その申請書の件数・割合を公表し、数値を向上させていく。また、会員ごとの請求件数・請求内容を把握し、請求額上位4%には個別に指導していく。

 柔整師団体が具体性を持った理念を明文化したのはこれが初めてのこと。大阪柔整師会会長の安田剛氏は、療養費適正化理念の発表に際し、厳しい面持ちで次のように語った。

 「医療とはほど遠い『保険が利く客引きマッサージ』のような接骨院・整骨院が林立する惨状がある。これでは10年後に柔道整復師の未来はなく、これから国家資格を取り、活躍しようと学ぶ若者がふびんでならない。柔道整復師、整形外科医、保険者の3者は、患者のために取り組むという目的は同一。敵ではない、敵などいないのだ」

 敵などいない──。実際、その言葉を象徴する動きもあった。療養費適正化理念を発表した講演会を、大阪臨床整形外科医会が後援したのだ。「犬猿の仲」とまでいわれた整形外科医と柔整師が協力関係を結ぶのは、極めて異例と言っていい。

 大阪柔整師会では、保険者の関係者や医師にも講演会への参加を呼び掛け、当日はおよそ500人が集まった。療養費適正化理念の発表後には、柔整師、保険者、整形外科医によるパネルディスカッションが行われ、熱い議論が展開。最後は満場の拍手で終了した。

 会場にいた筆者は、参加者の満足度が非常に高いことをひしひしと感じた。だが、このイベントに対して、その場に居合わせなかった柔整師と整形外科医の双方から批判の声が出ているのも事実だ。

 「柔整師に患者を取られるのが面白くない整形外科医と、療養費を少しでも抑制したい保険者にうまく利用されているだけ」というのが柔整師側の声。一方、整形外科医側は「柔整師に協力するのは魂を売ったも同然。柔整団体の一時逃れの『きれい事』に付き合うべきではない」との主張だ。

 しかし、「柔整師VS整形外科医、保険者」の構図で反目し合っていても、事態の膠着を招くだけ。その間、反社会的勢力が柔整療養費を不当に搾取し続けることにもなりかねない。柔整師と整形外科医、保険者の三者で知恵を絞り、いかに業界を適正化していくかが今、問われている。

2000年富山国体少年男子メディカルトレーナー 2001年富山県立氷見高等学校男子ハンドボールメディカルトレーナー 2021年ハンドボール日本代表チームにメディカルトレーナーとして合宿に参加 2023年富山ドリームススタッフ