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薬を安定供給

薬を安定供給、官民で備蓄・増産計画 薬価優遇も試験導入

経済
2023年12月25日 2:00 [会員限定記事]


多様な観点からニュースを考える
山崎大作さんの投稿

政府や企業、医療機関がとるべき行動を整理する

医薬品の供給リスクが高まっている。後発薬企業の品質不正の問題が収まらないことが背景にある。薬の原料の調達を海外に依存しているのも懸念材料だ。政府は供給を途切れさせないために官民で行動計画をつくり、備蓄や増産を円滑に進められる体制を整える。
厚生労働省は2024年度にも官民協議会を立ち上げ、将来の危機に備え、安定供給に向けた行動計画をまとめる。
国内の需給や国際的な感染症の流行、地政学リスクといったシナリオごとに政府や企業、医療機関がとるべき行動を整理する。
医薬品が供給不足に陥りそうなときは限られた薬を有効活用するため、医療機関に処方する薬の日数を少なくするよう求めることを想定する。薬局同士で調整して在庫を確保するよう要請するなどの措置も念頭に置く。
行動計画は拘束力がなく、原則としては各企業の自主的な判断となる。医薬品は安定供給を前提に公的医療保険が適用されており、多くの企業が対応するとみられる。

医薬品業界に詳しいアーサー・ディ・リトル・ジャパンの花村遼パートナーは実効性を高めるために「リスクをとる行動をした企業が採算面で報われるようにすべきだ」と語る。
厚労省は海外依存度が高い原薬の供給源を広げる企業の取り組みを補助する。薬価制度も改め、安定供給に貢献する会社の薬価を優遇する制度を24年度から試験的に導入する。
米国などでは医薬品の供給不足に関する情報提供を企業に義務づけている。米当局にとって供給不足のリスクにあらかじめ対処しやすい。
経済協力開発機構(OECD)によると、米国以外の大半の加盟国でも製造販売業者が医薬品不足を国に報告する制度がある。
日本国内では後発薬の供給が不足している。武見敬三厚労相は11月に企業20社以上を同省に呼び、せき止めなどの薬を増産するよう要請した。
不足の発端は20年に明らかになった小林化工(福井県あわら市)の品質不正だ。その後、別の企業でも不正が相次ぎ、他の会社がつくる同成分の薬に注文が殺到した。

後発薬は小規模企業が多い。後発品は190社ほどのうち上位8社で市場の50%を占め、残り半分を185社で分け合っている。
1社あたりの経営体力が厳しい企業が多く薄利多売の構造のため、注文があっても増産対応しにくい。在庫切れを防ぐために出荷を制限する動きもある。
後発薬の不足により同じ効能の先発薬にも供給不足が広がる。日本医師会が医療機関を対象に実施した8〜9月の調査で、院内処方を担う医療機関の9割が「入手困難な薬がある」と答えた。
原料や原薬の多くを海外から輸入しているリスクもある。日本薬業貿易協会の藤川伊知郎会長は「環境規制や輸送などサプライチェーン(供給網)にもリスクは内在している」と話す。
原薬の製造は国際的な分業化が進む。日本で生産する後発薬の原薬のうち輸入しているものの調達先は金額ベースで中国が25.3%、イタリアが16.6%、韓国が14.7%などと偏る。依存度が高い国からの調達が途絶すれば薬はつくれない。
医療政策に詳しい神奈川県立保健福祉大の坂巻弘之教授は「情報提供の義務化など海外に後れをとらない取り組みを進めるべきだ」と指摘する。
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引用
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA308G70Q3A031C2000000/?gift=g2ls5liQ_8qjE4MTA3NTUyNTOkSlZhObzml6XmnKzntYzmuIjmlrDogZ4g6Zu75a2Q54mIBQI.36_2QrSB&n_cid=DSPRM1MAML01_ANNPU

2000年富山国体少年男子メディカルトレーナー 2001年富山県立氷見高等学校男子ハンドボールメディカルトレーナー 2021年ハンドボール日本代表チームにメディカルトレーナーとして合宿に参加 2023年富山ドリームススタッフ