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奇書だらけ

【新日本三大奇書総選挙】を知っているだろうか。
昨年10月ころ、X(旧Twitter)で使われていたタグのことであり、各々がおすすめの奇書・怪書の名前を挙げていく投票企画のことである。私はそのころちょうどXをお休みしている最中だったので投票には参加できなかったのだが(独りで勝手に似たようなことはやってましたが)、このたび昨年末に集計結果が発表され、ランキングを見てみたらなんだかどれも面白そう。
読んだことのある本もあれば、そのうち読みたいと思っていた本もあり、クセの強そうなラインナップを見ていると、奇書欲が刺激され、ここ最近はこのランキングを参考に本を選び、グフグフと読書の愉悦に浸っておりました。
んで、とりあえずトップ10までの奇書を読み終わったので、一作品ごと感想を残しておこうかと思います。

なお、全体の投票結果、集計の詳しいルール、奇書の定義については上記サイトでご確認ください。
リンク先のサイトでは作成者の方が、投票された582作品すべてに対してひとつずつコメントを残しており、作業時間等を考えるとシンプルにすごいです。もはやすごいを通りこしてちょっと恐いくらい。
ちなみに、下記のランキングは【新日本三大奇書総選挙】の投票結果と同様の内容であるため、個人的なランキングではありません。
また、作品のオチについては書いていないはずですが、どんな小説なのかを色々書いた上で感想を書いているので、結果的にネタバレにあたる記述があるかもしれません。なので読む際はご注意を。
あとすみません、なんだかんだひとつひとつ感想を書いていったら8500字を超えてしまいました。お暇なときに、気になる作品の部分だけでも読んでくだされば幸いです。

1位『夏と冬の奏鳴曲』麻耶雄嵩

栄えある【新日本三大奇書総選挙】第1位の本作。
物語はよくある孤島ミステリであり、終盤近くまではその「よく知る展開・よく知る内容」に沿って展開していくため、文章の読みやすさもあって最後まで読むのにさほど苦労はしないでしょう。問題は終盤以降の主に謎解きにあたる部分で、読者を煙に巻くかのように曖昧模糊とした場面を次々と見せ、攪乱してきます。
おそらくプロットの段階ではもっと明解な「解」を用意しているはずなのですが(そう感じざるを得ないほど途中経過における伏線や人物描写が巧み)、最終的にはまるですべてが舞台劇であるかのような前衛性を発揮するので、読者としては狐につままれた気分に。

おそらくここで書かれているキュビズム関連の長々とした解説は、神学や芸術理論なんかより、「ミステリ」というジャンルがぶち当たる、”探偵と犯人”であったり、”舞台およびトリックを用意して、それを解決する”ことであったり、”作中で真相に辿りつかなければならない”といったジャンルそのものに対する作者からの問いかけ・アンチテーゼな気がします。
私はミステリ小説の熱心な読者ではないので、トリックの方法が現実離れしたものであってもぜんぜん構いませんし、いわゆるアンチミステリというものも好んで読む方です。その上で、この謎を謎のままにして、はっきりとは答えを提示せず終わらせてしまう点。そもそもどこからどこまでが主人公の現実なのかが分かりにくい点。ここら辺については賛否が分かれるのも無理はないかなと思いました。

なので人によっては「一文一文すべてに価値があり、すべてがすばらしい」という感想もあれば、「読み終わったら壁にぶん投げた」という感想があってもおかしくない。一方で、解を提示しないことでよりこの小説は”永遠性”みたいなものを獲得しています。
作者の中で解答はあるのでしょうし、発売されて30年近く経つ名の知れた作品なので、色んな解釈が用意されている「構造を楽しむ小説」という印象を受けました。なのでこの小説は、ミステリファンがミステリファン同士で語り合ったり、解説サイトで色んな解釈を読むという”二次的な”楽しみ方をして、初めて100%真価を味わったことになるのかなあと。

精緻に編まれた美しい奇書、そんな小説です。


2位『ディスコ探偵水曜日』舞城王太郎

個人的にはいままで読んできた小説の中で上位10作には確実に入るくらい好きな本。魂の一冊です。
とんでも理論のオンパレードであり、展開から登場するキャラからどこもかしこもぶっ飛んでいる要素だらけ。文体のクセの強さとか、中巻における名探偵の推理合戦とか、下巻の大風呂敷の広げ方と時間も空間も飛び越えた問題への挑み方。いずれも間違いなく人を選ぶと思います。でもこのノリに、テンションに、リビドーに、”合って”しまうとやばい。超やばい。語彙が消失するレベルでくらいます。

昨年個人的に作った奇書10選の中にも入れましたし、すごい小説を読みたいならとりあえず私はこれを推す。読み通すのきついだろうけど。しかもいま絶版になってるけど。それでも私はこれを推す。
舞城王太郎という小説家が書こうとしているテーマは処女作から一貫して「愛」であり、そのひとつの到達点がこの『ディスコ探偵水曜日』なのだ。最後の一ページ、一文にまで、作者の愛についての哲学と、希望に満ちたエネルギーが込められていて、クソったれなこの世界が希望に満ちたもののように感じられる。しびれる。最高過ぎる。

よう、これが合図だ。動き出せ。踊り出せよディスコテック。急いでな。恐怖に立ちすくむような贅沢なんて、お前にはもう許されてないんだ

『ディスコ探偵水曜日』より


3位『家畜人ヤプー』沼正三

悪趣味度で言えば十作中おそらくトップだと思います。いままで私が読んできた中だとソローキンの『青い脂』なんかに近く、ぐちゃぐちゃのエロスと、突き抜けた、突き抜けすぎなほど突きつけたスカトロ描写SM人体破壊人格破壊を怨念のように込めており、しかもそれが文庫版にして5巻分ずっと続きます。くるっとる。
しかし同時にある種の無邪気さもこの小説は孕んでいて、もはや恐ろしさを通り越し笑ってしまいます。ここで描かれていることを「性愛」として受け取ることは可能だろうけど、いまの時代、いやおそらくはこの作品が発表された1956年の日本においても殆どの人からは受け入れられない価値観ではあるので、間違いなく人を選ぶ小説です。
私個人の感想としては、好みだし、笑えはしたのですが、全体的にちょっと助長だなあと感じたのが本音。
たぶんもっと早く出会っていれば違う感想になっただろうし、10年後に読んだらまた違うものを受け取りそうではある。
おそらくこれは哲学小説なのでしょう。読む人にとって猛毒にもなり得るほどの。


4位『〔少女庭国〕』矢部嵩

作者の凄さは、異常さは、狂気は、普通なら短編で終わらせるべきこのシチュエーションドラマを、〈補遺〉という形で長編にしてしまった点にある。
〔少女庭国〕。そこは卒業式に参加するはずだった少女たちがひとつの教室に一人ずつ眠った状態で取り残された異空間。”卒業条件”として書かれた紙には〈ドアの明けられた部屋の数をnとし死んだ卒業生の数をmとする時、n-m=1とせよ〉とある。

およそ210ページほどあるこの小説は最初の50ページくらいで、上記したシチュエーションにおけるひとつの”結末”を提示するのだが、恐ろしいのはその先にある〈補遺〉の部分で、だいたい本の3/4を占めるこの箇所では、ここで起きたあらゆる”別の結末”を次々と提示している。
あるときは隣の教室にいる少女を迷いなく殺したり、あるときは自殺することで卒業条件を達成したり、またあるときは話し合いで死ぬ者を選んだり……。やがて少女たちは1000人を超える規模に拡大し、帝国と言えるほどの体制を築き上げ……という思考実験小説のような地点にまで行きついてしまう。

これを何らかのメタファーとして受け止めることも可能だろうけど、どちらかと言えば私がこの本を読んでいて感じたのは”禁忌”に対する反応の薄さであり、例えば「食人」であったり、「人体破壊」であったり、「奴隷制度」であったり、およそモラルを逸脱した展開を、それに対する忌避感をほぼ描くことなく、ただ淡々と進めていく点だった。
そのため本作は、これほど時間も場所も広がって行くにもかかわらず、シチュエーションと描き方によって、”誰かに感情移入する”という機会がゼロに近い。それでもこの先どうなってしまうのかが気になって読んでしまうあたり、作者の筆力(変態性と言い換えてもいいだろうけど)は高く、シチュエーションドラマとして強度の高い出来となっている。

この「現象」にどんな理由があって、どんな解決方法があるのか。そういうことを期待しながら読むのはやめた方がいいだろう。最終的に”卒業条件”を達成したどの少女たちも、その後もとの世界に還れたのかどうか、一切説明してはくれないし、作者としても書きたかったのは、伝えたかったのはそこの部分には無いと思うから。
とりあえず、よくもまあこんなシチュエーションを考えたものだし、長々とその「果」まで書いたものだなと思う。世の中には色んなことを考える人がいるもんだ。


5位『箱男』安部公房

一文一文、各章ごと、それだけなら何が起こっているのかは明確で筋も追いやすいのだが、章それぞれがどのように繋がっているのかとなると、途端に迷路に迷い込む。
解説を読むとこの小説のひとつの読み解き方が提示されていて、つまりは箱男という「見る側」と、彼が認識する「見られる側」の世界との関係性について描いているのだと。そしてその在り方が逆転する展開を用意し、さらにはこの小説が箱男によって「書かれたもの」という体裁を取ることで、それを「読む側」との関係性をメタ的に提示ーーつまり「見られる=見る」、「書く=読む」という表裏一体の状態を読者に突きつけることこそが、この小説で安倍公房がやろうとしたことであり、”箱男”という存在や断片的な章の分け方はそれを表す舞台装置なのだと、そんなことが解説には書かれている。
なるほどなあと思う。話が進めば進むほど分かりにくくなる小説なので、このことを頭に入れて読めば、それぞれの”現在地点”が読み解きやすくなるのかもなと。
でも、この小説はそんな簡単に答えが提示できる作品ではなく、もっと言えば「答え」だとか「良い読書」だとか「教養」だとか、そんなところからあえて距離を置いた小説なんじゃないかとも思う。意味を求めるのは自由だし、作者的にもなんらかの意図を持って描写してるだろうし、様々な仕掛けを作ったのだろうけど、この”わかりづらさ”まで作者の意図するところなのかはかなり怪しいと感じるところでもあって……。
例えば、一人称かと思いきや二人称や三人称にスタイルが変わり、そんなに精細に書く必要ある?って突っ込みたくなるほど、どうでも良さそうなシーンを書き込んだり、真相を話す話すと言いながら最後は読者を煙に巻くような形で幕が切れたり。作者自身がどうしていいのかわからなくてこのような形になってしまったようにも見えるし、すべてイチから設計図どおりに組み立てた上で、このような歪な体裁となったようにも見える。
なんにしても私がこの小説を読んで感じたのは一種の”グルーヴ感”であり、迷い、もつれ、作者自身が迷走してるようにも見えるこの書き方だからこそ、他にはない独特なリズムが形成されていると感じた。
この、いくら簡潔に説明しようとしても簡単に説明しきれないあたりや、実験作であり、失敗作(のようにも見える)であり、思わぬ調合によって生まれた世紀の傑作でもある今作は、一言でまとめるならば「奇書」なのだ。
フェティッシュばりばり、寓話性も備え、破綻してるのに形を成している。そんな作者の意図から離れた場所に到達してしまった奇書。
好きか嫌いかで言えばすごく好き。『砂の女』よりもずっと。


5位『コズミック』清涼院流水

「1200の密室で、1200人が殺される」という導入から、律儀にそれを守ろうとするかのように次々と各所で起きた殺人事件のあらましが描写されていく。
正直読み始めて3個目の事件に来たあたりで、このままこれがずっと続くのだとしたらきついなーと思っていたのだけど、JDC(日本探偵俱楽部)および探偵神・九十九十九が登場したあたりから話がドライブしはじめ、読みやすさやテンポの良さから最後まで駆け抜けることができた。

たぶん全部読み終えたら「時間返せ!」って怒り出す人もいれば、「すごい怪作を読んだ!」と大喜びする人もいると思う。それくらい通常のミステリとはかけ離れた展開、トリック、犯人、名探偵が登場してくるし、最初から最後まで言葉遊びが多用されるので、合わない人はきついだろうなという気がする。

個人的には上下2段組にするほど濃い内容には感じなかったことと、話のぶっとび具合に対して語り口の古臭さが気になったこと、合間合間で事後報告みたいな形で挟まれる「~番目の被害者」という殺人事件の概要が途中から冗談にしか感じられず、緊張感が途切れてしまったこと、ここら辺がもっと上手くやれたんじゃないかな、とは思った。

でも個性豊かで推理能力に長けた名探偵たちがたくさん登場するのは面白かったし、誇大妄想みたいな事件の全体像と真犯人、それを大真面目に書いている(ように見える)作品のバカっぽいノリ。そして700ページにわたりそれを持続させたエネルギー。そういう部分はすごく好きだった。

壮大な与太話として読む分には良いあんばいの娯楽小説。真面目なミステリを期待するとがっかりを通り越して壁にぶん投げたくなる作品。奇書としてみるなら満点をあげたくなる、そんな本。


7位『文字渦』円城塔

久々に読んだけどやっぱり圧倒された。そしてやっぱりすべてを理解することは出来なかった。
本作は文字自体が主役となり、文字たちと踊るように綴られた短編集であり、実験的な手法で様々な小説を書いてきた円城塔の哲学や小説技法をふんだんに盛り込んだひとつの到達点と言えるだろう。

文字に振られた”ルビ”の方がめちゃくちゃ自己を主張してきたり、文字どおしが戦いを繰り広げたり、「門」という文字が様々な文字を生み出していったり、とにかく理解できるできないに関わらず異様な感触を読む者に与えてくる。作中の表現を借りれば「文字が”生きている”」という錯覚に陥るほど、各短編で文字たちがうごめいており、凄すぎて作者大丈夫か?と心配になるくらいだ。
正直精読していっても簡単には頭に入ってこない部分もあり、事前知識もいくらかは必要と手強い作品ではある。とはいえ兵馬俑、オートマトン、源氏物語、ボルヘス、プログラミング、密教など、様々なモチーフが各短編には入っており、自分なりのフックを見つけて格闘するかのように読むのが正解なのかもしれない。

『梅枝』なんかは作者である円城塔の文字に対する異常な執着と偏愛、問題意識や哲学が込められており、『源氏物語』の一説をカタカナにすることで「小説を書くことの意義」や「小説を読むことの不確定性」を提示している。私はいま角田光代訳の『源氏物語』を読んでいる最中なのだが、この短編は「翻訳された作品を読むことは、原文を読むこととどれほどの”距離”があるのか」という問いも孕んでおり、その問題意識は自分にとってタイムリーなものだった。

映像化、どころかオーディオブックにすることさえ不可能な小説であり、おそらく翻訳するのも難しいだろう。日本語の「文字」と戯れ、文字を転がし、文字と向き合い、その”生態”を観察した究極の「文字小説」。もっかい読んでも理解できないと思う。そこだけは自信を持って言える。


8位『九十九十九』舞城王太郎

奇っ怪。他人の作品である『コズミック』に登場する名探偵、九十九十九をタイトルに持ってきているが、話の繋がりは薄く、というか無いと言っても言いくらいで、その上で、やりたい放題やっている。清涼院流水はよくこんなどぎつい小説を許したな。でも内容のトリッキーさや切実さは舞城王太郎にしか出せないオリジナリティに満ちていて、はっきり言って最高。
全7話で構成されてはいるものの、各話がその次の話において主人公のもとに送りつけられてくると言うマトリョーシカ的な構造となっており、小説やフィクション、ミステリやゲームの構造そのものをメタ的に表しているかのようだ。話の順番が入れ替わり、前の話がただの"作り話"だと次の話で喝破されることによって、ミステリにおける「虚と実」の関係性は瓦解していき、”何もかもが真実たり得ない”というメッセージとともに、構造そのものを破壊していく。
東浩紀が『ゲーム的リアリズムの誕生』においてセカイ系や美少女ゲームの文脈に当てはめてこの本を考察していたり、聖書を題材としていたりと、変わった体裁の本ではあるが、その分読み解きの面白さも提示。
文章の切れ味は凄まじい練度で磨き上げられており、ドライブ感のある文章はとにかくすげえ読みやすい。
んが、エロ描写、ゴア描写もてんこ盛りで、上記した入り組んだ構造、露悪的であり、独特のユーモアもあり……と人へのすすめにくさもにおいても度を超しているのが悩みどころではある。


9位『熱帯』森見登美彦

森見登美彦の集大成にして新境地。いままで作者が書いてきたエッセンスをもりもり盛り込みつつ、幻想的な世界に誘っていく。
本、そして”知”に対するあくなき探求心と愛、迷宮に迷い込み酩酊感に浸る感覚、物語がどこまでも広がって行く喜びと恐怖、そういった小説の”自由さ”を謳歌するメタ的な作品。ある意味「森見登美彦ワールド」のマルチバースとも言えるかもしれない。
謎の答えを知りたい人よりも、謎の答えを探す「過程」に歓びを感じる人こそ、この小説は最大限の楽しさを提供してくれる。
幻想的でありながら京都の街並みは風情があり、南の島、砂漠の読書会、古道具屋など、ひとつひとつの情景が美しく心に残る。
難解さは無い。無いと思う。それよりも、このゆるやかに、したたかに、熱を帯びた物語に触れることで、もっと純粋な「読書って楽しいよね」という作者の気分が伝わってくる気がした。


9位『黒い仏』殊能将之

書こうと思えばちゃんとしたミステリだってサクッと書けそうなくらい高い技巧を持っているにもかかわらず、あえてそうはせず、「ワシはこれが書きたいんじゃい!」というオタクでパンクで悪ふざけが好きな作者の精神が感じられてとてもいい。
おそらくこの小説も枠にはまったミステリを求めている人からすれば壁に投げつけたくなるような本であることは想像できる。でも個人的にはこういうジャンルを横断した面白さを提供してくれる小説は大好物だし、愛でたくなってしまうなあ。

事件の真相を自信満々に語る名探偵を見てると、なんだかその他すべての名探偵も実は犯人に踊らされてるだけなのでは……?という気になってくるし、アリバイの作り方にしてもぶっ飛んでて、ミステリというジャンルで自由に遊ぼうとする作者のウキウキした気分が伝わってくるようだ。
あと探偵役の石動いするぎがいい。のほほんとしたところとか、さっぱりとしたところとか、普通に犯人に負けちゃうところとか、私がよく知ってる”かっこいい名探偵”の文脈にぜんぜん当てはまらなくて逆に好感が持てる。

あー、ただ某暗黒神話について知らないとラストのカタルシスは弱くなるかも。そこら辺は説明しにくい事項だし、紹介がむずかしい小説ではあるなあ。
とはいえトリックのアクロバティックさとか、途中途中で挟まれる小粋なネタ、殊能将之のユーモアと、良い意味でオタク気質な面が感じられる作品で最高でした。読んで良かった。大好きな作品がひとつ増えてしまった。

さて、というわけでトップ10までの感想を書き終えました。やたらと長くなってしまいまして、ここまで読んでくださった方にはお礼申し上げます。
「奇書」に分類されるいくつもの本に触れることで、その豊潤な楽しさを存分に味わうことができました(11位以下も読んでくつもりだけど)。

今回はXでアンケートを取った結果が上記のランキングとなったわけだけど、国や地域によって色んな”奇書”とされる本があるはずで、媒体が変われば結果も変わってくることでしょう。
名著・名作とされる作品はもちろんすばらしい。だけどこういうパラメーターのバランスがぶっ壊れた小説が何故か突き刺さることがあり、そんな本と出会うと私はニッコリしてしまいます。

文学・ミステリ・恋愛小説・SF・ホラーと世の中には素敵なジャンルがたくさんあるけど、どのジャンルにおいても「異色」とされる作品はあるもので、これからも色んな奇書に出会ってみたいなあと思う次第です。
また、今回のランキングは日本の小説に限定されていましたが、海外の小説限定でランキングを作ったら、どんな結果になるのかなと思ったり。あるいは漫画限定とかノンフィクション限定とか絵本限定とかでも面白そう。他には、雑誌限定とか学術書限定とかビジネス本限定とか哲学書限定とか同人誌限定とか攻略本限定とか児童書限定とか新書限定とかラノベ限定とか詩集限定とかファンタジー限定とかエッセー限定とか実用書限定とか

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