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中国投資がもたらした結末(ヘリテージ財団の記事)

写真出展:Peggy und Marco Lachmann-AnkeによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/peggy_marco-1553824/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=1015310

 2024年3月19日にヘリテージ財団は、アメリカの中国投資の結果及びその対策に関する記事を発表した。内容は、アメリカの投資が中国の軍事技術発展に寄与した事実を指摘し、現実的な対策を提案するものである。
アメリカの対中政策はいろいろとニュースで取り上げられているが、その実態はお寒いものであることがよくわかる。日本も未だに野放図な中国投資を認めており、しかも海外企業に対して補助金を拠出するなど、現実的な政策を取ることができていない。真の意味で対中政策を考える参考として、本記事の概要を紹介させていただく。

↓リンク先(The Truth About Investment in China)
https://www.heritage.org/sites/default/files/2024-03/IB5348.pdf

1.本記事の内容について
 ・過去10年間、2兆から3兆ドルが中国投資に流れたわけだが、これがどのような結果をもたらしたのかは明白であり、中国の軍事力を強化したのみだった。2023年8月、バイデン政権はこの脅威に対抗するための大統領令を発出したが、この対策を実効あるものとするためには、議会による法制化が必要不可欠である。それにも関わらず、誤った根拠に基づいて中国投資を正当化し、超党派の法案の制定を妨げている。
 ・では、中国投資を正当化する議論とそれに対する反論を見ていくこととしよう。
①    中国企業に投資し続ければ、共産党も親米になる。
自由貿易と投資による中国市場の自由化は、全く成功しておらず、むしろ習近平政権下において民間企業を大きく規制する法案ばかりを制定している。
②    中国の軍事技術への投資制限は、習近平政権と同様の共産党的規制である。
現在の規制は段階的なものであり、大半の中国への投資は制限されていない。中国投資は規制されていないにも拘らず、ロシア、イラン、北朝鮮への投資は全て禁じられており、整合が図られない政策となっている。
③    アメリカの中国投資で軍事技術が発展しているわけではない。
アメリカの投資や専門家により中国の軍事技術が発展している証拠が、数多く確認されている。中国の半導体企業であるSMICは数年にわたってアメリカの投資を受けており、資産運用会社であるブラックロックも、4.29億ドル以上もアメリカの脅威となる企業に投資し続けていた。
④    中国投資を禁止できるだけのデータがそろっていない。
安全保障関係の省庁が軍事技術への投資を検証することができていないため、データを揃えることができていない。また議会も投資を検証する法律の制定を妨害しており、2024年度の国防権限法の審議にて提案されたものの、盛り込まれることはなかった。
⑤    アメリカの投資家は中国の国営企業よりも優秀であり、問題ない。
中国企業は共産党により優遇されており、特に国営企業は大きく発展している。海外企業は知的財産権などが認められず、風紀委員会の設置などの規制も受けており、公平な競争などできない。
⑥    いずれアメリカの投資家が中国の技術企業を支配できるようになる
中国共産党は、海外企業が国内の技術企業を支配することを認めない。上役を監禁したり、情報を規制したり、共産党の息のかかった人間を企業に送り込むなどの制限をかけている。
⑦    中国共産党は、そもそも海外投資を歓迎していない。
中国共産党は、アメリカからの資本、ノウハウ、技術を積極的に取り込もうとしている。また企業への監視を強めている。
  ・以上のような状況を克服するには、単なる制裁だけでは不可能である。まず中国に技術を輸出しようとする企業が、あらかじめ政権に通知し、許可を得るような制度にするべきである。また部門別の規制も必要であり、軍民両用の技術については、禁止されるべきである。具体的には、半導体、高性能コンピューター、データ保存、人工知能、量子技術、バイオテクノロジー、医療、ロボット、遠隔技術、先端通信、先端物質、宇宙技術などを対象とするべきだろう。

2.本記事読後の感想
 アメリカも日本も対中投資についてはあまり変わらないようだ。やはり人間は儲け話に弱いということなのだろう。ただこんなのんきなことを言っていられる状況ではないことは確かである。台湾有事は現実のものとなりつつあり、半導体でも巻き返しが図られている現状を見ると、トランプ政権から続く中国規制により稼いだ時間がほとんど無駄になってしまう。
 日本はバケツの開いた穴も同然であり、先進国の足を引っ張っている。いつまで中国に対して幻想を抱いているのだろうか。最近になって自民党参議院議員の中国人秘書が逮捕されたというのは、小さい事象ではあるものの変化の兆しとも言える。こういった細かな変化の積み重ねを大きな変化につなげていかなければならない。

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