見出し画像

環境政策と中国の関係(CFACTの記事)

写真出展:Gerd AltmannによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/geralt-9301/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=492989

 2022年11月3日にCFACTは、環境政策と中国の関係性についての記事を発表した。内容は、ESG投資などを提唱するアメリカ企業が、自国の石油関係産業に損害を与えつつ、環境破壊を顧みない中国には積極的に投資している現状を指摘するものである。
 中国は潤沢なレアアースなどを利用して太陽光発電や電気自動車などで利益を上げており、しかも、強制労働や環境汚染の放置といった人権弾圧も行っており、ESG投資のいい所どりをしているのであり、これが環境政策の実態なのである。こういった現状を把握するうえで有益と考えられることから、本記事の概要を紹介させていただく。

↓リンク先(Are woke money managers ignoring enviro/social guidance violations in China?)
https://www.cfact.org/2022/11/03/are-woke-money-managers-ignoring-enviro-social-guidance-violations-in-china/

1.本記事の内容について
 ・もし投資資金が中国共産党に影響を与える可能性を懸念するのであれば、ESGという言葉に要注意である。小売への投資家の多くはESGの目的や意味について無知であることが多くの研究で示されており、24%の人しか何の略語かを言い当てることができず、25%の人は「earnings(利益)、stocks(株)、growth(成長)」と勘違いしていた。
 ・大規模なESG融資や金融は、環境をきれいにし、汚染を軽減し、二酸化炭素排出を削減し、多様な職場を形成する事業に資金を優先的に提供するとしている。しかしこれらの資金は、投資家に還元するという本来の目的を達成するように運用されていない。
 ・パリ協定の目標に取り組むとした企業に資金を提供している気候変動関連の基金は、通常のインデックスファンドよりも成績が悪く、2050年までの二酸化炭素排出削減ゼロ目標を全く達成できる見込みもない。S&P500の225企業の内、175企業はESGの要件を満たすことができていない。
 ・三大資産運用企業である、BlackRock、Vanguard、State Streetは、S&P500インデックスファンドの20%を保有しているが、中国市場のETFを積極的に推進している。この資金は、中国共産党による人民解放軍強化に利用されているとされている。State Streetは、アメリカ政府による一部中国企業への投資を禁止する規制を開始した後、批判を受けてからようやく香港のETF投資を取りやめた。
 ・李家超香港行政長官は、11月2日にアメリカ企業をはじめとした世界金融トップの投資サミットにて基調講演を行っているが、アメリカ財務省は同氏が国家安全保障法に基づいて香港市民を逮捕、監禁しているとし、李氏との取引を制裁している。アメリカ企業のトップは、アップルデイリーのジミー・ライの監禁や資産凍結などの事件を十分に認識し、香港の危険性を認識するべきである。
 ・共和党のクリス・スミス下院議員は、アメリカ企業が中国で利益を上げる機会を得るため、ESGの価値観をかなぐり捨てていると批判している。中国共産党は、ESGを投資の要件として設定しているが、実際には単なる規制の口実として利用しているに過ぎない。中国共産党の理念に合致した経営をする企業には、多額の政治資金を提供するが、多くはESGや社会正義と言ったものを無視した企業が対象となっている。
  ・中国事業を展開するアメリカ企業も批判の対象となっている。ナイキはウイグルの強制労働を黙認しているとの疑いがかけられたことから、中国のサプライチェーンを清算せざるを得なくなった。世界最大の衣料企業であるH&Mは、西側諸国がウイグルの強制労働受けた経済性を課した後、中国のeコマースサイトでの製品販売を断念しなければならなくなった。
 ・ウォークと呼ばれる左翼は、グリーンエネルギーを布教しているが、投資対象となっている当の中国は世界各国の合計よりも多くの新しい石炭発電所を建設しようとしている。ESG関連の資金運用企業は、シェブロンやエクソンモービルに排出削減目標や気候変動対策を課しつつ、中国に依存しなければ生産できない電気自動車を普及させようとしている。これは環境的にも社会的にも許容され得ない詐欺と言うべきであろう。

2.本記事読後の感想
  ESGやSDGsのうさん臭さについては何度か取り上げさせていただいたが、今回の記事を見れば関心がある人々でも流石にまずいと気づくのではないだろうか。賢明な人々は投資資金を呼び込むための方便に利用しているに過ぎず、真に環境改善に努めようなどとは思っていない。ただ結果として利益を上げられていないのは、何とも皮肉な話である。結局は生産性のない事業に多額の資金をつぎ込んでいるという点で、所詮は単なる無駄遣いである。環境政策のプロパガンダに騙されると、環境悪化を招くだけでなくお金も失ってしまうことになる。今後ともこういった情報には留意していただきたい。
 また今年のCOP27にはロシアや中国が参加していないようで、実効性のない会議になるだろう。日本政府にはこういった状況を利用して途上国を巧みに取り込むなどの外交を見せて欲しいものだが、外務大臣も環境大臣も無能であり、単に会議で喧伝された事項を繰り返すだけのメッセンジャーボーイの役割しか果たせそうにない。
 岸田政権は未だに新しいエネルギー政策を発表しておらず、環境政策に向けた十分な対策が見られない。支持率低下で右往左往しても国民のためになる政治をしてくれるならいいのだが、そんな能力すらないようである。岸田総理の危機感のない顔を見るも冗談抜きで厳しくなってきた。早期の退陣を期待したい。

 英文を読んでわからないという方は、メールにて解説情報をご提供させていただきます。なにぶん素人の理解ですので、一部ご期待に沿えないかもしれませんので、その場合はご容赦願います。当方から提供した情報については、以下の条件を守ったうえで、ご利用いただきますようよろしくお願いいたします。

(1) 営利目的で利用しないこと。
(2) 個人の学習などの目的の範囲で利用し、集団での学習などで配布しないこと。
(3) 一部であっても不特定多数の者が閲覧可能な場所で掲載・公開する場合には、出典を明示すること。(リンク先及び提供者のサイト名)
(4) 著作元から著作権侵害という指摘があった場合、削除すること。
(5) 当方から提供した情報を用いて行う一切の行為(情報を編集・加工等した情報を利用することを含む。)について何ら責任を負わない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?