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民主党の大増税法案について(ヘリテージ財団の記事)

写真出展:Gerd AltmannによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/geralt-9301/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=646509

 ヘリテージ財団は2021年9月17日に、民主党が発表した大増税法案に関する記事を発表した。内容は、法案を8つの観点から評価するものであり、その不当性を批判するものである。今後のアメリカ経済の行方と政策の方向性を占う際に参考となることから、本記事の概要を紹介させていただく。

↓リンク先(8 Things You Need to Know About Democrats’ Tax Increase Bill)
https://www.heritage.org/taxes/commentary/8-things-you-need-know-about-democrats-tax-increase-bill

1.本記事の内容について
 ・9月13日の週に、民主党は大増税法案を公表した。880ページにも及ぶこの法案は、2兆ドルの増税となっており、オバマケアの5000億ドルをはるかにしのぐ、史上最高の増税法案である。これは、政府の権限拡大を目論む左翼的法案であり、以下の8項目の件について注意しておく必要がある。

  ① 年収5万ドル以上の所得税増税
    バイデン大統領は、年収40万ドル以下の国民の所得増税を行わないことを表明していたが、実際には年収5万ドル以上の国民に所得増税が法案に盛り込まれた。民主党の政策を実現するには、高所得者層への課税だけでは十分な財源を賄えないことから、中間層への増税はなんら驚くに当たらない。
   一部、所得再分配により、低所得者層にとっては実質的には負の所得税になると正当化する当局者もいるが、これは本末転倒な議論である。

  ② 所得税の増税及び世帯課税の強化
    所得税の最高税率は39.6%に設定されている。更に年収4万ドル以上の個人所得税及び世帯年収4.5万ドルの所得税は増税となる。更に年収500万ドル以上の個人は3%増税されることになり、オバマケアの3.8%の増税に上乗せされることになる。
   よく高所得者は税金を払っていないと批判されるが、実際には相当部分を支払っている。(詳細図1参照)

税のデータ

       ③ 個人事業主への増税
    所得税の増税に伴い、法人税率ではなく、個人所得税率が適用されている個人事業主にとっても増税となる。その他税控除の制限や投資の純利益への課税も含まれており、小規模な企業への大幅増税となる。


  ④ キャピタルゲイン増税
         今回の法案では、最高税率が25%に設定されている。但し、これは富裕層に対するものというよりも、ビジネス上の付加価値税になっている。これは新規投資を阻害する要因となり、経済成長が鈍化するだろう。更に大企業が不当に保護され、中小企業に対する重荷となる。

       ⑤ 中国以上の法人税率
         今回の法案では、最高税率が26.5%に設定されている。EUの平均19.9%、中国の25%を上回る税率である。このことに伴い、賃金が減少し、投資も減退することが予想される。更に利益だけでなく、一定の企業活動にも課税される仕組みとなっている。これはリベラルが政府による支配拡大を目論んだ結果としての増税であり、民主党の最終目標を達成する手段なのである。

  ⑥ 国際貿易への打撃
    本法案は、輸出・輸入双方にも増税の対象を広げている。グローバル無形資産低課税所得の控除を減額し、海外で支払っている税金の控除も減額されることになる。このことにより、国際貿易が阻害されることになり、貿易業者に大打撃となる。

  ⑦ 歳入庁の不正資金増加
    本法案によると、歳入庁に790億ドルの予算が計上され、課税強化やコンプライアンス対策、監査や法執行支援などに用いられるという。すでに2021年度で130億ドルの予算が割り当てられているのであり、高くなる。歳入庁はスキャンダルで有名であり、組合に支配されていることから、このような特別な予算は不正資金に流用される可能性が高い。
 バイデン政権は更に、600ドル以上の金融活動について歳入庁に報告するよう求めており、プライバシーを侵害し、金融機関に過度な負担をかけることになる。
 ただでも現在の税制は複雑であり、納税者の手続きに要する延べ時間は60億時間とされ、3040億ドルを要するとされているが、この法案はさらにこの複雑性を増すことになる。

  ⑧ 税による企業の福利厚生及び中央集権
    この法案は、政府による中央集権を強化し、リベラルが好む国体を作り上げることに貢献する。左翼的政策に賛同する者は利益を得ることができ、特にグリーンニューディールは、グリーンエネルギーに2350億ドルを割いている。電気自転車を購入した場合には、1500ドルの税控除があり、不当に優遇されている。その他労働組合の優遇税制もあり、新聞記者の給与所得控除も盛り込まれている。

2.本記事読後の感想
  なんとも気持ちが暗くなる話である。コロナ禍で傷んだ経済を回復させる必要があるにも関わらず、増税のニュースが出てくるのは残念である。イギリスも増税法案を可決したようだが、先進国の経済は停滞し始めるだろう。日本はこの流れに乗らないことを期待したいが、自民党の総裁選を見ていると減税派がほとんどおらず、非常に危険な状態であるように思われる。
 増税は失政の最たるものであり、良い政権は減税するものである。財源がないから増税するというのは、国民から所得を巻き上げるということであり、政府や政治家が自分たちの身を切らないということを意味している。国民はこういった政策に対しては断固反対する姿勢を見せるべきである。

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