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アメリカの天然ガス輸出余力について(CFACTの記事)


写真出展:wasi1370によるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/wasi1370-8259843/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=4699039

 2022年4月14日にCFACTは、アメリカの天然ガス生産量及び輸出余力について紹介する記事を発表した。内容は、アメリカが世界最大級の天然ガス埋蔵量を誇る国であることを示し、パイプラインの建設によりロシアを代替することが可能であることを示すものである。バイデン政権の愚かな環境政策により、パイプラインや新規ガス田の建設が阻害されており、このことが昨今のエネルギー需給ひっ迫や価格高騰を招いていることが良く分かる。今後のエネルギー動向を探るうえで参考になることから、その概要を紹介させていただく。

↓リンク先(America’s LNG export potential)
https://www.cfact.org/2022/04/14/americas-lng-export-potential/

1.本記事の内容について
・2021年のアメリカの天然ガス生産量は、34兆1490億立方フィート(cf)だった。対して消費量は30兆2840億立方フィートであり、輸出は6兆6530億立方フィート、輸入は28億800万立方フィートだった。このうち液化天然ガスは、3兆3560億立方フィートであり、平均日量98億立方フィートである。(図1)

 但し、2022年には輸出余力が少なくとも日量114億立方フィートまで増加する見込みである。次に既存の液化天然ガス輸出ターミナルからの輸出量を見ることとする。

・2022年における既存の輸出ターミナルの輸出見込量は、以下の通り。(図2)

①アーカンソー州 ケナイ:日量20億立方フィート
①ルイジアナ州 サビーネ:日量45.5億立方フィート
②メリーランド州 コーブポイント:日量8.2億立方フィート
③テキサス州 コーパス クリスティ:日量24億立方フィート
④ルイジアナ州 ハックベリー:日量21.5億立方フィート
⑤ジョージア州 エルバ島:日量3億5000万立方フィート
⑥テキサス州 フリーポート:日量21.3億立方フィート
(イタリック表記は、メキシコ湾沿岸部)

・以下の図3は、液化天然ガスの新規の輸出余力を示したものである。(メキシコ湾岸のフロリダ州ジャクソンビルを除外している。)

 もし輸出ターミナルが完成すれば、日量287.2億立方フィートの余力が加算され、年間では1兆4820億立方フィートとなる。天然ガス全体の生産量は、年間で11兆660億立方フィート上昇することになり、これは32%の増加に相当する。
・新規の主な生産地は、テキサス州、ルイジアナ州、オクラホマ州、ペンシルベニア州、オハイオ州、ウエストバージニア州であり、特にメキシコ湾岸が主たる地域である。
 メキシコ湾岸
 ・テキサス州:7兆9900億立方フィート
 ・オクラホマ州:2兆5280億立方フィート
 ・ルイジアナ州:3兆1810億立方フィート
 アパラチア山脈近郊
 ・ペンシルベニア州:7兆500億立方フィート
 ・オハイオ州:2兆3300億立方フィート
 ・ウエストバージニア州:2兆3790億立方フィート
 年間で11兆660億立方フィート増産するには、メキシコ湾岸地域の生産量を2倍にするもしくは、アパラチア山脈近郊のマーセラス・ユティカからパイプラインを引く必要がある。但し、アパラチアからのパイプラインは東海岸側からの輸出に回されるべきであり、メキシコ湾岸の輸出ターミナルへのパイプラインが優先されるべきであろう。
・ただ、新たな天然ガス輸出ターミナルの増設については、バイデン政権が最大の障壁となる。国有地の借用や掘削の承認規制を強化しており、輸出ターミナルの新規建設が妨害されている。米国連邦エネルギー規制委員会は、気候変動を承認要件に追加しており、委員会の随意により新規パイプラインの建設が妨害されている。環境保護団体による反対運動も大きな要素であり、アパラチア山脈近郊の天然ガス田からの供給も妨害されている。

・マーセラス・ユティカのガス田は、世界的に見ても最大級の埋蔵量を誇る。他に比肩しうる地域は、ペルシャ湾のサウスパーズ天然ガス田である。(図4)

 2019年の米国地質調査所では、アパラチア山脈の埋蔵量は214兆立方フィートであると見込まれていたが、ウエストバージニア大学の研究では、この数倍もの規模になると見込まれている。もしこの研究が正しければ、アメリカが世界最大の天然ガス埋蔵量を誇る国ということになる。
・アメリカはアパラチア山脈近郊の天然ガス田から、既存もしくは承認済みの輸出ターミナルから数十年に渡って天然ガスを輸出することができる。またテキサス州やオクラホマ州のガス田は、アメリカ国内の消費量を賄うに十分な生産量である。天然ガスを確保するためにはパイプラインの建設が必要であるが、バイデン政権の左翼的環境政策により頓挫している。パイプラインが建設されれば、アメリカ国民を救済しつつ、世界に十分な量の天然ガスを供給することができるのである。

2.本記事読後の感想
  過去の記事で、ロシアをエネルギー市場から排除した場合、その分のエネルギーを賄うまで5年程度を要するという分析を紹介させていただいたが、その主たる役割を果たすのはアメリカであった。今回の記事も同様の見解であり、石油だけでなく天然ガスについてもアメリカが世界の救世主になるのである。
  こういった状況を見ると、トランプ政権の方向性がいかに正しかったかが良く分かる。ロシアゲートやプーチン大統領を賛美するような発言で誤解されているが、実質的にロシアを封じ込めていたと捉えることができよう。対してバイデン政権は、愚かな環境政策で原油価格を高騰させ、ロシアに財政的余力を与え、かえって被害を増大させてしまったのである。2014年のクリミア併合時も原油価格が高騰していた時期であり、今回のウクライナ紛争も或る意味ではバイデン政権の政策が引き起こした惨劇と言えるのかもしれない。
  いずれにせよ、エネルギー問題を解決できるのはアメリカのみである。我々日本人も、冷静なエネルギー政策を訴え、アメリカを応援するべきである。
  
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