見出し画像

インフレに慌てる必要はない(ヘリテージ財団の記事)

写真出展:Gerd AltmannによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/geralt-9301/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=76197

 ヘリテージ財団は2021年7月27日に、最近のインフレ傾向について解説する記事を発表した。内容は、インフレの要因を提示し、過度に懸念する必要はないとするものである。最近になって、インフレ懸念で株式市場が大きく変動するといったことがあったため、参考として本記事の概要を紹介させていただく。

↓リンク先(Inflation Fears Are Justified, but There’s No Reason To Panic (Yet))
https://www.heritage.org/markets-and-finance/commentary/inflation-fears-are-justified-theres-no-reason-panic-yet

1.本記事の内容について
・3か月連続で消費者物価指数(CPI)が年率以上に増加しており、これは2008年以来初めてのこととなった。FRBの幹部はインフレ率を高水準に維持すると言っていたが、現在の傾向は一時的なものであると火消しに走っている。失業率が十分に下がるまでインフレが続いた方がいいとする意見もあるが、パンデミック前の水準にまで戻っており、これも説得力に欠ける説明である。
・最近のCPI上昇は、ホテル、航空賃、外食などの価格上昇が大半を占めている。コアCPI(日本では、コアコアCPI)も上昇しているが、これは主に中古の車やトラック価格の上昇によるものである。その他、手厚い失業給付による労働意欲の低下に伴い、人手不足も深刻となっており、これも製品価格の上昇に拍車をかけている。
・FRBがインフレ抑制のため、金融緩和を抑制する(テーパリング)のは誤りである。年末までには失業給付が失効する200万人の失業者が労働市場に戻ってくることが期待されており、資金繰りを苦しくする政策は景気を悪化させるだけである。
・むしろ市場の混乱は、莫大な政府債務にある。サマーズは、第二次世界大戦時並みの景気刺激策により、前代未聞のインフレ圧力が発生すると警告している。現在バイデン政権は4.5兆ドルの追加刺激策を提案しており、更に議会は4貯ドルのインフラ予算を審議している。景気刺激は必要であるが、この水準はあまりにも過大であり、議会及び政府は、政府支出を適正水準に維持するべきである。

2.本記事読後の感想
  日本とは真逆で、羨ましい悩みである。今年は選挙で景気刺激策が出てくると思われるが、アメリカのような思い切った金額にはなりそうにない。株価がさえないのもその辺を予想しているからだろう。
また、インフレの話が出てくると、すぐにハイパーインフレ論者が騒ぎ出すが、全く慌てる必要はない。この手の人々の予測は当たったことがほぼ無く、極端な上昇局面に入ると経済の調整機能が働くわけで、徐々に落ち着いていくのが通常である。こういった話題は投機筋が儲けようとする際のネタという程度に捉えておけばよく、表面的な言説に惑わされないことが重要である。
  ただ、インフレの質には注意しておく必要がある。食品やガソリンなどの生活必需品の高騰は望ましくないインフレであり、こういった傾向がある場合は、前もって食品を多く備蓄しておく、高騰しそうな製品の消費を控えるなどして備えておいた方がいいだろう。
  更に、インフレと景気回復を混同することがないようにするべきである。長引くデフレのため、インフレが望ましいと単純に発言する識者が多いが、輸入品の値上げと資産価格の上昇はその性質が異なる。前者は相対的に支出が増えることになり、後者は裕福になるということである。
  言うまでもないことだが、ニュースを見る際には、見出しではなく中身を検証することが重要である。日本の言論空間は異常であり、特に経済は当てにならないことが多いため、海外の記事などと対比しながら考えを深めることを心がけよう。

英文を読んでわからないという方は、メールにて解説情報をご提供させていただきます。なにぶん素人の理解ですので、一部ご期待に沿えないかもしれませんので、その場合はご容赦願います。当方から提供した情報については、以下の条件を守ったうえで、ご利用いただきますようよろしくお願いいたします。

(1) 営利目的で利用しないこと。
(2) 個人の学習などの目的の範囲で利用し、集団での学習などで配布しないこと。
(3) 一部であっても不特定多数の者が閲覧可能な場所で掲載・公開する場合には、出典を明示すること。(リンク先及び提供者のサイト名)
(4) 著作元から著作権侵害という指摘があった場合、削除すること。
(5) 当方から提供した情報を用いて行う一切の行為(情報を編集・加工等した情報を利用することを含む。)について何ら責任を負わない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?