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飛び入り草野球体験

何にもうまく出来なかったけど、楽しかった。
野球って、観るだけじゃなくてするのも楽しい。

草野球をするつもりだったのではなくて、キャッチボールをする予定で野球の集まりに参加する事になったこの間の週末。
一番始めは今思うとウォーミングアップになっていたはずの、私のお目当てのキャッチボールをさせて貰った。
私はまだボールを必ず思うような場所に投げられない右投げタイプなので、お相手をして下さった方が左利きだったから何だかうまく投げられたような気にさせて貰えた。
この練習の組み合わせにしても、他のメニューにしても野球の練習は一人ではなくチームでするのもよくわかった気がする。
無駄なところが無いような練習が沢山見えていた。

私はキャッチボールが目的で来ていたからメンバーの中で時間が経てば、お相手が変わるのかなと呑気に構えていたら、いきなりのシートノック?が始まった。壁相手のキャッチボールしかやった事がなかったし、投げる事しか思い付いていなかったからポジションを意識したのは本当に初めてのこと。子供会のソフトボールチームに入っていた時はショートにいたけど、上手だからというより年齢が小さいからその場所にいたという感じだった気がする。今日もその時とあまり変わらない流れでセカンドへ。

セカンドといえば私の中ではどうしても吉川選手が頭に浮かぶ、他には広島の菊池選手、ヤクルトの山田選手、中日の荒木選手(井端さんの流れから)
でも、見惚れる意味での一番は菊池選手かなぁ。

試合を観ている時には必ず内野手に注目するけど外野席から応援する事が多いから、これまではどちらかといえば外野手を意識する機会が多かった。



それに内野手は外野席からは遠い上に動きが早くてルールがまだ難しくて分かっていないから何となく眺めるだけ眺めていた、その"内野"に立っていた!

大体、打ってファーストに走るという事さえ、忘れてしまいそうになるレベルで、セカンド!
センターラインは重要!内野の要と言葉は沢山思い浮かぶのに、どこにどう立っていいのかもわからなくて二塁がありそうな場所より左手でウロウロしていた。

完全におのぼりさん気分でいたら、何故かボールがたくさん飛んできて。。。、もしかしたら実は"狙って"下さったのかもしれない。

二塁塁審カメラの位置で試合を見るのはこんな感じかぁとジーンと感動していたら、ピッチャーさんがチラリチラリと後ろを確認されているのをみて、牽制かぁ…と眺めてしまっていた。私が塁に入らないといけない事にそういえばそうかも!とチェンジしてから気付いて謝りに走ったりもした。
野球観戦の意味では知っていても、実際に体を動かすのとでは全く違う。普段、下手をすると右手と右足を平気で同時に出してしまいそうなタイプだから、楽しいを通り越えて大興奮しているうちに試合が終わった。夢のような時間だった。

その後の雑談時間に、ファーストのSさんに肘が下がっているから思い切り上げるようにと声かけして貰った。思い切りあげてもどうせ下がってしまうから、目一杯あげるようにした方がいいよと教えてもらった。
でも、出来る時と出来ない時があるのと、自分で上がっているかどうかも分からないんですというと、腕を振り下ろす為の動作を品詞分解みたいにしてさらに教えて貰えた。
腕を挙手するように真上に上げて、そのまま身体の横を滑らせるようにして下ろす。とてもシンプルな動作だけど平仮名の「し」や「す」を書く時の真っ直ぐ下ろす難しさみたいなものがあった。これ以上分解する事は出来ないから、あとは練習あるのみ。
岩松先生の事もご存知だったから、ゼロポジションから斜めに振り下ろすのを教わっていた事もお話したけれど、色々な投げ方をピッチャーさんがされていたし、私はそもそも筋肉が足りないからしてみます。とお伝えした。

後から分かった事:
岩松先生とSさんに教わった動作は多分連続した同じ動作の中に含まれていると思った。Sさんから教わったのは最初の方。岩松先生から教わったのは最後の方……のような気がしている。これも合っていたらいいんだけどなぁ

投げ方のお話を続ける中で故障しない為に、まず正しいフォームを身につけるのが大切とも聞いた。
でもそんなに筋肉が無いから故障する程使えていないんですというと、筋肉は必要ないとハンマー投げの室伏選手のエピソードを聞く。
ある始球式で「野球としては」適当なフォームなのに130キロぐらいのボールを投げられたそうで、体の使い方を分かっている事の方がずっと重要になるというお話だった。

確かに岩松先生のストレッチ前後で身体の動く範囲が変わるから、それには筋肉は必要ではなかった気がする。勿論、よりよく動かす為には必要になるだろうけど、ドリルをして数分で変化を見るというのは"体の仕組みを理解して動かす重要性"を毎回考えさせられてもいた。


翌朝、鍼治療の後に感じるように体全体が薄くベールがかかったように温かくなっていた。
全身に血の巡りが行き渡るような感じ。何をしたからこうなったというのは分からないぐらいに沢山の新しい動きをしたから理由はわからないけど、仲間に入れて下さって野球をしたからなのだけは確かなこと。


岩松先生が胸ゆりかごのストレッチのご説明をして下さった時、生徒さん達に伝えるときは誰か他の人に軽く斜めに押して貰ったらもっと細かな筋肉まで刺激できるとお話されていた。その時、密かに寂しい気持ちになっていたのに、誰かが少し頼んだら誰でも気軽に審判でもキャッチャーでもフットワーク軽くてされていて、今日が初日でもそんな仲間に入れてもらえて本当に嬉しかった。

草野球メンバーが毎週末入れ替わって、みんなが揃う事もあまりないのかもしれなくても、草野球"チーム"なんだなぁと思った。

プロ野球は職業野球かもしれなくても、それでも塁上のランナーと内野手のお話は時折微笑ましく見ていたけど、今日は私がランナーさんに近かったので沢山質問をしてしまった。(味方チームの人は私というハンデがある為、忙しい上に物理的に遠い)
でも会話を続けていると、どうも自分のチームの為になる流れじゃなかったので翻訳し直すのが難しかった。

あと、百聞は一見にしかずを満喫したのは打者をセカンド付近から見た時。
「引っ張ると流す」の意味はわかっていても、頭の中で右利きだから…と選手をバッターボックスに配置するみたいに考えているだけだと分かり辛かったのが実際に目の前に見ると直ぐにどちらなのかがわかった。
テレビ画面でも同じように見ているはずだけど、打者がよく見えるように近づいた画面だと私はつい選手の表情を見てしまっていたのかもしれない。
それがリアルに遠目で見ると、バッターの体の向きでどちらに打たれるのかはすぐに分かった。審判さんのアウトコールが聞こえなくても手の向きで判断するみたいに、ダイヤモンドの中に入ると驚くほど見えやすかった。

球場で外野から試合は分かりづらいと聞いていてバックネット裏の見やすい場所に移動したとしても分かるようでわかっていなかったのが、ベースカバー?に入るとかの内野手の細かい動きがあること。さり気なく当たり前にスッと移動されるのを見続けていた。見ているだけじゃなくて私も動かなくてはいけないのだけど笑

シャワーのように次々言葉が飛んできて、とても面白かったのだけど、いつかの元ジャイアンツの中井くんが叱られてた時に知った、打球判断?というのが全く分からなくて、いったい自分はどこにいるべきなのかどちらを向くべきなのか途方にくれていた。そういう目線で見ていると守備範囲という以前に塁と塁のあまりの広さにボールは抜ける確信しかないように思ってしまった。(そんな気分になるだけで実際は立っていただけだけで、残念ながらボールが素通りするのをじっと見送っていてばかり)

打席に立った時、デッドボールを避ける為に基本は左足バックステップで下がる、時間がない時は身体を反らせると聞いた時にも改めて思ったけど、野球は観戦の時に考えていたのと違って相当忙しい。その意味では箱根駅伝に通じる。それと将棋なのかも。知れば知るほど奥が深い。

野球観戦はよく雑談をする余裕があると言われる。実際、一点が入るまでに時間のかかる事も多いし、スタンドは意外にのんびりした時間も多いからそういうイメージがあったけど中にいると刻一刻と場面が変化しているのに驚かされる。草野球だ遊びだと言われていても全くそう思えなかった。
ランナーが一人、二人と増える度に自分は守備でそこにいるのだから、焦らないといけないのだけど、面白くて仕方がなかった。私の場所はワンヒットでホームに帰れる場所。応援している時は相手チームの選手がそこにいるのは嫌だったのに、昨日は全く違っていた。

バーチャルリアリティー体験じゃなくて本当のリアルなんだけど、あまりにも何もできないままにセカンド付近に佇んでいたから、むしろよく出来たオンラインゲームのようにさえ感じ始めていた。でも、これは本当なんだなぁと。

そういえば肩の強さがどうと、言われてすぐ思い出すポジションはライトとキャッチャー。ボールを自分で投げるようになって本当に意識している。
今日は何度もすぐ近くから"人の手から弓形に綺麗にかつ力強く飛ぶボール"を見られて感動していた。ライトやレフトのスタンドから見える以上に角度のあるものでボールの伸びという言葉も景色に重なっていた。

落合監督が主人公の「嫌われた監督」の中で、レギュラー獲得の為にマンツーマン指導されていたノックはこんな感じかなと思うのも見せて貰えた。ノックを受ける方の体力も凄いけど、ノックをされる方も凄い。そのお話をすると、だから体力のある二人に走って貰うんですと正確に打ち分けられていて見どころ沢山の練習だった。

この時、二人の方がノックを受けて返球されたボールを、私が受けてノッカーさんに渡す係をしていた。こちらに返して貰う時、必ずノーバンとワンバンで投げて単純な返球でなく、練習になるようにして下さっている気がした。
ノックと同じに取れる範囲を見極めて投げて下さる。逸れてごめんねと仰ってたけど、ジャンプして取れるぐらいの高さだった。狙った所に投げられるのって本当にかっこいいと思う。

遊びの中に学びをたくさん入れてもらって充実した週末を過ごせた気がする。たった数時間だけだったかもしれないけど、謎が相当解けてきた気がする。

そして、次の壁打ちキャッチボールの日。
Sさんに教わった"真っ直ぐ腕を下ろす"事に挑戦してみた。出来る限り肘を上げて、その手を真っ直ぐに振り下ろす。

岩松先生のゆるドリルと同じに、言われていることもする事も分かっているのになかなか出来ない。また、最初の頃のように、ふわぁっと壁にまでゆっくり届いて速さがなくなって、狙う所にも当てられなくなった。そうかと思うと地面に当たるをまた繰り返しそうになったので、今度は弓形でいいから届く事を目標に、最低限は真っ直ぐに振り下ろすに集中してみた。 
何回か壁に届いた時、少しボールが曲がったような気がした。逆スライスカーブというか。
それでも、兎に角、ヘナチョコボールなのが気になるけれど我慢して続けてみていた。そうすると、自分ではよくわからなかったけれど、いつからか右足の動きが変わってきた。無意識に体重移動をしているような気がしたけど、どうなっているのかはまだよく分からない。
兎に角、なるべく高く肘を下げないで腕を振り下ろす事に集中していたら、ある時、左足が勝手に上がってしまう事に気付いた。まだ、ボールが壁に届くのも、スピードも、回転もある時とない時がある不安定さに戻ったけど、真っ直ぐ振り抜けた時は身体が気持ちいい感じがした。ゼロポジションから振り抜いた時の腕の速さみたいに、何だかうまく言えないけれど合ってる感じはしていた。

暫く続けて、体が温まってきたのでOさんに教わった左足の前でボールを取って、ステップをしながらファーストに送る動作の復習をしようとした。
というか、難しい。何が難しいというと全部難しくて笑ってしまう。
ボールの跳ねるタイミングに合わせるのがまず難しい。取って右手に持ち変えるのにもたつく。その時のステップももたつく。
ステップ一つとっても、足を入れ替える時に腰を上げないようにと言われたのに、身体を低い位置のままに動かす力が太腿に足りなくて堪えられずに一度起き上がって、腰をまた下げてをしてしまうから、頭が上下するように波打つような動きをしてしまう。平行に体を動かせなくて、全くへなちょこだなぁと悔しくなる。
その上、仮にそれがスムーズに出来たとして、ファーストに取りやすいように投げられるかはまた別のお話。それも出来るだけ速く正確に…なんて、無理!!
余りの不出来に何度も笑ってしまいそうになりながら"出来なくていいから方式"で、とりあえず教わった点を意識して、今自分がすぐに練習出来るのは「ボールの持ち替え」と「足の入れ替え」だというのだけは理解した気がする。
ボールを正面から捉えようとしないで、右側から入って、左足の前で捕球するのはまだ先のお話。ともかくボールに追いついて、持ち替えて、投げるを目指す。

ただ、今日はいつもよりなんか出来ていると思えた瞬間が何回かあった。キャッチボールの先生とキャッチボール倶楽部に出席した後、ボールをいつもより力強く壁にぶつけられた気がする。それから、壁打ちでボレーみたいに近くで投げてワンバンで取る時に身体がうまく回転してくれた気もした。
でも肘のお話の時と同じで、いいのか悪いのか確信は持てない。分かってはいないけど、いつもよりボールを投げる時に身体が回って、先生とのキャッチボールの時の最後の最後の時と似た感じがあった気がする。

次の鍼治療の時に、岩松先生にゆるドリル「壁ブリッジ回り」の後、身体がコマのように回れた気がしますとお話するとそれが狙いの動きですとお返事を貰って心底嬉しくなっていた。

これからはサンドボールでウォーミングアップをする


野球の応援をして何度も何度も見ていた場面がすぐ近くにあるというのは、本当に感動的だった。ランナーに走り回られても味方がホームランを打ってくれても全部全部面白かった。

これだけ濃密な時間を過ごせたように思う理由は、私が野球を好きなだけではなくて皆さんが小さな事から広げて教えようとして下さったのをヒシヒシと感じられたからだと思う。

"良いよ"と褒められると嬉しいくせにすぐに崩れてしまった私に、飛距離が伸びたと違う声かけで調子がいいよと教えて下さったりもした。私の手の届く範囲、投げ方、癖、そういうものを本当に細かく皆さんからボールと一緒に渡して貰った気がする。

そんな初めての草野球体験でした。







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