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紹介シリーズ【え】~江田神社 春の訪れ ヤマザクラ

宮崎市阿波岐原にある江田神社はその由来にもかかわらず、実に知名度が低い。

神主の祝詞の際の決まり文句は古事記にある「筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原」。現代のことばに直せば筑紫=九州、日向=宮崎県、橘の小戸=宮崎市、そして阿波岐原となるが、これはそのものズバリ、江田神社の「住所」を示している。

続日本紀でも837年にその存在が示されている、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)、伊邪那美命(いざなみのみこと)を祭った日本最古のご神体を祀る神社なのである。また黄泉の国で穢れを受けた伊邪那岐命が、歴史初の「禊祓(みそぎはらい)」を行っている「みそぎ池」があるのもここ。

神話と江田神社は切っても切れない関係にあるのだが。

読み札にあるヤマザクラもまた知られていない。日本を象徴する花、桜といえばまず思い浮かべるのはソメイヨシノ。

だが江戸時代まではソメイヨシノはなく、桜といえばヤマザクラを指していた。つまり日本の本来の桜はこちらなのだ。そして、ヤマザクラは県花でもある。

実は江田神社にヤマザクラは、ない。

かるた読み札選考あたっては県の識者におしたのだが、この句のあまりのキレの良さに、一同、これを推挙しててしまったのだ。採用後、事実関係の確認で発覚したのだが……しかし、もっと知られて良いという点では共通する偉大な宮崎の文化であることに違いはない。

【え】の絵札

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