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#6 『愛と希望と勇気の平成ドラマ天国の思い出』

ミッドナイト・ノスタルジック・エモーショナルラヂオとは**

共に1991生まれにして生粋の夜型人間 西口ひかる金井塚悠生が、夜をこよなく愛する人達にお届けするラジオ番組です。キーワードは#真夜中の連帯感。毎回テーマを設定して、カオスな脳内の2人がとりとめもなく話します。今回のテーマはノスタルジック編「思い出のユートピア」。いつもの真夜中に、どこか懐かしくて、ふいに心が揺れる瞬間を。ミッドナイト・ノスタルジック・エモーショナル ラヂオ はじめました。

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いま、感染症の影響で家で過ごしている方も多いと思います。自分や大切な人を守るためにも今は1人1人が出来るだけ不要不急の外出を避けるのが、何より大切。しかし、ずっと家の中で先の見えない日々を送っていると気が滅入ってしまう。コロナ疲れなんて話もあります。

そんな「Stay Home」な日々、少しでも気分転換になればいいなと思い、『愛と希望と勇気の平成ドラマ天国』と題して、愛=恋愛ドラマ、希望=青春ドラマ、勇気=仕事ドラマ、社会派ドラマの3つのジャンルから、平成の名作ドラマを紹介したいと思います。

そして、今回は平成ドラマ特集という事で…稀代のテレビっ子で、著書「ボクたちのドラマシリーズ」をはじめ様々な媒体でドラマの魅力を発信している編集者でライターの綿貫大介さんをお呼びしました。

3人が今だからこそ見たいドラマ3選を持ち寄って、その魅力について語り尽くしていきます…。

ラヂオ本編

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おすすめ平成ドラマ3選〜西口ひかる〜

恋愛ドラマ『恋のチカラ

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たま〜に、好きな女優さんや興味のある題材のものはチェックしたりするが、連続テレビドラマというものを、めちゃくちゃ観てた期に比べた回数&頻度は減っているなあと感じる。中学生の頃、毎日夕方のドラマの再放送を楽しみに、部活も行かずに家にまっすぐ帰ってきていた。休みの日は近くのローカル感満載なレンタルビデオ屋さんへ行き、90年代のあらゆる恋愛・青春ドラマを観ていた。

私は多くのことをドラマから学んだ。部活動もいいが、テレビを付けたらときめきの世界へ入っていけるし、画面の中でひろがってく人間模様を見ている方が人の心の内側を知れた気持ちになって、刺激的で、すごく楽しいなあ、と思っていた。

そして最近、大人になってから平成のドラマたちを見返してみた。これがすんごく良い。今の方が数倍ドラマを楽しめてる。

私がラヂオ内で紹介した「恋のチカラ」もそのひとつだ。

この「恋のチカラ」というドラマについて説明をさせてほしい。主人公の深津絵里演じる本宮籐子は広告代理店の庶務課に勤めていて、ひょんなことから売れっ子広告デザイナーの堤真一演じる、貫井巧太郎から引き抜きの誘いがかかり、悩みぬいた末、憧れの貫井からの誘いに応じたが、実は人違いであったと言われてしまう…という話なのだが、この堤真一の役柄に私も恋をしてしまった。ツンツンと、そこしキツい言い方をするけれど実は面倒見が良かったり。主人公の籐子は色々と不器用だけど一生懸命で応援したくなる要素が詰まりまくったキャラクターなのだ。籐子が手違いで来てしまったとはいえ、職場の雰囲気を自然と和ませしまう本人無自覚の愛されキャラで、事務所にとって必要不可欠な存在。だんだん物語が進むにつれ、籐子が仕事に対する自我やプライドなどが出てくる。これは感情移入。早く素直になって貫井さんとくっついてほしいいいいい!と焦ってしまうのだが、二人の仕事仲間としての絆を強くする出来事が起きたりして、より二人のしっくり感が増してくる。貫井さんを、好きな人として見つめたり、仕事人として見つめてみたり…マジで理想的な関係性。私は今この関係性を求めている。非常に羨ましい。ベタな展開もありつつ、大人的な心にストップをかけたり、とにかく第三者目線が楽しい。壁に徹することができる。けれど時に、籐子風に部屋でパジャマを着てビールを飲んでて、急に立ち上がって「ガンバルぞ!」とガッツポーズを取りたくなったり、知らずうちに影響を受けてしまっている自分がいる。恋も仕事頑張りたい身としてはバイブル的なドラマである。


青春ドラマ『金八先生〜第5シリーズ〜

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金八さんです。他にも私を形成してくれたドラマの一つに金八先生がある。私は特に第5シリーズが好きだった。この作品は3年B組の担任への暴行、いじめなどが起こり、金八先生が戻ってくることから始まる。不登校や家庭内暴力、いきすぎた過保護など結構な重い話が続くが、登場人物は15才である。少年少女たちの考え、抱える心の闇とどう向き合っていくか。当時は生徒になった気分で観ていた。一つ一つ問題が解決していくにつれ、3Bの生徒が羨ましくなる。私にもこんな先生がいたら。思春期真っ只中の私も、胸が熱くなり、見て見ぬ振りをせず、真剣にぶつかっていく生徒や金八先生がとても眩しく見えた。道徳の授業を濃密バージョンとも言えよう。あの頃は生徒目線だったが、今観たら先生側の目線で観てしまうのだろうか。どうなんだろうなあ。


社会派ドラマ『伝説の教師

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社会派ドラマ…といったら少し固いイメージを持ってしまう。青春ドラマと少し被ってしまうが、印象に残っているドラマで「伝説の教師」を思い出した。ダウンタウンの松っちゃんと中居くんのダブル主演の教師ものだ。原案は松っちゃんで、学園コメディだがシリアスな問題あるテーマを扱い、ブラックユーモア的な要素やアドリブもあり、長いコントを見ているような感覚になる。あ、絶対面白いだろうなという安心感があるのがいい。若いが故の未熟なドロっとした部分をまったく予想のつかないかたちで解決、向き合っていく。現在のバラエティとは違う、この雰囲気の2人のタッグはこのドラマでしか味わえないと思う。

と、まだまだ平成のドラマは語りつくせないほどたくさんある。ドラマの中に出てくる部屋のセットや小道具・衣装にしても、今観るとやっぱり年代だなあ〜と感じるものや逆に今流行っているものがあったり。ストーリーはもちろん、そういった目線で見るのも面白い。私は90年代のシティものも好きなので、今観た方が断然興味がもてるし、インプットがはんぱないと思う。ちょっとした古くささにときめきやいじらしさを覚える。大げさかもしれないが、特に平成ドラマ(90年代と2000年代前半)をこれからも愛していきたいし、好きなシーンと共に生きていきたい。

BGM〜ドラマ主題歌プレイリスト〜

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おすすめ平成ドラマ3選〜金井塚悠生〜

恋愛ドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう

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ある時期を境に巷にあふれる「恋愛」を扱った作品に全く感情移入出来なくなってしまった気がする。ドラマも映画も漫画も音楽もCMもバラエティも世界は「他人の恋愛」の話であふれているが、どういう訳かそれがまったく響かない。単純に自分がこじらせているだけなのかもしれない。(その可能性は高い)でも、一方で、生涯未婚率の上昇や若者の恋愛離れ等、世の中でも、一部で「恋愛」=オワコン説がにわかに真実味を帯び始めている。「恋愛」してないとか、呼吸してないと同じくらいの空気感だった(ちょっと言い過ぎた)トレンディブーム、純愛ブームでケータイ小説やセカイ系作品の全盛期の90年代、00年代に比べると、これも「多様化の時代」の影響かしらとか思いながら、自分はやっぱり恋愛というものにそれでもまだどこかで執着しているのだけど、何を理想としてどんな夢を見たらよいのか分からなくなってしまった。そう、かつて自分にとって恋愛ドラマは「理想を投影して、憧れを託せる物語」だったはずなのだ。(いろんな楽しみ方があると思うけど)
前置きが長くなったけど、そんな「みんなにとっての憧れの恋愛」を描き辛くなった現代、かつて恋愛ドラマの全盛期をつくったフジテレビ月9枠に突如として現れたのがこの「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」なのだ。脚本は日本で最も有名な脚本家の一人の坂元裕二。キャストは有村架純、高良健吾、坂口健太郎、西島隆弘(AAA)、高畑充希、森川葵らを中心に、満島ひかり、高橋一生が脇を固める。おそらく二度と再現不可能の奇跡の配役である。それぞれに暗い過去を持ちながらも明るく懸命に今を生きる音(有村架純)と連(高良健吾)の恋と二人を取り巻く人間模様を5年という時間軸の中で描く。ドラマとして特質すべき点は無限にあるけど、個人的にこのドラマが特別に思える理由は、「不都合な真実」を描いている点にあると思っている。
あえてな言い方をすると、元々ドラマ(つくり話)で、ましてや月9なのだから、どちらかと言えば、今風のお洒落な男女が東京のキラキラしたところで、かっこよくスリリングな恋の駆け引きをしたり、二人の愛が際立つような適度にセンセーショナルな逆境とかを描いていた方が都合が良いとも言える。でも、「いつ恋」はこの恋愛ドラマの快楽原則を鮮やかに裏切って、地方都市の閉塞感、見えない格差、老いや貧しさといった社会の現実を描く。見ていて、正直しんどくなる場面もたくさんある。全てが、ドキュメンタリー的な意味でのリアリティーがあるかと言われるとそうでもない。むしろ完全なフィクションだから描けるリアルがある。そんな稀有な作品だった。恋愛をしなくても幸せになれる時代、恋愛ドラマの新しい可能性を見せてくれた作品。やっぱ、恋してえな、、、


青春ドラマ『木更津キャッツアイ

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宮藤官九郎脚本。放送当時の視聴率こそ芳しくなかったものの、その後、DVDが異例売り上げを誇り、千葉の地方都市木更津を一躍観光都市に変貌させた(とかしてないとか)平成ドラマ史に残る伝説の名作。草野球チーム木更津キャッツアイの5人(ぶっさん(岡田准一)、バンビ(桜井翔)、うっちー(岡田義徳)、マスター(佐藤隆太)、アニ(塚本高史))が木更津の街を舞台に繰り広げるドタバタ劇。木更津のなんともエモい(当時はこの言葉なかったけど)街並みと、天才クドカンが描く奇妙奇天烈なキャラクター達の捧腹絶倒な掛け合いは何回見ても飽きない。一見、完全な日常モノ、コメディードラマだけど、実は、冒頭で主人公が余命宣告をされるところから物語が始まっていて、平凡でくだらない日常がどんなにかけがえのないものかを教えてくれる。
そういう意味で、本当の青春ドラマとも言える、余談になるけど、中高時代、よくつるんでいた悪友たちとこのドラマを観て(ドラマはDVDで、映画版はリアルタイムで)いたのだけど、高校2年で、自分がいろいろこじらせまくって中退する時に、このドラマの主人公のぶっさんのみんなに見送られる人の気持ちが分かった。男子校なんやかんやで楽しかったなぁ。

社会派ドラマ『僕らの勇気未満都市

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Kinki Kidsの2人、堂本光一、堂本剛主演。他にも、デビュー前の松本潤、相葉雅紀や、ジャーニーズジュニア全盛期のスター小原裕貴等が出演しているため所謂ジャニーズドラマとしてのイメージが強い人も多いかもしれない。
放送当時(1997年)は、バブルの崩壊、1995年の地下鉄オウム殺人事件や阪神淡路大震災、そして、1999年のアルマゲドン信仰等、世はまさに世紀末という時代。当たり前の日常が一瞬にして崩れ去るみたいな作品が量産されている時代でもあった。その中でも、特に強く印象に残っていたのが本作品。
主人公のヤマト(堂本光一)とタケル(堂本剛)(この設定はちょっと笑ってしまうけど)は、巨大地震があって封鎖されたと報道された千葉の幕張地区に友人を訪ねて潜入。すると、巨大地震というのは、政府の情報操作で、実は政府が秘密裏に開発していた細菌兵器が事故で拡散して、ウイルスによって20歳以上の大人は全員死亡。未成年だけが生き残った街の中で、主人公たちが命を懸けて政府と闘うという設定。
当時は分かりやすいとんでも展開だと思っていたけど、細菌兵器、情報操作、都市封鎖などなど、今振り返って見ると、全く別の意味を持ちそうな予感がする作品。2017年にはスペシャルドラマが放送されて話題になった。個人的には、東日本大震災の時にも、この作品のことを思い出していたけどドラマのキャッチコピー「ぜんぶ、なくなった。 みんな、きがついた。 やっと、きがついた。」は今考えたいテーマ。
未満都市(みまんシティー)というネーミングもかなり秀逸だと思うけど、今まさに世界中の政府や都市がこの未曾有の試練を前に未満都市になってるんじゃないかとも思う。現実世界でも「僕らの勇気」が試されているのかもしれない。

BGM〜ドラマ主題歌プレイリスト〜

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ラヂオ本編で綿貫さんがおすすめしていたドラマ3選も…
(ラヂオではこちらのドラマ以外にも沢山語って頂きました!笑)

〜綿貫大介さん平成ドラマおすすめ3選〜

恋愛ドラマ『ロングバケーション

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何年経っても色褪せない恋愛ドラマ。そして、今だから改めて考えてみたい『神様がくれた長いお休み…』。ロンバケを観て、恋愛だけではなく、これからの人生も考えてほしい。

物語:落ち目のモデル、葉山南(山口智子)は結婚式当日に婚約者が失踪してしまい、そのルームメイトだった冴えないピアニスト、瀬名秀俊(木村拓哉)とやむを得ず同居することになる。落ち込む南に瀬名は人生がうまくいかない時は「神様がくれた休暇」だと考えようと提案し励ますが、一方で瀬名も自分の才能に自信を持てず、後輩の涼子との恋もなかなか進展しない。瀬名と南はトラブルだらけの同居生活の中で、次第にお互いがかけがえのない存在になっていく。

青春ドラマ『ウォーターボーイズ

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青春ドラマのフォーマットが詰まった人間模様、話の展開。青春と聞いて真っ先に浮かぶ…福山雅治の主題歌もまたいい。

物語:シンクロに憧れ唯野高校水泳部に入部した進藤勘九郎(山田孝之)が高校最後の学園祭のシンクロ公演でリーダーに選ばれた。そこに、同じくシンクロに憧れている立松憲男(森山未來)が転校してくるも、シンクロ公演が突如中止されることに。さまざまな壁を乗り越えて夢のシンクロ公演実現へと向かってゆく。

社会派ドラマ『アンナチュラル

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石原さとみは時代を背負った女優だ…。このご時世に通づる、医療系人間ドラマ。何より、新しい石原さとみ像を楽しめるドラマ。

物語:設立して2年弱の不自然死究明研究所(英:Unnatural Death Investigation Laboratory)= 通称UDIラボという架空の研究機関が舞台になっている。UDIラボとは、日本における不自然死(アンナチュラル・デス)の8割以上が解剖されないままという先進国の中で最低の水準という解剖率の状態を改善するために設立され、法医解剖医の三澄ミコト(石原さとみ)を中心に、毎回さまざまな「死」を扱いながら、その裏側にある謎や事件を解明していく。

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と、愛と希望と勇気の平成ドラマ天国平成ドラマの思い出にそれぞれ、夢中になって語り尽くしました。話していくと、どんどん派生していき、年代もジャンルも超えていろんなドラマが出てくる出てくる…そんな愛すべき平成のドラマを通して、自宅にいながら今までを振り返ったり、考えたりする機会になるかもしれません。

このnoteも、聴いて、読んで、楽しんで頂ければ幸いです。

それでは、良いお家時間を。

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綿貫さんのドラマの話をもっと聞きたいという人は、WEBメディアNeoLの連載「平成テレビ史から読み解く、恋愛とケータイの遷移」へ…!


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