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ミッドナイト・ノスタルジック・エモーショナル ラヂオ 第一夜 『あの頃の未来』#1 〜なぜ夜が好きなのか編〜

ミッドナイト・ノスタルジック・エモーショナル ラヂオ

共に1991生まれにして生粋の夜型人間 西口ひかる金井塚悠生が、夜をこよなく愛する人達にお届けするラジオ番組です。キーワードは#真夜中の連帯感。毎回テーマを設定して、カオスな脳内の2人がとりとめもなく話します。今回のテーマは「あの頃の未来」。いつもの真夜中に、どこか懐かしくて、ふいに心が揺れる瞬間を。
ミッドナイト・ノスタルジック・エモーショナル ラヂオ はじめました。

あの頃の未来

10年代が終わった。2011年の東日本大震災後で語られる時代もまた一区切り。2020年には東京オリンピックがある。AKIRAに描かれたネオ東京みたいな未来はどうやら実現しなさそうだけど、この国は数年間ずっと、2020に淡い夢や希望を託してきた気がする。2020はこの国でこの10年間を生きてきた僕達にとって未来だった。そして今、あの頃の未来に立つ僕達は、この10年間をどう捉え、次の10年に何を描くのか。

金井塚悠生と西口ひかるは共に1991年生まれ。
この10年間は高校の卒業から社会に出るまでの5年と社会に出てから最初の5年に重なる。2/120000000の視点から眺めた2010年代と見据える2020年代。

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**なぜ夜が好きなのか?:西口ひかるの場合

『勝手に手が動く夜』 **

私は日が暮れた5時あたりからエンジンがかかる人間だ。いわゆる「5時から女」これは昔からそうなのでもう直しようもないし、個性だと思い、開き直っている。学生時代も朝はヘビー級に低血圧で自転車で学校に到着するのも一苦労。学生生活も基本的には集中力は続かず授業中は上の空。集中力マックス・無我の境地になるのは美術や書道の時間くらい。そして20分の距離をスカートがめくれていることも気にせずママチャリで全速力で家へ帰るのだ。大好きな古畑任三郎の再放送があるからだ。そして、夕飯を食べて、お風呂へ入る。この流れだと大体21時半くらい。自分でわかる、だんだん…じわじわとエンジンがかかってくる感じが。「やりたいことへのわくわく感」がどんどん研ぎ澄まされていくのだ。自室へ入り、照明を暗くしをしてオレンジの電球色のデスクランプを点ける。SONYのMDウォークマンに最強作業BGMセットし、その曲たちを聴きながら明け方まで絵をガリガリかくのだ。朝起きれるか起きれないかはもはやどうでもいい。今この瞬間に集中し、無になり、私だけの空間を最大限に楽しみ、没入する。お昼間は物事や外部にそんなに集中してないながらに自然とインプットしたものがポツポツと白い画用紙の上に出てくる出てくる。自分でも不思議な現象だ。手が勝手に動くのだ。別に誰に見せるわけでも、作品とも思っていない、意味なんかないものたちを自分の中から吐き出していく感覚。文章ではなく、絵。絵日記なんてものでもない。文章だと直接的すぎる表現しかできなかったので、自分には絵として出していくことがちょうどよかったのかもしれない。そんな我(が)を、時間を、生を忘れる夜を好きを通り越し、独特な中毒性がありソレにがっつりはまっていた。夜は昼間の私を忘れさせるわけでも、切り離す訳でもない、『インプットする時間に稼働する箱』として動いた私を肯定してくれる気がしている。

BGM 「やわらかな夜」 〜Orange Pekoe〜 

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**なぜ夜が好きなのか?:金井塚悠生の場合

『誰も触れない一人だけの国』**

朝型か夜型かは遺伝子で決まるという話を最近聞いた。もし世界に2種類の人間がいるとしたら僕は間違いなく夜型の人間だ。転職してからは午前9時よりも早い時間に起きることが1年で数日程度になった。僕の日常に朝はほとんど存在しない。そのかわりに深夜が果てなく横たわっている。そんな生活がもう何年も続いている。そんな僕でも、昼の世界に紛れ込もうともがいていた時期があった。幼稚園、小学校、中学校、そして新卒1年目。でも、本当にむいていなかった。毎朝まだ太陽が低い時間に起きるのは苦痛でしかなかった。新卒1年目の時は通勤に2時間かかっていたので、毎日人並に6時に起きていた。生まれながらの夜型人間の僕にはほとんど拷問に近かった。これが40年続くのかと思うとぞっとした。そんなこんなで何度か昼の世界への転身を試みた僕は目に見えない引力でことごとく夜の世界に引き戻された。きっと失ったものも多いと思う。詳しい話はここでは省くけど、高校生活は丸ごと夜に捨ててしまった。これから先もスーツを着て毎日電車で会社に行くみたいな生活にももう戻れないと思う。でも、得たものもあった。今も、昔も、多くの人が眠りにつく夜はずっと独りで思う存分物語の世界に浸ることが出来た。エヴァも、おやすみプンプンも、リィリィ・シュシュのすべても、生きてるだけで愛も、脳裏に深く刻まれた物語とはだいたい夜に出会った気がする。僕にとって夜は独りでいても寂しくない時間で、現実を忘れて物語に逃げ込める時間だった。昼間に感じていたどうしようもない寂しさも、仕事や人間関係にまつわるあらゆる悩みも夜になると不思議と影を潜めた。あるいは、日中ずっと頭の鳴り響いている騒音がピタリと鳴りやんだ。それからいつも、窓を空けて深呼吸をして、夜の空気で体内を満たして、誰もさわれない独りだけの国で、物語の世界に身を委ねて朝が来るまであてもなく航海する。そんな日々を生きている。

BGM 「夜を駆ける」 〜スピッツ〜


#1** ミッドナイトノスタルジックエモーショナルラヂオOP・なぜ夜が好きなのか編**

ラヂオ本編。20分間、よかったらお付き合いください。

それでは、おやすみなさい。

(次回は1月20日(月)深夜の予定です。)

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