「わたしのおふねマギーB」
アイリーン・ハース作の絵本。この「マギーB」という絵本が大好きだった。ドールハウスを眺めるように、こまごまと船内の様子が描いてある絵に惹かれるのかもしれない。けれどもっと好きなのはたぶん、お話の内容。子どものマーガレットが小さい弟のジェームスと、自分の船で一日を過ごす、その様子が描かれている。自分の船だから、自分で起きて、掃除や片付けをして、ご飯を作って食べる。嵐が来たら自分でなんとかする。それだけのことなのだけれど。
子どもの頃の私は両親と妹と住んでいた。特に不自由なく暮らしていたと思う。ただ、一人にはなりたかった。幼稚園も好きではなかった。小学校に入学した時に、私はこれからここに6年間ほぼ毎日通うのか、と絶望的な気分になったことをはっきりと覚えている。学校よりも家に一人でいて本を読んだりおもちゃをさわったりしていたかった。
マギーBの絵本は、弟は出てくるものの大人は出てこない。子どものはずのマーガレットが、家事も船の仕事もこなす。うらやましい。本当は私だって全部自分でやりたい。自分一人で決めたい。そうだ、決めたかったのかもしれない。
その後、一人暮らしもしたし、今は自分が親になって子どもと暮らしている。念願かなって自分で決めて、自分で家事もこなしている、はず。少し違う気はするが。できればご飯は誰かに作ってもらいたいし、洗濯も掃除もやってもらいたい。ないものねだりだったのか。
それでも、この絵本を読み始めると、今でもやっぱりこうしたい、マーガレットがうらやましい、と思う。
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