「眠る女とその周辺について」キャストお話し会(くによし組『壁背負う人々』より)
くによし組壁短編集「壁背負う人々」のキャストインタビューです。
本日は、「眠る女とその周辺について」のキャストの皆さんとお話しました。
○あらすじ
街一番の美少女が、ある日突然眠りから覚めなくなりうん十年。
眠りながらも成長を続けた女の子は、いつの間にかおじさんっぽくなっていた。
親戚をたらい回しにされた彼女は、許嫁が住むシェアハウスに預けられるが・・。
いつまでも眠る女と、その周辺についてのお話。
◯出演者
タナカエミ 津枝新平 黒澤風太 中野あき 輝蕗
◯聞く人 國吉咲貴
◯いる人 永井一信
國吉「インタビューを始めます。最初に、劇団の印象を教えてください」
津枝「劇団の印象・・優しいなあって」
國吉「ふふふ」
津枝「あと作品を見て、『あ、それアリなんだ』っていうのが多くて。ダメだと勝手に思ってたけど、演劇なんだからそれアリだよなとか、それやったらおもろいよな、とかよく思います」
タナカ「私は最初に見たのが『ああ、演劇』って演劇で、そのとき副音声回で」
國吉「本番をやっている横で解説したりトークしたりするっていう」
タナカ「すごい変なんですけど面白くて・・あと会場にくによし組の顔出しパネルが置いてあって・・」
一同 (困惑)
タナカ「くによし組の写真パネルで、國吉さんの顔が切り抜いてあって、」
國吉「國吉になれるっていう・・」
一同 (笑い)
タナカ「それがすっごいおかしいなあと思って。そういうのが、変な自分を見せよう、とかじゃなくて、これやったら面白いんじゃないかとか、そういう感じでやってるのがすごい良くて・・顔出しパネルとか誰もやってなかったんですけど」
國吉「自分で顔出しのとこ入って撮ってました」
黒澤「それもう自分じゃないですか」
タナカ「これやってみたいな、これあったら面白いなとかそういうので作ってるんだなっていうのが楽しいです」
輝蕗「私は今回初めてのくによし組出演で・・オーディションの応募動機が、ただのラブレターになってしまって・・」
國吉「嬉しかったです」
輝蕗「劇団の印象は、まず好きだ!って思って。生き辛い人に優しいな、温かいなって。生き辛い人に寄り添って、それで生きようって思えるから、好きです」
黒澤「くによし組はコンスタントに演劇をやられてて、お二人はあんまりそうは見えないんですけど、演劇好きだぜっていうのが伝わってきて・・」
國吉・永井 (照れ)
黒澤「出演する人たちも演劇が好きでいい人ばっかりなので、一緒に演劇やるの楽しいなって思います」
中野「國吉さんの作品は、いつも生命・・人間をきちんと描いてるのが凄いなと思います。懐の深い劇団なんだなって」
國吉「嬉しい・・。稽古はどうですか?」
中野「稽古は・・ハラスメントをおこさないように気にして・・」
一同 (驚き)
中野「でもくによし組がちゃんとしてるから、キャストもふわっと可愛い方ばかりが集まってるので、柔らかい空気で稽古が進んでいけるのが有難いなって思います」
黒澤「話し合える場を設けてくれたり、稽古で何度もトライさせてくれるのが嬉しいです」
輝蕗「私は、みんな面白いと思っていつも見てます」
黒澤「いつも笑ってますよね」
輝蕗「うるさいですよね。ゲラなんです」
國吉「ゲラは重宝されますね」
タナカ「ゲラが稽古場にいると安心します」
輝蕗「みんな面白いから、自分は大丈夫か不安になるんですけど、何をやっても受け止めてくれる人たちなので、頑張るぞって思ってます」
タナカ「私は稽古が演劇の工程の中で一番好きなので、稽古楽しいなと思って毎回来てます。今回役が語り手なので、やりとりで作る立ち位置ではないので・・好き勝手・・やってます」
一同 (笑う)
津枝「僕、演劇自体を人前でやるのが3年ぶりで、一作品をまるまるやるっていうのが久々なんですけど・・」
一同「へえ〜!」
津枝「でも稽古場がやりやすいです。これやったら怒られるかな?とか思っちゃうのって一番ダメじゃないですか、チャレンジ精神そがれちゃうから。今みんなで稽古してますけど、なんかやっても否定する人がいないっていうのがいいですね」
國吉「では次に『眠る女とその周辺について』の印象を、タナカさんからお願いします」
タナカ「個人的には、思い入れがある作品で・・一回コロナで延期になって、そのあと一年後に1日だけ本番ができて、って感じで。でも新しいキャストさんが全然違ってて、みんな違う印象なので、新しいものとして作れている感じがあります。初演見てくださった方も、全然違うので、見てもらえたら」
國吉「本当に全然違いますよね」
タナカ「全然ちがいます。何一つ同じことがないです」
津枝「僕はこの作品は4作品の中で一番、「重っ」て思ってて・・着地がエグいなって。救いがないというか・・あんまり出会わなかったな、くによし組では、って印象です」
タナカ「うわーってなりますよね」
津枝「うわーってね」
國吉「へえー」
津枝「役に対しては、初演の渋谷さんを意識はしてしまって、あのまっすぐさとかは自分には使えないから。でも國吉さんに「ひねくれて」とか、そういうワードをいただけたので、そういうのでいけたらいいのかなと思ってます。たぶん今までの感覚だけでやってしまうと軽いものになってしまうかなとも思いますので、そうはならないように」
中野「私は、國吉さんの作品には色気があるなと思ってて・・」
國吉「へー!」
中野「國吉さんってむっつりスケベなんじゃないかって」
一同 (笑い)
國吉「それは意味が変わってくるのでは」
中野「なんていうんだろう、ちゃんと人を見てるから、中学とか高校のときとかに異性に感じた焦燥感とかが描けているし、この作品に関しては・・でもずっとエロいって思ってる・・」
一同 (笑い)
中野「可愛いように見えてなんか大人、っていう印象があります。役については・・初演の田原さんとは全然違うんだろうと思うんですけど、國吉さんが最初に「中野さんに合わせて書き直します」と言ってくれて、私でいいんだって思えたので、頑張りたいです」
黒澤「僕、初演を見ていて、すごい面白くて・・」
國吉・タナカ・永井「ありがとー」
黒澤「津枝さんが言ってた、最後に救いがないっていうのが、演出とかキャストのポップさもあると思うんですけど、僕はずーんってなりすぎずに見れたんですよね。でもあの作品の中で僕が演じられる役はないなと思ってたので、國吉さんに塩原さん役でってお話来たときびっくりして・・。僕もやってて塩原さんの顔がちらつくんですよね・・」
國吉「全然違うじゃないですか」
永井「ちらつく必要ないよ」
タナカ「だって何も、かすりもしないですよ役が」
黒澤「そうなんですよね。なんかちらついてる自分もちょっと恥ずかしくて・・。あと意外とこういう役を回してくれるのって國吉さんしかいないかもと思って・・なので頑張ります」
輝蕗「私、初演も見てなくて、初演のキャストも調べたら引っ張られて終わると思って調べてなくて・・」
國吉「全然違います」
タナカ「かすりもしてないです」
輝蕗「作品の印象としては、壁宗教っていうのが・・頭ぶっとんでんな、と思って」
國吉「えー」
輝蕗「で、この作品のカズノちゃん役が永井さんって聞いて・・頭ぶっとんでんなって」
一同 (笑い)
輝蕗「で、救いがないって感想があったんですけど、私の印象は違くて、一番現実に近いなって」
國吉「嬉しい!」
輝蕗「カズノちゃんに関わった人も関わってない人も、生きてりゃその人生は続いていくわけだから、最後のみんなの選択は、ある種、無責任でもあるけど、でも現実って無責任だよなって。だから現実味があって、この作品一番好きです。出演できるって決まったときは「やった!」てなりました」
國吉「いい子だ〜」
一同 (笑う)
輝蕗「私の役の子は・・すごく生き物が好きなんだろうなと思います。好きってパワーをみんなに投げかけていく子なんだろうなって。確固たるものがあって・・(小声で)宇宙人とか言っていいんですか?」
國吉「大丈夫です」
輝蕗「宇宙人だからとか、いろんな、嫌なこともあるけど、自分の信念を貫いてる子なんだなって思います」
國吉「最後に、この短編集をどんな人に見てほしいですか?」
中野「演劇部の高校生とか見に来てほしいですね。この前くによし組見に行ったときに、若い女の子多いなって思って。それって演劇の光だなって。若い女の子たちが来て、共感してくれたら嬉しいなと思います」
黒澤「僕も若い子に見てほしいなと思います。僕のバイト先の子で、くによし組だけ毎回見に来てくれる子がいるんですよ。なのでやっぱり若い女の子に見てもらえたらいいんじゃないかと・・」
輝蕗「私も若い人に見てほしいなと思います。あと演劇好きな人に見てもらえたら・・頭・・その、設定がね、」
永井「頭おかしいって言おうとした」
一同 (笑い)
輝蕗「ややや」
津枝「まだ頭しか言ってないから」
輝蕗「あの、本当に好きなので・・演劇好きだなって人に見てほしいです。予想を超えてくるようなオチだけど、現実が見える作品なので、演劇が好きな若い子に見てほしいなって。でも演劇好きだったら60でも70でも80でも!」
タナカ「私は『壁の人』にも出演させてもらうんですけど、もう一つの『壁とアルコールとアイドル』の初演も出演させてもらってて・・それもすごい思い入れがあって・・台風とかすごくて・・」
國吉・永井「そうですねえ・・」
タナカ「なのでうまくこの短編集を、客観視できてないんですが・・くによし組は、一人で見に来て噛み締めて帰るより、誰か、この子と見に行ったら楽しいんじゃないか、この人と感想喋りたいなって人と見に来てもらえたら、素敵なんじゃないかって思います」
津枝「ちょっと疲れてる人が見たらいいんじゃないかなと思います。ちょっとね」
タナカ「若干ね」
津枝「ちょっと疲れてる人が見てくれたら、すごく楽しいんじゃないかなと思います」
國吉「ありがとうございました!」
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