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【映像で観るボーカロイドの世界】④『ラマーズPはフレンズである。』

”電子の歌姫”初音ミクが誕生し、ニコニコ動画でその楽曲がアップロードされた2007年8月29日から約10年。
この10年であっという間に全世界へと拡大した彼女を中心としたVocaloidというムーブメントのなかで最も重要な位置を占めたのが、ニコニコ動画でありYoutubeであるといった各種動画サイトであり、ボーカロイド系の楽曲を聴かせるための動画――いわゆるPV(プロモーションビデオ)というアプローチであったことは明白である。

この10年間で公開された様々な『Vocaloid-PV』。
それらの中から強く印象に残った作品を紹介していくことで、Vocaloidというムーブメントを紐解いていこう、というのが、『映像で観るボーカロイドの世界』の主旨である――

『映像で観るボーカロイドの世界』④
『ラマーズPはフレンズである。』


ラマーズP、というボカロPがいる。
――という出だしすら今さら感があるくらい有名な方なので、正直ここで取り上げるのも畏れ多い気がしないでもないのだけど、ボカロ系PVと言えばこの人を抜きにしては語れないので、ここで敢えてチャレンジしてみることにする。

まずは、ラマーズPとはどんな人なのか、を、ニコニコ大百科から引用して紹介してみよう。

ラマーズPとは、VOCALOIDシリーズおよびUTAUを用いて楽曲を発表しているP(プロデューサー)の通称である。
複数人説があると主張している。
VOCALOID曲およびイラストはラマーズP名義で発表している。UTAU曲とMMDを投稿しているゴジマジPとは別人(ということになっている)。
自称ドリ系の27歳。ちなみに本人の三大萌え要素は「ツインテール」「八重歯」そして「巫女」。犬派でも猫派でもなくハムスター派。
初音奔放曲」が発表された際、「ぴっぴぴぷ~♪」と繰り返し入る声とリズムが、出産時に行う「ラマーズ法」の呼吸法に酷似しているため「ラマーズP」と命名された。
かっこいいアニソン調の曲に始まり電波ソング、バラードまで幅広くこなす。初期からその才能に着目するコメントも見られたが、実際に評価が上がってくる過程でかなりの上達が認められたとするコメントも多い。
3DPVがつくようなすごい曲を作るのが目標だったが、念願かなって1次元から2次元、3次元さらには異次元までの様々なPVが制作された。
(ニコニコ大百科『ラマーズPとは』より引用)

――なんだか良く分からないが、少なくともこの人がボカロおよびニコニコの黎明期から現在まで活動を続けている――どころか、全身全霊でボカロやニコニコを楽しみ続けているのは、この大百科の解説を読んでも一目瞭然だろう。

でも、この引用だけだとただの楽しそうな人にしか思われなさそうなので、彼のYoutubeチャンネルからいくつか彼の作品を紹介しよう。

まずはこちら。もはや知らない人はいない、と豪語できる名(迷?)曲、『ぼっぴっぽー』である。

なぜこれなのか、とツッコミを入れたくなる歌詞をテクノサウンド(で良いと思うのだけど)が垂れ流していく様子は、まさに野菜ジュースがベルトコンベアーで流れてくるかのよう――って意味が分からないだろうと思う。私も良く分からない。

気にせず次に行く。
鏡音リンをフューチャーした曲『難聴系男子が倒せない』である。

もう、説明すら不要だろう。
鏡音リンのキュートっぷりを前面に押し出した――っていうよりもそれしかないこの動画、全てをラマーズPが作っている。
繰り返す。
このキュートな歌詞も、このキュートなリンの表情も、ラマーズPが全部書いたり描いたり作ったりしてるのである。いったい彼をここまで駆り立てるものはなんなんだろうか。

ちなみにこのラマーズP、時々ニコ生で作曲やお絵かきを垂れ流しているのだが、肩の力を抜いて作ってるせいか、時々こんな曲も生まれてくる。

『だらけたい』

『くるくるぱぁ』

思い付きで作った感ありありなのにやたら完成度が高いという、観た人がどうツッコんでいいか分からないそんな作品が突然ふらっとアップされるのである。その自由さは寅さんレベルとも言えよう。


さて。冗談はここまでにして、本題に入ろう。
ラマーズPの作るMVは、そのほとんどが彼の描いたイラストやアニメーションによって作り上げられている。
もともと彼は初期のころの『ぽっぴっぽー』や『おちゃめ機能』の時点で、自らのイラストから単純なアニメーションを描いているのだけど、現在の彼の作品の動画のクオリティはそこからさらに上がっていて――正直本当にチームで作ってるんじゃないか、と思えるほどのクオリティとなっている。
しかもこれを7年以上続けているのだ。この人は。

イラストやアニメと言った『2次元』で表現されたMVは現在もボカロ系動画の主流であり、特段珍しいものではない。

なのになぜラマーズPの作品は突出して『目立つ』のか。
それはおそらく、彼の思い描き表現してきた『ラマーズPのボカロたち』の普遍性にあるのだろうと、今思いついた。たった今。

彼の作り上げる『ボカロたち』は、いちようにキュートで、そしてどこか抜けていて、そしてとても真っすぐで、邪心があるようで無い。

そう。
それはまるで、現在も世間を賑わしている『けものフレンズ』のフレンズたちのような存在として描かれているように思うのだ。

つまり、ラマーズPの作品は、けものフレンズと同じ立ち位置にいるのではないか――ただかわいいだけじゃなく、ただおもしろいだけじゃない、そんな何かが観る人を刺激するからこそ、人は彼の作品を評価するのではないか、と思うのである。


とまあダラダラと書き連ねてきたが、早い話がこういう事である。

かわいいミクちゃん観たいなら、
黙ってラマーズPをチェックしなさい

というわけで、最後に最新作『Swimsuit』を紹介してお別れしよう。

ああ、やっぱりラマーズPのミクちゃんは可愛いなぁ......。


動画もしゃべりも未熟な私ですが、何か琴線に触れるものがありましたら、ぜひサポートお願いします。