ダメになる会話「雑談ミイラ」

ミイラA「ゾンビっているじゃん。」
ミイラB「うん。」
ミイラA「あいつら、流行ってるよね。」
ミイラB「流行ってる?」
ミイラA「ゲームとか映画とかさ、いっぱい出てるじゃん。」
ミイラB「ああ、そういう意味ね。確かにそうだね。」
ミイラA「おれらさ、ミイラじゃん?」
ミイラB「うん。」
ミイラA「けっこう近い感じだと思うんだよね。基本、死んでるって部分で。」
ミイラB「ゾンビって死んでるの?」
ミイラA「「生けるシカバネ」って言うじゃん。シカバネって死体って意味だよね。」
ミイラB「ああ…まあ…なるほど。」
ミイラA「俺らもさ、映画とかだとだいたい動くじゃん?」
ミイラB「そうなの?」
ミイラA「そうだよ。動かないミイラが映画に出てきたってしょうがないもの。」
ミイラB「そういうもんかなあ。」
ミイラA「だってさ、地味じゃん。そりゃ中身はかなりインパクトあるよ?ありえないくらいガリッガリになっちゃてるし。」
ミイラB「まあ、極限までダイエットした状態だよね。」
ミイラA「でもそのインパクトあるボディを包帯でぐるぐるまきにして、見えなくしちゃってるんだよね。」
ミイラB「包帯が無かったら、ひからびた死骸だからね。」
ミイラA「そんなのがコロンと横たわってても、”人っぽい包帯のカタマリ”なわけでさ。」
ミイラB「身もフタもないな。」
ミイラA「そりゃ起き上がって『ウガー』くらい言わないと、使い道ないよ。」
ミイラB「ミイラなのにミイラに対して厳しいな。」
ミイラA「みんな不気味な音楽とともにミイラが画面に映ったら『ああ、動くんだな』って思ってるよ。俺も思うもん。」
ミイラB「見てるんだ、ミイラ映画。」
ミイラA「そりゃね。ミイラだからね。人間だって人間が出てる映画みるじゃん。」
ミイラB「人間が人間の出てる映画みてるのはそういう理由じゃないけどね。」
ミイラA「最近はさ、そんなゾンビもさすがに飽きられてきてるみたいなんだよね。」
ミイラB「ふうん。そうなんだ。」
ミイラA「そりゃさ、あんだけいろいろでてりゃ飽きられもするよ。」
ミイラB「まあ、映画とゲームは多いよね。ゾンビネタ。」
ミイラA「ゲームだとさ、人間殺してることにするといろんな国の規制にひっかかるんだってさ。」
ミイラB「まあ、子供も遊ぶしね。」
ミイラA「相手がゾンビなら、殺してもいいでしょってことみたい。」
ミイラB「なるほどね。」
ミイラA「だったらミイラでもいいじゃん!俺らだって殺されても問題ないじゃん?中身死骸なんだし。」
ミイラB「問題ないのかなあ?」
ミイラA「あれか、包帯でまかれてるのが地味だからか?いっそ海苔でまくか?」
ミイラB「なんで海苔でてきた。」
ミイラA「ミイラ海苔巻き!どうよ?」
ミイラB「どうよっていわれてもなあ。」
ミイラA「干からびた具が巻いてある。」
ミイラB「食べにくそう。」
ミイラA「恵方巻きって最近できた風習だよね。」
ミイラB「海苔巻きの話になっちゃった。」
ミイラA「しかも恵方ロールケーキとか恵方トルティーヤとかあるんだぜ?巻いてありゃなんでもいいのかよ。」
ミイラB「まあ便乗してる感じはするよね。」
ミイラA「ミイラなんか何千年も前から死体巻いてるっつーの!」
ミイラB「ミイラ戻ってきた。」
ミイラA「よし、こうなったら『恵方死体ロール』として再デビューしようぜ?」
ミイラB「恵方と死体の合わなさがすごい。」
ミイラA「その年の恵方を向きながら死体にかじりつくんだ。どう?流行りそう?」
ミイラB「絶対ムリ。」
-END-

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