ダメになる会話「魔王復活」

男「この洞窟にこもる事2日…これで儀式はすべて終わったぞ…今こそ目覚めよ!恐怖の魔王よ!」
魔王「ム…むう…」
男「う、うごいた、やった!やったぞ!儀式は成功だ!」
魔王「我を目覚めさせたのは貴様か…」
男「そうだ、私だ。さあ立ち上がれ!私とともに世界を…」
魔王「あと5分寝かせて…」
男「ちょっとまてって!また寝ようとするなって!」
魔王「あと5分〜、3分でいいから〜。」
男「お前は昨日夜更かしした学生か。」
魔王「魔王、起きてすぐ動くと貧血おこすから。」
男「魔王って低血圧なの?イメージと違うなあ。」
魔王「まぶしっ、ちょ、そこのカーテン開けないで。」
男「あ、ごめん、これでいい?」
魔王「もー、乱暴に起こさないでよ、起こすときはやさしくって言っておいたでしょ?」
男「目覚めの儀式なら2日間かけてちゃんとやったぞ?」
魔王「儀式って何?。小さい声でささやきながら体をすこしづつゆすってくれたらそれでいいよ。」
男「そんなんでいいの?!牛の生き血とか、生け贄のウサギとか、イモリの黒焼きとか、手に入れるのすごい苦労したのに?」
魔王「うわ気持ちわるっ!他人の寝室にそんなもの持ってくるとか非常識でしょ!」
男「まさか魔王に常識を説かれるとは。」
魔王「休みの時くらいゆっくり寝かせてよー。」
男「仕事で疲れてるお父さんか。お前を封印した連中に復讐したくはないのか?」
魔王「封印ってなんのこと?」
男「そこの石碑に復活の儀式の方法と一緒に書いてあったぞ、その昔、村に大いなる災いをもたらした魔王をここに封じたって。」
魔王「災い?あー、あの事かなぁ。」
男「どんな災いを起こしたんだ?村を炎で焼き尽くしたのか?疫病を流行らせて皆殺しか?」
魔王「何それ怖い。そういうのじゃないよ、いってみれば人をダメにする系のやつ?」
男「おお!人々を堕落させたのか、暴力と不道徳を蔓延させ、人々が自らの手で滅ぶようにしむけたのか。さすがだな!」
魔王「だから怖いって。違うよ。当時の人たちに賭け麻雀とか賭けトランプとか教えたら若い連中がはまっちゃって仕事さぼるようになったんだよ。」
男「たしかにダメになってるけどイメージしてたのと違う。」
魔王「そんな連中に金を貸しては利息をとって、けっこう稼いだよ。」
男「高利貸しかよ。なんか全然魔王と話してる気がしない。」
魔王「その石碑、魔王が寝てる間に村の連中がいたずらで書いたんだよ。魔王は眠くなったから勝手に寝ただけだよ。」
男「すげえショック。どんだけ苦労したと思ってんだ。」
魔王「それでさ、魔王に何の用なの?」
男「え?」
魔王「いや、魔王が寝てるとこわざわざ起こしにきたんだから、なんか用があって来たんでしょ?」
男「あ、そうそう、貴様を目覚めさせたのはほかでもない。我とともにこの世界を支配しようぞ!」
魔王「…」
男「あれ?反応薄い?」
魔王「なにそれ、今時ドラクエのラスボスでもそんな事言わないよ。」
男「なんでドラクエ知ってんだ。ずっと寝てたくせに。」
魔王「いや、ちょいちょい起きて秋葉原にいってたよ。」
男「お前もしかしてただのよく寝る人じゃないだろうな。」
魔王「そんな事ないよ。魔王は魔王だよ。」
男「いやだって、封印された魔王といえば、だいたい人類に恨みをもってて、復活したら世界を滅ぼすみたいな話になるでしょ?」
魔王「世界、滅ぼしたいの?」
男「ああ、俺に就職先を用意しないこんな世界はいっそ滅んでしまえばいいんだ!」
魔王「じゃ、はい、これ使って。魔王はもう少し寝るから。」
男「ん?なにこの小瓶?」
魔王「そのフタ開けると人類にとって超猛毒なガスが一瞬でひろがるから、2分ぐらいで人類滅ぶよ。じゃ、おやすみ。」
男「こ、この小瓶にそんな力があるのか!さすがは恐怖の魔王だな。」
魔王「でも開けた瞬間に君も死ぬよ。」
男「じゃあダメじゃん!俺が一番に死んじゃうんじゃダメじゃん!」
魔王「もー、そういう細かい条件があるなら先に言ってよ。君だけ生き残れればいいの?」
男「いや、実際できるとなると人類皆殺しとか怖いからいいわ。」
魔王「そう。じゃあ魔王もう寝ていい?」
男「まてまて、じゃあ俺の悩みを解決してくれるっていうのはどうだ。」
魔王「じゃあこれ。どんな悩みからも解放される薬。」
男「え?まだ悩みの内容言ってないのに?」
魔王「飲むとすぐ楽になるよ。」
男「それ俺が死んで解決するタイプの薬だろ!俺が死んだらダメなんだって!」
魔王「どんな悩みからも解放されるのに。」
男「その方法で解決するなら魔王は必要ないだろ。」
魔王「もー、眠いから早くしてよ。1999年まで寝る予定なんだから。」
男「何言ってんだ、今はもう2014年だぞ?」
魔王「え…」
男「ん?1999年?」
魔王「やばい、寝坊しちゃった…」
-END-

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