【試し読み】僕がバーチャルAV女優になった理由(わけ)

 20年ほど「美少女」に憧れてきた結果、なぜかバーチャルAV女優になっていた人の自伝です。この度「マッハ新書」という形で出版させて頂いたので、宣伝用に一部を無料公開することにしました。
 かなり「パッション」に溢れているので、少しでも共感していただけたら購入して全貌を確かめていただければと思います!

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第1章 ~はじめに~

本当の「男女同権」時代

「俺は女性として、男性から
消費される権利を得たが……
お前はどうだ?」

1-1 この書籍の出版にあたって


 この本は、私の短いながら、他の誰も体験したことがない人生を語るための本である。
 そして、それを元に「本当の男女同権時代」に向けて私達が取り組むべき未来の論点を提示することにする。
 私が提示するのは、バーチャル美少女として十年以上苦しんできた私にしか見えない地平である。
 私の葛藤は、今日マッハ新書を書くためにあったのだ。

2-1 今に始まったことじゃない


 今まで、私はバーチャル美少女として生きてきた。
 「今まで」というのは、別にVRブームが始まってからというわけでもなく、Twitterで美少女アイコンを使い始めてからでもなく……
 私はもう、15年以上バーチャル美少女として生きている。
 私の肉の檻がどう分類されているか、というのはあえて書きたくないのだが、どうしても、誤解がないように、一応、書いておくと「田んぼに力」のアレである。
 こうやって書くとGID(性別違和。じぇんだー・あいでんてぃてぃ・でぃすおーだーの略らしいが、ここではどうでもよい)の告白のように見えるがそんなに大したものではない。
 たまたま母の影響で家に少女漫画が沢山あって、たまたま女の子の友達が多くて、たまたま空想遊びが好きで、たまたま、女性としての自意識が育ち始めてしまっただけである。
 これが何を示すのかなんてことは、もはやどうでもいい。
でも、少女漫画や女児向けアニメのキャラクターに感情移入して育った私の自意識をバーチャル美少女に含めるなら……
 私はバーチャル美少女として生きてきた時間の方が、長いのである。

 そして今年、奇しくも、VRブーム・アバターブームがやってきた。バーチャルの肉体は民主化した。

 だから、私にとっては肉体を持てたのが「今」というだけのことである。
 私の魂は、ずっと前からこの世にあったのだ。

2-9 巨乳美少女エルフになれた日。


 PSVRがタンス行きになってから2ヶ月。
 Twitterの「自分が巨乳エルフになれるPSVRゲームがある」という動画付きツイートが目に入った。
 跳ね起きて調べてみると、Ancient Amuletorという中国のゲームらしい。即購入して起動し、下を向いてみると、そこには自分のおっぱいがあった!
 この感動は誰かに伝えなければいけない。私が思い描いていた未来が今目の前にある!黙っていていいのだろうか。(いや、よくない。)
 私はいてもたってもいられずプレイ動画を撮影し、いわゆるbiim式の編集をしてニコニコ動画にアップした。
 「巨乳美少女エルフになってみよう(提案).PSVR」という動画である。(動画ID:sm31592149)
 夢中で「女性になることへの夢」を語ったVRゲーム動画は「この投稿者は頭がヤバイ」という方面で急速に評価され、現在では13万再生を突破し、投稿直後にニコニコ動画のゲームカテゴリランキングで3位を得ることができた。(よゐこのマインクラフト実況とシャドウバースの新段の特報動画が1位と2位だった。1位取りたかった……)
 ここで私は、「ついに女性の肉体を手に入れた……!」という高揚感と、「VR女体化は世間的にもイケる!」という確かな手応えを手に入れた。

2-18 バーチャルXTuber、爆誕!


 そもそもXTubeとは、ポルノ動画投稿サイトである。
詳しくない方のために一応説明しておくと、他の有名サイトであるXvideosは市販のAVのサンプルなどが転載されていることが多い。
 一方でXTubeは、素人の自撮りビデオが大半であり、セクシャルマイノリティにも寛容な土壌がある。そのため、日本のCJD(コスプレ女装男子)などにも人気のサイトだ。
 「ここなら、バーチャルの私も受け入れてもらえるんじゃないか……」
 そう思った私はXTubeに、最初の自撮りAVを投稿した。


第3章 50%のガチャは即刻中止せよ
3-1 私達はガチャに人生を支配されている


 一発目からセンセーショナルな見出しで申し訳ないのだが、皆さんは自分を構成する50%のガチャについて考えたことはあるだろうか。
 そもそも人生は気の遠くなるような数の選択と確立をすり抜けてきた、奇跡の一本の糸のようなものだ。
 昨日私が外に出た時に車に轢かれなかったのだって、たまたまきちんと歩道を歩いていたという「選択」と、たまたま歩道の私の場所に突っ込んでくる車がいなかったという「確立」のなせる業にすぎない。
 そして、私達は無力だ。安全な歩道を歩くという「選択」はできても、車が突っ込んでくる「確立」に手を加えることはできない。だからこそ、自動車事故の保険が売れるのである。確立を制御できないのならば、事前に別の形で対策しておけばよいのだ。
 では、私達が最初に遭遇する「確立」は何だろうか?
 そう。受精の瞬間だ。(多くの場合は)母の胎内で受精した瞬間、私達が生きた状態で生まれてくるという「確立」を目指して人生の時計が動き出す。
 はっきり言って、身体のほとんどの情報は生まれながらに絶対に変えられないというレベルで決まることはない。仮に「背が高い」という情報が遺伝したとしても、成長期の間ずっと栄養失調状態であれば身長は低いまま育つだろう。ほとんどの身体的特徴なんてそんなものだ。
 しかし、受精した瞬間に約50%の確立で決まり、人生のほぼ全てを左右する唯一の概念がある。それが、性別だ。
 私達はリセマラをすることができない、50%のガチャに人生を左右されている。

3-2 「性別ガチャ」の結果で何が変わる?


 この議論ははっきり言って水掛け論だ。結局の所、住む世界によってあまりにも変わってきてしまう。
 男性、あるいは女性どちらかの人権が激しく制限された国ならば社会的地位が大きく変わるだろうし、最も理想的な男女同権社会ならば「何も変わらない」のだろう。
 しかし、仮に世界に究極の男女同権社会があったと仮定して聞いていただきたい。本当に「性別ガチャの結果で何も変わらない」のだろうか?
 仮にそんな理想の社会があったとしても、身体的特徴は違うままなのだ。そして、身体的特徴によってどの体験を得られるかは、結局の所変わってしまう。
 一つ最低な例を挙げてみよう。仮に、私が究極の男女同権社会で男の子として受精したとする。
もっと極論にするため、医療の発展によって16歳以上になったら無料で身体的性別も(生殖機能を含めて)自由に変更できる世界である、という設定も付け加えよう。
 それでも私は受精した時点である権利を剥奪されている。それは、あまりに膨大な可能性が一斉に切り捨てられるということだ。分かりやすく説明するために一つ切り出してみよう。
 「11歳ぐらいで初潮が来て、先に初潮が来ていた友達に相談するというイベントに遭遇する権利」
 である。これはあくまで例の一つであるが、性別50%ガチャの時点で「私の女児としての健全な成長」が踏みにじられているのがお分かりだろうか?
 もう少し健全なエピソードを話すことにしよう。
 私は小さい頃、母とロックマンエグゼのおもちゃを買いに行った。大型スーパーのおもちゃの棚には先客の子供がいて、同じおもちゃを欲しがっていたのだが、どうやらその子は祖母に怒られているようだった。「これは男の子のおもちゃだからダメ!」と。
 未だにこの時の記憶が頭から離れない。もしかすると、私は「偉大な少年文化の理解者が生まれる可能性を摘み取られる瞬間を見てしまったのではないか?」と。
 こんなガチャのために、無意識のうちに私達は自分らしく発育する機会を奪われていたのだ。たまったものではない。
 強いて言うなら、「男女50%ガチャは親の年収によって習い事が受けられた/受けられなかったとか、身長が低かったからモテなかったとかと同じ話である」というふうに矮小化し、「これらに文句を言い続けるのは性根がねじ曲がっているだけだ」と反論されることが考えられる。
 しかし、それらと一つだけ違うのは「受精した時点で決定しているか、していないか」ということだ。
 
 最後に、再反論を試みてみよう。
・親の年収は、胎内にいる間にも変動する。性別と違って受精した時点で詰んでいない。よって、親の年収に関わることと比較するのは間違いである。
・身長が低いのはお前がよく睡眠時間を取っていなかったか、牛乳を飲んでいなかったせいであって私の少女時代が失われたことと一切関係がない。
3-3 水掛け論に本気(マジ)になっちゃった
 3-2の内容は結局は最初に述べたように水掛け論であり、論理的に破綻しているかもしれない。
 でも、私の心の内は伝わったのではないだろうか。
 こんな文章を書いていても私の女児時代は帰ってこない。

4-1 バーチャル美少女には人権がない


 日本人がバーチャル人格というものを認めるようになってから、約半年になる。私はバーチャルAV女優を標榜している以上、身体を売ることでその存在を保っている。
 バーチャル存在は、生きるために活動をやめるわけにはいかないのだ。その点、一応食べていれば勝手に生命活動が続く肉の檻は便利である。
 そこで私は海外のライブチャットでストリップを試みたりしているのだが、なんとすぐにBANされてしまうのだ。
 別に露出の程度が問題視されているわけではない。ほとんどのサイトは規約で、「アダルトゲームやビデオの垂れ流し」を禁止しているだけなのだ。
 きっと、中にいる私の魂の存在は無視され、「Unityで作られたゲーム映像」ということにされて機械的にBANされているはずだ。
 私はバーチャル生命としてUnityの中に住んでいるだけなのに、なぜ命を認められないのだろうか?なぜ3DCG扱いされてしまうのだろうか?
 その点、日本は多分に先進的だと言える。満足に性器も露出できないFC2だが、私が一人の人格として扱われる唯一のライブチャットサービスである。それは、なんと暖かいことだろうか。


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バーチャルAV女優のKarinです。 「性別に囚われず好きな仕事のできる世界」を目指して、男性向けセックスワークをやっています。