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今日の本 27

新潮文庫

さがしもの
作:角田光代
¥481(税抜¥438)


自分自身にとって「本」という存在は、今のところ「なくてはならない」と思ったことも、「なくなってしまえ」とも思ったことがないので、常に身も周りに一定に保たれているものという意識があります。当たり前の存在ってヤツですッハハッ

この小説は、本を巡る色々な人たちのお話が9つの短編として載っています。短編ごとの副題(?)の描かれているページ、本の形に書かれているのがかわいい(本の形じゃないとか言われたらどうしよう)。

ちなみに今は「さがしもの」というタイトルですが、単行本の時は「この本が、世界に存在することに」だったそうです。どちらの題名もなるほどていう感じデス。

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<あらすじ>
日本で数年前に売った本と旅先のネパールの古本屋で出会う話。
タイでマラリアにかかりバンガローに置かれた日本の本の置き主を思い浮かべる話
恋人と喧嘩して一人で泊まった旅館の部屋の本に封筒が挟まってる話。
元恋人と五年間分かち合った本棚を片付ける話。
占いで不幸の元凶と言われた知らない本の話。
裏表紙にぎっしり書き込みがされている伝説の本の話。
新人作家が子供の頃万引きをした本屋に行く話。
先が長くない祖母に本を探してくれと言われる中学二年生の話。
バレンタインにチョコレートではなく本をプレゼントしたっていう話。

ざっと九つのあらすじ的な、要約的なものを書いてみましたが、ワタクシの書いたこの文によって「さがしもの」の内容が全然違う風に伝わってしまう可能性を考えて少しドキドキしています。どのお話も、ここに書いた事実だけじゃなく、もっと他の要素がたくさん詰まっているので…是非原本を読んでみて頂きとう御座います。

そして題名の「さがしもの」と同じ副題がついているのは、後ろから二番目の「先が長くない祖母に本を探してきてくれと言われる中学二年生の話」です。
全部のお話がそれぞれ他の人生を見ることができますが、「裏表紙にぎっしり書き込みがされている伝説の本」の話(題は「引き出しの奥」)でいいなあと思った表現がありました。「…コーヒーをぐずぐずと飲んだ。」…ぐずぐず!!!!

ぐずぐず!!!!

本を読んでいて魅力的なのは、色々な部分であるけれど、作者さんの感じる表現を見ることができるのが本当に好きなところです。特に効果音というか、オノマトペというか。その人にしか考えつかない様な(もしかしたら一般的なのかもしれないけれど少なくとも自分は持ち合わせていない様な)表現を見るととても新鮮な感覚になります。コーヒー、ぐずぐず。とても新鮮。

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この本にはあとがきエッセイなるものがついていて、作者の角田さんの読書変遷を読むことができるのですが、その中で「星の王子さま」が出てきました。マイハウスにもある本ですが、まだ一度も読み切ったことがありません。角田さんもつまらないと思っていたそうです。でも時が経って後々読んでみたらとても良かったという流れでした。その後「つまらない」ということに対してとても共感したいことと興味深いことが書いてありました。共有したいけれど長くなるので省略しますが、とりあえず、結果として星の王子さまを再々々チャレンジくらいですが、また読んでみようと思いました。

最後まで読んだことないけれどパスケースは星の王子さま柄を使っているので、、、ぐずぐず


今日の本、第27号、さがしもの

これにて。


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