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播磨陰陽師の独り言・第508話「動物たちが暮らす国〈後〉」

 今、住んでいる門司港は猪が目撃されることで知られています。去年の年末も門司港レトロに猪が出ました。観光客が歩く、お土産屋さんの多くある場所に、猪が海側から泳いで来て上陸したそうです。見ていた人は驚いて逃げたと言います。ニュースでは門司港レトロをわが者顔で歩く猪の姿が映し出されていました。猪はやがて海に入り逃げたそうです。
 去年は猪の目撃例が多くありました。幸い人が襲われることはありませんでしたが、大きな猪はなかなか恐ろしい感じがします。家の近所やわが家の庭にも猪が来たこともあります。一度なんか、庭のガラス戸に猪の鼻のマークがついていたこともあります。
 猪は怖いかも知れませんが、関門海峡では運が良ければ泳ぐイルカの姿を見ることが出来ます。もちろん、野生のイルカです。古語で〈イルカ〉と言えば〈スナメリ〉のことを指しますが、スナメリは関門海峡の水族館・海響館にいていつでも楽しむことが出来ます。この海響館の一階のカフェは外から入ることが出来て、窓がイルカの水槽になっています。お茶しながらイルカが泳ぐ姿を見ることも出来ます。私の耳にはイルカの声がうるさいですがイルカ好きの人は楽しめるでしょう。
 門司港と言えば、本州から九州にヒヨドリの大群が渡って来るのも冬のことです。十月頃、〈竜の渡り〉と呼ばれ、下関から門司に渡って来るのです。ハヤブサに襲われながらも必死で九州に渡るヒヨドリたちは、懸命に生きようとします。そして、春になると本州に帰って行きます。門司の古い資料によると、江戸時代には料亭にお弁当を頼んで、多くの人々が竜の渡りを見物したそうです。
 冬になると、北海道ではタンチョウヅルが、九州ではナベヅルなどが越冬にやって来ます。ナベヅルは美味しく、時々古い文章にある、
「ツルが食べれて幸せだ」
 と言うような文章は、すべてナベヅルだそうです。
 また、日本で散歩している犬たちの多くは、犬用の洋服を着せられていて、この姿も珍しいと言います。門司港では海岸で犬の散歩をする人々が多くいます。
 わが家は兎を飼っていますが、日本で飼うと、なぜか小柄で丸っこくなる気がします。元々ヨーロッパ産の兎ですが、外国の映像で見るような筋肉質で手足が長い感じには育ちません。もちろん性格も、外国の兎よりも温和ですが……。

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