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祈りのカタログ・第二十二話「霊力によって動く手足」

 ひとたび眠ると周りの音を無意識に聞いています。そして音を聞くために耳の機能にエネルギーを送ります。すると起きている時よりも大きく音を感じるようになるのです。この状態にどのような良いことがあるのかと申しますと、眠っている時の無防備な状態での〈危険の感知〉に役立つのです。
 寝ている時は無意識の状態です。体も心も休息しているように見えます。心は確かに休息していますが、脳の一部はキチンと働いていて、危険を感知した時に起こしてくれるのです。ただ残念なことに〈危険〉と言うほどのことでなくても、すぐに起こそうとしてしまいますが……。
 せっかく眠っているのに音が聞こえたくらいのことで目覚めるなんて、耳は機能が良すぎます。しかしこれは機能ですので仕方ありません。
 起きている時にこの機能を使おうと思う時、無意識で音を聞き分ける訓練を行う必要があります。その訓練は、とにかく音に意識を傾ける方法です。ただひたすら音を聞くのです。すると音にある種のパターンがあることに気付きます。この音のパターンが、あなたにとって良いものなら無視しても構いません。もしこの音のパターンが、あなたにとって悪いもの、あるいは好ましくないものだとしたら、反応を起こして体を動かす訓練を行うのです。
 その訓練とは、ゆっくりとした動きで対応方法の練習をすることです。つまりある攻撃に対する対応方法を武術として学ぶのです。すると体は勝手に動くようになります。しかし動いている時は、体のどこかに無駄な力が入っていることになります。
 これを防止し、必要な部分にのみ力を入れるためには、呼吸は一時停止して、力を入れることにのみ意識を注ぎます。すると意識を注いだ部分にだけ力が入るのです。これを〈霊力がめぐる〉と表現します。

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