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祈りのカタログ・第二十六話「行きそうな人は?」

 世の中には、亡霊空間へ行きやすい人と、そうではない人とがいます、行きやすい人とは、いったい、どのような人なのでしょう? 
 あきらかに行きやすい人がいますが、ただし普通は一生行かないものです。たとえ亡霊空間へ行ったとしても、その多くは記憶には残りません。人には、恐ろし過ぎる体験をすると、自ら記憶を消す傾向があります。だからと言って体験していないとことにもなりません。よく考えると、何だか怪しい記憶の痕跡が残ります。
 人が亡霊空間へ行くのは、その空間の入り口にいるからです。入り口は時期と時間で開きます。たとえば、怖い怖い心霊スポットへ、夜中にひとりで行ってしまった場合、入り口が開いていることが多いのです。ですが、多くの心霊スポットと呼ばれる場所は、そのような怖い場所ではなく、ただ、勘違いする人の多いと言う場所にすぎません。
 多くの人が、怖いと思う勘違いをしやすい場所なのです。それらは、冷静に観察する能力があれば簡単に見分けられます。
 また、普段の言動に勘違いの多い人が噂する種類の心霊スポットは、ただの勘違いスポットである確率が高いのです。
 多くの、
「私は本物の幽霊を見た」
 と主張する人の内の70%くらいは、ただの勘違いです。
 これには、
「信じて、本物だって……」
 と言う言葉を使うとか、
「もう、怖くて怖くて、しっかり見れなかった」
 と言うようなことを言う人がいます。これらは、やはり勘違いする可能性が高い人たちです。その理由は冷静ではないからです。
 信じてと言う人は、自分でも信じていない体験、つまり、いないことが前提になっていてそれを見た時の驚きの言葉なのです。
 次のは〈怖い〉と言う感情が心を支配していたため、キッチリと見分けられていないのです。しかし、どの場合でも記憶の中では霊現象に遭遇したことになっています。記憶は、後の感情で、その内容そのものが変化します。

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