【アート情報】光州ビエンナーレ2024行くなら一緒にみて!ACC未来賞2024キム・アヨン「DELIVERY DANCER'S ARC:INVERSE」
韓国・光州ビエンナーレ2024と併せて、ACC(国立アジア文化殿堂)で開催中の展示「ACC未来賞2024キム・アヨン DELIVERY DANCER'S ARC:INVERSE」をみてきました。巨大なスクリーンに映し出される映像美、その迫力に圧倒されました。作品はもちろんなのですが、その空間を生み出す施設設備の充実からも、韓国がいかに文化芸術に力を入れているかが伝わってきましたので、その様子をご紹介したいと思います。
韓国を訪れる前、たくさんのガイドブックをみましたが、光州について記載しているものはほとんどなく、よっぽど田舎町なのかなと思っていましたが、ここを訪れてその認識は大きく変わりました。
大きなデジタルサイネージが施された(写真はありませんが)真新しい建築のこの施設をみたときに、思わず「日本よりよっぽど進んでいる!」と驚いたほどです。そのACCについて、簡単にご紹介します。
ACC(国立アジア文化殿堂)ってどんな場所?
ACC(国立アジア文化殿堂)は、韓国・光州に位置する国際的な文化芸術機関です。1980年の光州事件から、人権と平和の精神を芸術として昇華させる、という趣旨のもと2015年11月に開館しました。アジアをはじめ、世界のアーティストらと文化の交流や教育、研究、創作を行う場を提供し、またその成果として展示、公演、イベントを行う統合的なプラットフォームとしての役割を担っています。
ACCの敷地は広く、すべてをみることはできませんでしたが、ライブラリー、ビジターセンター、ミュージアムショップ、コンビニ、キッズに特化した施設などまるで芸術文化の複合施設のようでした。
そして、今回はACC内のCreationというエリアで開催中の展示にいってきました。
ACC未来賞ってどんな賞?
今回の展示は、ACC未来賞という賞を受賞した作家による展示です。ACC未来賞とは、”創造性の限界を押し広げ、未来への新たな可能性を模索する革新的な芸術家を発掘するための受賞制度”だそうで、今年が初めての開催だそうです。
ACCによる本賞のステイトメント
”私たちはどんな未来に向き合うのだろうか。
国立アジア文化殿堂は、革新的な未来価値と可能性を拡張させた創造的芸術言語生産者を発掘するために「ACC未来賞」を制定した。ACC未来像は、人間、環境、技術をはじめとする社会転換期の変化を合わせ、芸術とメディア、技術を媒介した融合·複合芸術の実行が類推する未来人生の可能性を探る。芸術と技術の境界が絶えず再編され拡張する現時代に「未来性」に関する質問は、芸術に対する本質的な理由を触発させ未来芸術の可能性に対する新しい地平を開いてくれると期待する。特に、ACCは複合展示1館(1,560㎡規模)の空間を極大化する超スケール的でありながらも、新しいデジタル文化と技術を結合した未来芸術の感受性を提案する作品を選定して披露することで、アジアの融合·複合芸術プラットフォームとしての差別化を図る。国立アジア文化殿堂は、ACC未来像を通じて統合的芸術基盤プラットフォームとして空間と制度的境界を行き来しながら新しい芸術の未来を想像する機会を設けようとしている。”
ステイトメントに記載の通り、本当に贅沢なスケール感の展示空間でした。
作家/受賞者のキム・アヨンさんってどんな人?
メディアアーティストのキム・アヨンさん(1979年〜)は、韓国国内外のアートシーンで高い評価を得ているアーティストです。彼女の作品は、神話の断片や技術の利点と欠点、未来的なイメージを横断しながら、歴史や現実に対する新しい視点を、ビデオ、映像、VR、ゲームシミュレーション、テキストなど多様なメディアを用いて表現しています。これまでに、ニューヨーク近代美術館、香港のM+、オーストリアのArs Electronica Festival、台中アジアアートビエンナーレ、光州ビエンナーレ、ヴェネツィアビエンナーレなどで展示されています。また、2023年には日本で開催された第37回イメージフォーラムフェスティバルにて寺山修司賞を受賞しました。
本展ではどんな作品だったか
https://www.youtube.com/watch?v=08xATmr9WGw
本展は巨大な3つのスクリーンからなる映像作品と、もう一つの映像作品、そして作家のアーカイブ映像の3つで構成されています。
暗がりな展示室に入っていくと、上部から吊るされた巨大なスクリーン、そして手前に現れる魔法陣とも思えるような立体作品が目に飛び込み、一気に作品の世界に没入させられます。
スクリーンには実際の映像かCGか、区別がつかないほど美しい映像で、ひと目で近未来を表しているのだとわかるような都市が映し出されています。
その都市の中を、二人の女性が何かを探しているのか、駆け巡ります。
パンフレットによると、舞台は仮想世界のソウルで、主人公の二人が新たな仮想都市に辿りつくというストーリー。タイトルの「インバース」は、緊迫した速度の競争によって発生する、別の時空間とその隙間に数多くの世界が互いに共存していることと意味しているんだとか。
まとめ
日本では見たことがない(少なくとも私は)規模のメディアアート作品に本当に驚きました。そしてなんと無料で入場できますので、光州ビエンナーレ2024に行く方、もしくは光州に行くかたは是非あわせていってみてください!おすすめです!
展示概要
ACC未来賞2024キム・アヨン「DELIVERY DANCER'S ARC:INVERSE」
会 期:2024.8.30(金)~ 2025. 2. 16(日)
時 間:10:00~18:00(水、土は)20:00まで開館
休館日:毎週月曜日
料 金:無料