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ある行旅死亡人の物語 感想

クリスマスに自分の為に本を何冊か買うぞ!と決めていたその中の一冊。
ある行旅死亡人の物語
Amazonを見たら売り切れていて
定価よりも高くなっていて、それなら楽天でと思ったら、楽天も売り切れていた。
焦って地元の本屋屋さん(と言っても地元最寄り駅にあった本屋さんは、潰れてしまって一駅電車に乗らないとだけど)に問い合わせたら在庫があって。
さっそく取りに行ってイッキに読んだ。
めちゃくちゃ面白かった。
Amazonのコメントに
「火車」や「ある男」のノンフィクション版と書いてあって。どちらの本も面白かったし好きな本やん‼︎と読む前から面白さ期待度のハードルは、グイーンと高いところにあったのにそれを越える面白さだった。

まずこの行旅(ゆきたび)死亡人ってなんですのん?と思っていたら
行旅死亡人は、こうりょうしぼうにん で
病気や行き倒れ、自殺などで亡くなり、名前や住所など身元が判明せず、引き取り人不明の死者を表す法律用語 だそうです。

この本の帯には、

➖2020年4月。
兵庫県尼崎市のとあるアパートで、女性が孤独死ー
現金3400万円、星形マークのペンダント、数十枚の写真、珍しい姓を刻んだ印鑑.....。記者二人が残されたわずかな手がかりをもとに、警察も探偵も解明できなかった身元調査にのりだす。舞台は、尼崎から広島へ。チヅコさんの真実とは?
行旅死亡人が本当の名前と半生を取り戻すまでを描いた
圧倒的ノンフィクション➖
と書いてある。


そうなのよ、ノンフィクションなので
チヅコさんの人生の全てがわかった訳じゃなく
謎も、まだまだ残されていて
そこが、また面白い。
ここに書かれていない不思議がまだ沢山あって
謎の多い女性で、なぜ本名を名乗らず生きてきたのか?を考えるだけでもスパイなんて言葉がそれほど現実離れした発想とは思えなくなるのだか、それでも部屋の中にあった遺品
犬のぬいぐるみの方がやはりよっぽど現実的でチヅコさんの寂しさを映し出しているように思える。

ある人のことを思い出した。
私の職場は、女性が多くて独身の人も多かった。

髪はショートカットで声は、低くて掠れ声で細くてせっかちで性格もサバサバしていて。
いかにも仕事に生きた独身女性な人で。
私がその人と同じ職場になったのは、その人が定年前でいろんなカドが取れてまあるくなった頃だったと思われ、私みたいなその人の対極にあるようなおっとり人間にも優しく声をかけてくれた。
ある日、その人が(その人の名前田中さんなんだよね)大きなビニール袋を何枚が丁寧に畳んでいて、仕事に使うのだと思って、私がやります
と言ったら
笑って
「違うねん、これ持って帰るから。
家に大きなキティちゃんのぬいぐるみがあって
汚れたらイヤやからビニール被せてて
定期的にそのビニールを変えてあげてんねん。と。」


人は孤独のまま生きれない。

この本は、いつか映画になるんだろう。
フィクションとしてチヅコさんに血がながれ立体的に立ち上がるんだろうなぁ。。

フィクションでも笑っているチヅコさんを、観たい。

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