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魔法少女からもどらないで 第1話『始まりの輝きと憧れ』【フルカラー挿絵小説連載中】


表紙


あらすじなどはこちらで閲覧可能です



これはある街の、魔法少女の物語。
少女たちは皆、魔法少女として生きていく。
街の憧れ。正義のヒロイン。可愛らしい衣装。
一際目立っている彼女たちはどのように暮らしていくのか?

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私の名前は姫魔やむり。この大都会に生まれ、育ってきた。あ、そうそう。この街が誇れることはね…『魔法少女』がいること。
変身して魔法や能力を使う女の子たち!
子供の怪我を治したり、犯罪者を警察に引き渡したり…
能力を使って街を守るんだ!
そんな彼女たちの力はなんと警察以上!
まあ私は魔法少女なんかにはなれないけどね…
でもできるなら応援したいな、だって…

「魔法少女は私の日常を守ってくれる正義の光だから」

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今年で浦木中小中一貫校の小学6年生、今年は下級生を引っ張っていく立場。
卒業したら中学生の校舎に入れるんだ!ちょっとドキドキしてる。

(やばい、宿題の『魔法少女について』の作文終わらせないと…)

毎年恒例なんだけど、5月と7月と10月と1月に魔法少女について考える授業があるんだよね、
だから5月に向けて春休みの宿題で作文を書かないといけないの!
算数とかも全部終わったのにこれが残ってたか〜…あちゃ〜…
ま、魔法少女好きだしすぐ終わらせよう!先延ばしはだめだもんね〜

[執筆後…]

思ったより早く終わったなぁ。これでよし、と…
というか、前の年で習ったんだけど魔法少女って5人だよね?
たしか魔法少女の変身道具は
予備の5個除いてあと1個残ってるはず…
今は4人だから、もう1人増えるのかな?
あ、思い出した。ネット記事で書いてあった。
あと1個残ってる分の変身道具の自動復元が終わったって。
誰になるのかな?その人のこともっと知りたいな。

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さて、明後日が始業式。あっという間の春休みだったなあ。
クラス替えどうなるかなあ、ワクワクしてきた!
小学校最後のクラス替えになるのか…ちょっと寂しいなあ
まあでも小中一貫校だからすぐ会えるんだけどね。
ん?なんか足音が…

「おねーちゃん!お菓子食べたい!」

弟の、れいがいきなり部屋に入ってきた。
うーん…仕方ないなあ、もうすぐおやつの時間だからねえ
せっかくだしちょっとコンビニでグミ買ってこようかな。

「れいのためにグミ買ってくるね。」

お母さんにそう言って、玄関から飛び出した。

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相変わらず交通量多いなあ…まあ徒歩3分でコンビニ行けるから仕方ないね。

「ピローンテローンピロピロポーン♪」

相変わらずの店に入った時は例の音(?)が鳴った。
何にしようかな〜あ、新作のグミある!弟に買ってあげよっかな♪
味も好みだしパッケージもかわいい!これにする!

[会計後]

さて弟が待ってるし帰ろ…ん?

「うわ〜ん!うわ〜ん!ひっぐ、ひっぐ…」

子供の泣いてる声?何があったの?とりあえず聞いてみよう。

「大丈夫?何があったの?」

「自転車から落っこちちゃった…」

ええ...痛そう、血がいっぱい。どうしよう…

(こんなとき私がすぐに治してあげれたらいいのにな。)

何もできない。どうしよう、本当に...

「大丈夫〜〜?!」

聞き覚えのある声。茶色の髪に緑のメッシュ。もしかして…

「だあれ?助けてくれるの?」

泣きすぎて視界がぼやけてるのかな?かわいそうに…

「うわ、血まみれやん…大丈夫、私は竹内かなだよ。知ってるかな?魔法少女だよ。治してあげるね。」

やっぱり!竹内かなさんだ!魔法少女のリーダー的存在で圧倒的な人気!
全てが女神様のようだとみんな言うほどすごい人!

「じゃ、治しますか!」

変身してる!きれいな光だ!
すごい…これが本物の魔法少女…すごすぎる。

「じゃ、ステッキを振って、と…」

ええ!?治ってる!!やっぱ魔法少女すごい!

「おねーさん【信仰の魔法少女】だったんだね!ありがとー!」

「次からは気をつけるんだよ〜」

かなさん優しいねえ。いいなあ。かなさんはすごい。

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感謝の気持ちを伝えたいな、だって何もできない私の変わりに…私もそうなりたいなぁ、まあなれるはずないんだけどね…

「あ、ありがとうございま…」

大きな声が聞こえる!男の人の声。
振り返ると酔っ払いのサラリーマンが後輩らしき人に絡んでいる。

「おいゴルァ!先輩にナメた口きいてんじゃねえよ従えよ!叩くぞ!」

も〜、昼から酔ってるの!?というかやばくね?

「危ない!!!」

かなさんがかばった!?大丈夫なの!?めちゃくちゃ痛そう…

「あ…変身解除してたんだった…ま、まあ大丈…ゲホッ、ハア、ハア…」

口から無色透明の液体が垂れていて、それが膝の傷と混ざり赤くなる。
今にも肺が潰れてしまいそうなそんな様子が呼吸からわかる。今何ができる、何ができる、何ができる、何ができる…
何ができる、何ができる、何ができる…そう唱えた。

「すぅ...」

「かなさんを虐めないでください!やめてください!」

酔っぱらいの手をどかした。心臓の鼓動がうるさい。そして…

「私はみんなが大好きなかなさんがつらい思いをするのが嫌なんです!」

「できるなら助けてあげたいです!」

言いたいことは言いきった。あとはどうしよう…そんな状況で、

ピカーン!

と、音がして、ハート方の宝石がはまっている何かが手のほうに飛んできた。

「「!!!」」

近所の人が集まってきた。皆の視線は私の方。
私は瞬時に理解した。これは変身道具なんだなと。素質があるんだなと。

そして…

「かなさんを助けるために魔法少女にならないといけない!なるよ!」

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私の体を光が包み、気づけばリボンとフリルがついた衣装を着ていた。
手にはステッキを、頭のヘアゴムには宝石。胸の宝石はどの宝石より美しい。

「これが、魔法少女…私、あこがれの魔法少女になっちゃったよ!」

そんな言葉が自然に出ていた!そして試しにかなさんに向けて魔法を使った。
血は乾き無になり息も整っていくのがわかる。笑顔はさらに美しく見える。
サイレンの音がする!きっと誰かが警察を呼んだのだろう。

「ゲ!サツじゃねえか!」

抵抗しようとした酔っぱらいに仕方なく攻撃魔法を使う。
酔っぱらいは動けなくなり、大人しく警察に連行された。
よかった!

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ふう、変身を解除したけどびっくりしたなあ…
というか街の人はみな私を褒め称えているね。みんな、みんな!

「【幸福の魔法少女】だ!」

「【幸福の魔法少女】が現れたぞ!」

「【幸福の魔法少女】が羨ましい!」

ええっ!うれしい!かなさんにはまだまだ遠いけど…

「改めて、あの時は助けてくれてありがとうございます。」

「いやそれはそっちのセリフですよ!お名前は何ですか!仲間なのでタメまるです!」

「【幸福の魔法少女、姫魔やむり】です!【信仰の魔法少女、竹内かな】…かなちゃん、仲良くしよう!あ、これ連絡先!」

「OKOK!一旦帰るね〜不審者とか怪我に気をつけて!」

すごい、かなちゃんと仲間!?これは頑張らないと…
さて、帰ろっと!

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[???]

「【幸福の魔法少女】でございますか。」

「今後彼女は運命に選ばれるのでしょうね。」

「交わりは1つ...2つは明日でしょう。」

「明日は、雲、太陽。ああ、【幸運】よ。」

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魔法少女からもどらないで第1話『始まりの輝きと憧れ』END

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