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フリーランスのお金のはなし

ここは、小~中劇場規模の舞台公演(主に演劇)で制作やチケット管理業務をしてきた私が培ってきた事を綴るnoteです。
今回は、制作に限らずフリーランスで舞台芸術のスタッフや出演者として活動されている方向けに、お金にまつわる事について書きました。
すべてお得や安心につながる(かもしれない)国の制度です。
ご存じの方もいらっしゃるかとは思いますが、知らなかった方に少しでも届けばと思います。

※保険料等の計算は各公式サイトに記載されている式での概算です。あくまで目安ですのでご了承ください。
※それぞれにメリット・デメリットあるかと思いますので、加入を検討される場合はご自身できちんと調べてください。


●確定申告

その前に、フリーランスのみなさん!確定申告提出しましたか?
まだの方は、億劫かもしれませんが今後のためにもぜひ。締め切りは過ぎましたが提出できます。
今からご紹介する制度の各種申請に必須な場合もあるので、ぜひ(二度言う)。
確定申告の必要性に関しては ゆかりーぬさんのnoteがお勧めです。


●労災保険

2021年4月からフリーランスの芸能従事者も労災保険に加入する事が出来るようになりました。

就労中・出勤時の怪我などの治療費や休業時給付などを受け取ることができます。

リハーサル期間や公演期間中に出演者やスタッフに付き添って病院に行くことが何度かありました。稽古・本番中の怪我は避けたいですが、どうしてもゼロにはなりません。
そんな時、フリーランスでも契約によっては主催団体の労災が適用されたり、公演として民間の保険に加入してる場合は治療費は補償される事もありますが、全ての公演で補償があるとはかぎりません。
また、怪我をして働けない期間の収入減など、身体が資本の舞台関係者は不安がいつもあります。
そんな不安のお守りになるのが、この労災保険です。

給付基礎日額10,000円として、初年度(12か月分)の支払額は20,950円です。サイト内でシミュレーションが出来るのでご自身に合った金額でしてみてください。
もちろん固定費となり負担を感じるかもしれませんが、オフィスワーカーより危険な場所で働いているという意識は持って必要経費!と考えたいと思います。


次に紹介する東京芸能人国民健康保険組合の山田五十鈴さんもそうですが、業界従事者のために国を動かした皆様のご尽力には本当に頭が下がる思いです。(東京芸能人国民健康保険組合はこうして生まれました


●健康保険

会社員等が加入する健康保険や国民健康保険のほかに、税理士、理容、土木建設など業種ごとに分かれている国民健康保険組合があります。

舞台芸術に関係する国保組合は主に下記があります。
所得によっては国民健康保険より納付額が少なくすむのでお得になる場合があるのです!

東京芸能人国民健康保険組合

加入条件は東京都(島しょを除く)、神奈川、千葉、埼玉各県に住民票がある方で、芸能の仕事に従事している個人事業主とその家族。
居住地は制限されてしまいます。なお関西には
京都芸術家国民健康保険組合、大阪文化芸能国民健康保険組合
があります。
職種は、俳優、ミュージシャン、ダンサー、人形遣いなどの実演者や、スタッフは裏方から表方まで、舞台芸術の仕事はほぼ網羅されていると思います。

仮にお互い30歳、それぞれ200万の所得(収入-経費)があるフリーランス夫婦の世帯を例にしてみます。
まずそれぞれ基礎控除43万円が引かれるので、この世帯の基準となる総所得額は 3,140,000円((200万-43万)×2人)となります。

<医療分>
所得割額   3,140,000円×0.44/100=13,816円
均等割額   3,800円×2人=7,600円
世帯平等割額 1,500円
計22,916円

<後期高齢者支援金>
所得割額 3,140,000円×0.12/100=3,768円
均等割額 1,500円×2人=3,000円
計6,768円

<介護分>
(基礎控除後の総所得額×0.08/100)+(1500円×加入者数)
被保険者は40~64歳なので、この世帯はかかりません。
計  0円

合計29,684円/月 (356,208円/年)

となります。
(追記:ウェブサイトで保険料シミュレーション出来るようになりました!)

ちなみに江戸川区在住としてこちらのシミュレーションで同じ世帯の国民健康保険料を計算してみると、
https://www.city.edogawa.tokyo.jp/edg/simulation/keisan_kokuho_2021.html

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年間保険料 428,140円  と年間7万円以上の差になります。

また上限額も国保は年99万(内介護保険17万)ですが、芸能人国保組合の方が低く設定されています。
この夫婦の所得が各500万だったとすると年間保険料が、
国保 820,000円 > 国保組合 565,200円
となんと25万以上も納付額をおさえられるのです!

逆に一人世帯で所得額が100万以下など少ない場合は国保のままの方がよい事もあるのでお気をつけください。

◎文芸美術国民健康保険組合

加入条件は日本国内に住所を有し、文芸、美術及び著作活動に従事し、かつ、 組合加盟の各団体の会員である個人事業主とその家族。
演劇関連では公益社団法人日本演劇協会が組合に加盟しています。
こちらは所得問わず一律です。

組合員 1人月額 21,100円
家 族 1人月額 11,600円
介護保険料 1人月額 5,200円

上記の夫婦だと、月額32,700円、年額392,400円になります。
こちらも所得によっては国保の場合がよい事と、職種が限られているので条件が合う方を選びますが、固定額なので所得の高い方にとってはよりお得ですね。

●退職金

え、フリーランスが退職金?と思われるでしょうが、こちらも国が用意している制度です。

◎小規模企業共済

企業となっていますが、個人事業主も加入できます。
毎月積み立てて一定期間払うと利子がついて戻ってきます!
積立金額は1,000~70,000円で増減可能です。

例えば毎月1万円、30歳から30年間(360ヶ月)納付し、60歳の時に仕事をやめたとすると

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掛け金は3,600,000円ですが、受け取れる金額は4,348,000円
となります(解約方法によって異なります)。

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また、例えば課税所得200万の年には20,700円の節税効果もあります。

こちらのページから金額をシミュレーションできます。

任意解約をしたい場合、納付期間20年未満だと受け取れる額が掛金合計額を下回ってしまうなどいろいろ注意は必要です。
こちらの方のyoutubeでメリットとデメリットがわかりやすく解説されていますのでご参考まで。


仕事をしながら制度の事を調べて、申込書を取り寄せて、必要書類を集めて、申請して・・・・と、中々ハードルは高いかもしれませんが、ご自身のケースに制度が合えば、お得と安心が手に入ると思うので、検討してみてください!





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