コーラの瓶と駄菓子屋

ある日、友達が遊びに来た。子供の頃は貧乏だったからなのか判らないけど小さな家だった記憶があります。お母さんが何にも無いから、これを酒屋に持っていったら、お菓子が買えると言われて、コーラの瓶数本を友達と抱えながら酒屋に向かった。コンビニなんて、まだ無かった時代。

お母さんの言葉、何も無いから という意味は大人になってやっとわかってくるんだけどね。友達が来ても、何かしらお菓子、おやつを出すことができないからという意味だったんだろうと思う。子供ながらに空気を読んでいたのかもしれない。

とりあえずコーラの瓶を換金すれば小銭になるし、それで駄菓子が買える。ちょうど良いおやつという感じだった。

子供の頃はコーラが瓶に入っていた。瓶といっても無色透明の瓶ではなくて、少し緑色っぽい瓶に入っていた。1リットルのコーラが瓶詰めとなっていた。実はコーラはあまり好きじゃなかったのだけど、もっとも興味があったのはコーラの瓶だった。だって、空瓶なのに酒屋さんとかに持っていくと小銭が貰えるんだから、子供にとっては嬉しいもの。

コーラの瓶を酒屋さんに持っていくと、1本 15円、20円とか貰えるの。それが嬉しかった。合計80円くらいだけど。そして、換金してもらった小銭で駄菓子屋に行き、ウマイ棒のサラミ味とチューチューを買っていた。

友達と2人で80円という予算。1人ウマイ棒2本とチューチュー1本。友達はウマイ棒とチロル1個とチューチュー1本を買った。ウマイ棒をほお張るとクチの中がパサパサになってしまって、クチの中の水分が取られてしまうような感覚があった。そこをチューチューで潤すという感じで食べていた。美味しかった。

たった、80円で心躍ることが出来るなんて、子供は素晴らしいなと我ながら今更だけど思ったりもする。たったの80円だけど、自分達の秘密基地に行って遊びながら食べるのが楽しみだった駄菓子を買うことが出来るという喜びは最高だった。駄菓子屋で自分達のおやつを調達した後は、自宅近くにある神社の境内裏にある雑木林に作った秘密基地で食べていた。神社の神主さんも同じ町内住んでいたから、近所の子供達が遊びに来ているんだなと見守ってくれているような雰囲気があって、ゴミを捨てたり、大きな声で騒いだり、敷地内を走り回ったりしなければ、怒られることはなかったし、ちゃんと挨拶もしていた。

だけど、神社の敷地内だからね、定期的に清掃されて、秘密基地の屋根となっていたダンボール箱とかも取り払われてしまって、なんか寂しかったな。

当時、コンビニなんてなかった時代だったし、80円あれば色々なお菓子が買えたし、とても楽しかった記憶があるな。

そういえば、大人になって調べてみたら換金してもらえるコーラの瓶は、リターナブル瓶というらしいです。

リターナブルというのは、何度も使用することを前提に瓶の返却、瓶の回収をするという意味があるみたい。そして、瓶は洗浄され、消毒されて何度も使われるという仕組みになっていたみたいですね。

懐かしい昭和の時代でした。

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