顔面神経麻痺生活メモ14

ほんの少しだけ良くなったような気のせいのような……。
そん感じの日々です。
顔面神経麻痺になったらみんな通るであろう道について今回は書きます。

第4話 不便な生活

 重度の顔面麻痺がどのくらいおるのかわからないが、俺は、完全に目の周りが動かなくなった。目の周りが動かないというのがどういうことかというと、目が開きっぱなしなのである。
瞬きすらできない。
 必然、目がものすごい乾く。乾くだけならまだいい。ゴミが飛び込んできても反射で目を閉じることがないので、眼球を傷つける危険がある。ついでに涙がずっと流れっぱなし。
 そんな危険な状態で生活できないので、初回の診察の後、すぐに薬局で眼帯を購入した。一般的な、白い穴あきのプラ板(?)とガーゼのやつ。
 これは失敗だった。なぜなら俺はメガネをかけているから。厚みがあるのでメガネと干渉するのである。ついでに耳掛けタイプなので、メガネ、マスク、眼帯全てが耳にかかり、こんがらがってキレそう。そうな状態になる。
 たが、世の中には便利なものがある。そう、貼る眼帯というやつである。こいつは素晴らしい。少なくとも厚みと耳周りは解決する。
 ところで、貼る眼帯売り場を薬局で見たことがあるだろうか? 大体1種類、多くて2種類しない。1種類の場合は、3箇所をノリで止めて、1箇所、上側が空いているから蒸れない! というのが売りである。普通の保護なら多分問題ないし快適だと思う。だが今の俺が使うとどうなるか。
 もちろん上が空いているから目が乾く。保護はできても乾かないようにするという、もう一つの目的が果たせない。
 さらにだ。目が開きっぱなしということは、サイズも重要である。開いた目全体を覆える大きさ。三方タイプともう一つ売ってるかもしれないタイプは小さいのである。目立たない、使い勝手を考えれば当たり前であるが。うまく貼れば、サイズはギリギリいける。だが、毎日使う上に、動かない顔に貼るというのは、精密な位置合わせに全く向かない。それでもそれしか売ってないので、しばらくはそれで過ごした。
 だが、夏が近づくにつれ、汗ではがれる、くしゃくしゃになる、ふやけるなど多くの問題が発生する。色々試した結果絶対的な成果(俺的に)たどり着いたが、商品系の紹介は次の記事にまとめたいと思う。
 さて、そんな眼帯生活。常に眼帯。変えの眼帯ももちろん持ち歩く。一番鬱陶しいのは会う人ごとに「目、どうしたの?」と聞かれることだが、これは5回も聞かれると慣れる。それよりも大きな問題がある。
 眼帯ということは、当然片目での生活。今まで両目で見てきた世界が一変する。距離感が全くわからない。もちろん体に染み付いているから大丈夫なこともある。
 人によっては階段が鬼門らしいが、幸い俺はそれは大丈夫だった。普段から目で見ているわけではなく、なんとなく足の裏の感覚で上り下りしているからかなと思う。
 大変だったのは、筆記。シャーペン、ポールペンの先と紙の距離がわからない。一度コツンと当てて、そこから補正して、やっと書き出せる。書き慣れた文字ならなんとかなるが、そうでもないものは、どうかいていいかわからない。そのくらい迷う。そのほかにも、食器の置く場所、テレビの見え方、など、目に頼っていたものはかなり違う。
 それでも感動したのは、なんだかんだで脳が補正してくれることである。なんかうまくいくことも多い。それゆえ、たまに大失敗をする。
 目の話はこのくらいにして。
 顔面麻痺のもう一つ動かない場所、口の話をする。
 これも重度だと、口が完全に閉じない。検査で頬を膨らませてぷーっという口の形をさせられると思うが、このとき空気が漏れる。ということはつまり、飲み物も食べ物もこぼれる。
 なのでストローが必須になってしまった。これば全員におすすめなのだが、病院の売店に必ずペットボトルの口をストローにつけかえるやつが売ってるので、必ず買え。
 これ持ち歩かないと、飲み物飲めなくなって死ぬぞ。本当にやばい。百均のは全然ダメ。
 目もそうだが、飲み食いがしんどいのが本当に辛い…

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