10月の風と君の記憶
風が少し冷たくなってきた,10月の朝。
君のことを思い出すのは,いつだってこの季節だ。
まるで,君がどこか遠くへ行ってしまう前の,
あの最後の瞬間を繰り返しているみたいに。
君と過ごした時間は,まるで夢のようだった。
一緒に笑って,泣いて,未来を語った日々。
あの時は,別れなんて考えもしなかった。
永遠に一緒にいられると,信じていた。
でも,別れはいつも突然訪れる。
君がいなくなるなんて思ってもいなかったあの日,
10月の風が吹いて,君は僕の前からいなくなった。
理由を聞く暇もなく,ただ冷たい風が吹くだけだった。
君が去ってから,この季節がくるたびに,心の中で君に会いに行く。
覚えてる? いつもの公園のあのベンチのこと。
君はいつも,少し遠くを見るような目をしていたよね。
僕に何かを伝えたかったのかな。
でも,その答えはもう知ることはできない。
時間は流れ,僕は前に進もうとするけど,君の記憶は,いつもこの季節に戻ってくる。
10月の風に乗って,僕の心に君が蘇る。
君が去ったあの日から,僕は毎年この風と一緒に君を思い出すんだ。
君がどこかで幸せでいてくれることを,ただ願うばかりだ。
そして,いつかまた,この風が君を僕のもとに運んでくれることを,ほんの少しだけ期待している。
だけど,それはもう叶わない夢なのかもしれない。
さよなら,君。さよなら,10月の思い出。
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