同級生の死

それは突然の知らせだった。

リモートワークで音声だけの会議中、
いつもの癖でチラッとLINEを開いた。

高校の友人から、
「〇〇ちゃん」と、
わたしの名前だけのメッセージが来ていた。

どうしたんだろう?

その下に溜まっていた未読のチャットに、
やけに堅苦しい漢字の並んだメッセージが見えた。

高校のクラスの中で一番元気で、
社会人になってからも上京仲間としてよく会っていた友人からのメッセージだった。

そのメッセージを開いてからのことは、
あまり覚えていない。

その友人の「家族」だと名乗る人から、
友人が癌で亡くなったことと、
お別れの会の案内が記載されていた。


理解ができなかった。

頭が真っ白になった。

意味のわからないまま、
何かの間違いか、いたずらだと思ったまま、
お別れの会が開かれるという地元へ戻ってきた。

お盆に帰ってきたばかりの実家に、
1週間後にまたいるとは。

初めての喪服を買いに近所のイオンへ出かけた。

なんだか結婚式参列のドレスか、
コスプレの衣装を選んでいるような、
そんな感覚で漆黒のワンピースを着ていた。

何が起こっているか理解できていないまま、
葬儀場に着いた。

入口には、高校の友人の名前が書いてある。

少しずつ実感が湧いてきた。

慣れない手つきで香典を渡し、
会場の中を見ると、友人の写真が笑っていた。

友人にそっくりなお姉さんと、
そのご家族が並んでいた。

ご挨拶を済ませて、
勧められるがままに棺を覗き込んだ。


友人が亡くなっていた。



いつもと違う濃いめのお化粧で、
少し苦しそうな顔をして、
口が半開きで、
顔が浮腫んでいて、

あんなに綺麗で明るくてかわいい彼女は、
そこにいなかった。

嗚咽が止まらなかった。
初めて、人の死を実感した。

その友人とは5月に会う約束をしていた。

でも、わたしが仕事を優先してしまい、
会う日程をリスケすることになった。

謝るわたしに、
「いつでも集まれるから!」
と、その友人はLINEをくれた。

6月に会う日取りを決め直し、
いざそのランチの日の数日前。

友人の体調が優れず、会えなくなった。

「また元気になったら連絡するね!」

その連絡を最期に、
彼女から連絡が来ることは二度となかった。

わたしが仕事を優先しなければ、
5月に彼女と会えていたのに。

わたしが優先順位を間違えなければ、
彼女の笑顔を見れていたのに。

誰にも病名を伝えず、
一人で闘って、逝ってしまった。

後悔してもしきれない。

「また」とか「いつでも」とか、
その言葉が絶対ではないことを彼女が教えてくれた。

20代で友人を失うのは、本当に辛い。

だけど、乗り越えなければならない。
今を、わたしは、精一杯生きる。

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