闇烏なシシド・カフカが素敵すぎた『ハムラアキラ 〜世界で最も不運な探偵〜』

シシドカフカ・ハムラアキラ!素敵すぎるオブザイヤーでした。シシド・カフカの闇烏感ずっと見ていていられる。ヤミガラス感!としか言いようがないのですが、巷では女性版ハードボイルドと呼ばれている。ハードボイルドが私ちょっと分かってないのであれなんですが、ハードでボイルドな感じがありました。下の写真は赤が濃いけど、実際はこの赤もほとんどない。

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葉村晶がハードボイルドなのは本当に素晴らしくてかっこよくてイケてて最高なことなんだけど。一瞬ちょっと社会的な視点で見ちゃうと、やっぱり「女が女らしく描かれていない」ことがこんなにも稀なのって変なんですよね。女らしくない女はドラマには超少ないけど、身近な人たち考えるといますよね、こういう人。ボーイッシュとか男性的なわけではなくて、ただその人として生きている人。たまたま、女性的な記号から離れた外見や仕草をしている人。葉村晶は別に中性的な存在として描かれてるわけじゃない。本人が女を自覚してないわけでもなく、きちんと「職業・探偵。性別・女」と自己紹介する。でもこの女性記号とほぼ無関係な「女」が非常にレアと感じちゃう世界、なんだかなあ。

ドラマに戻ります。ミステリーって特段好きではなくて、あまり見ないんですがやっぱり引っ張られますね。特にラスト三話『悪いうさぎ』は一話完結ではなかったので、ぎゅぎゅっと一気見しました。「不運な探偵」と言うだけに、常々不穏な空気が漂ってるのもどきどきするし、そもそも葉村晶自身が闇烏すぎて自ら不穏な空気出してるのもミソかな。

絶妙にあっち側とこっち側、夢と現実、死と生を行き来するようなシーンが差し挟まれ、全体として地上から数センチ離れたような味がある。冷静沈着な葉村晶でさえ、説明しようのない浮力に負けてバランスを崩すのが絶妙。これはストーリーというよりも映像と音楽の生み出す世界観の強さによるものだと思う。ミステリーは音楽が盛り上げようとしすぎて邪魔してくるのが嫌いだけど、それが全然ない控えめな「空気醸し」に徹していて非常に良かった。

このご時世だと店長はフェアリーゲイ扱いになっちゃうのだろうなあと思うけど、好きになってしまったものは好きだから否定したくないなあ。作る側の人たちはもう少し考えるべきなんだろうけど、単に見る側としては愛をもって受け入れたい。

あと間宮祥太朗!『半分、青い。』の涼ちゃん役で大いに株を下げた男ですが(笑)、今回は良かった。闇を抱えた若き権力者、色気もあって惹かれました。葉村晶とのやりとりも、互いに色気は含むのに性の空気は一切なく(非常に矛盾だけど本当にそうなのだ)、ひたすらに力比べのようで心地良い。

NHKドラマのアクセスしづらさは本当にアレなんだけど、見たら絶対損しない作品だらけなので枠を覚えて「金曜22時!ドラマ10!」祭にご参加いただくのをおすすめします。


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