枯花あまれ

枯花あまれ

最近の記事

ファンタジア

ぐちゃぐちゃにしてよ ぐちゃぐちゃにしたい 全部裏返し 手のひら返し 空想の世界はいつも隣にあった 現実に溺れるとまともじゃいられなかったから 体の半分を空想に浸すくらいが私にはちょうど良かった 気狂いなんて呼ぶやつがいた クラスメイトの恋の悩みより 本の中のあの子の叫びが 私の心を震わせる 心の奥がやわらかいって最初に言ったのは誰だったっけ 私の奥もやわらかいんだろうか 気持ちが悪い 生暖かさを消して 鼓動を止めて 冷たい紙の質感に触れたい 変わらないで 変わらな

    • 昔話

      怪獣と友達になりたかった あのころ きつそうなスーツを着たヒーローよりも 大きな口を開けて笑う、角の生えたもこもこの彼らの隣にいたかった ずっと寄り添える存在に思えた くりくりの瞳 いつも悲しそうに歪んで去っていく 彼らをおかえりと迎え、手当をしてあげる そんな存在でいたかった クローゼットの奥深くから引っ張り出した、埃をかぶったおもちゃ箱を開ける キラキラ光るガラクタに埋もれた、汚れきった怪獣のぬいぐるみ 何度も捨てられそうになった 何度もヒーローを、お姫様を押し付けられ

      • OmamOri

        春は死の季節 頼りなく咲いて呆気なく散って 人に惜しまれながら満足そうに土に還っていく花弁 意味なんて概念も持ち得ないモノに訳と感情を見出して自慢気に微笑んでみせる 生まれ変わるために一遍死ねと言われても 虚ろを肥えにして幹を太らせていた 羨望と妬心にラベルを付けられるなら 君に出会ってはいなかった 春が嫌いと君が言ったから 忘れたくて忘れられなかった神経の設計不良 シナプスごと塞いじゃえって魔法の杖を振り回せばいい (魔法なんてないね) 夏しか愛せないと君が言ったなら