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「エアチェック」って、知ってます?

エアチェック(Aircheck)とは、元々は、「コマーシャルが契約通り放送されているかを、提供者が視聴検査すること」を指す言葉だった。しかし、日本では、「テレビ・ラジオの放送番組から、その番組に出演しているアーティストの楽曲を、カセットテープ、CD-R、MD、DVDなどの媒体に記録すること」を指すことが多い。

私の小中高時代、音楽媒体は学生には高価な、「(アナログ)レコード」でした。アルバムレコードになると、表紙の写真も大きく、その表紙だけでも価値があったのですが、如何せん高過ぎ!つまり、レコードをしょっちゅう買うのは、学生の私には無理だったのです。

だから、レコードを買う代わりに、当時比較的音質の良かった、FM放送の音楽番組でかかる楽曲を、「(コンパクト)カセットテープ」に録音して楽しむしかありませんでした。これなら、「タダ」だったし。この行為が後に、「エアチェック」と呼ばれることになるんですね。

新曲のシングルレコードやアルバムが発売されたら、それが、いつどの番組でかかるか?を「FM情報誌」(ご存知でしょうか?『FMファン』『FMレコパル』とかあった)を毎号必ず買って、そこに載っていた「週間FM番組表」で、録り逃しのないよう、「鬼チェック」してました。これ、当時の日課(笑)でした。

先日、偶然「初期ラジカセの研究室」というサイトを見つけました。その中に、

昔の、AIWA製ラジカセのカタログがありました。

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ちなみに、私が中高生の頃、「エアチェック」に使っていたのは、上のカタログ写真、最下段左側の「AIWA STEREO 860」でした。(カセットテープのA面が終わりまでくると、自動的にB面に切り替わる、オートリバース機能がついていて、当時としては画期的。誕生日に両親に買わせたものです。)

ご存知のように、「レンタルレコード」「CD」「CDレンタル」などの出現。それと、「リクエスト番組」(事前にどういう曲ががかかるのか?が決められていない番組)の増加、「曲紹介と楽曲をかぶせるDJ」の出現などにより、「エアチェック」という行為は、この世からほとんど消え、当時のFM情報誌もほとんど廃刊になりました。

当然、私も「エアーチェック」からは、とっくの昔に引退していますが、以前実家の押し入れで、偶然上記の「AIWA STEREO 860」を発見。ガチャガチャいじっていたら、「エアーチェック」にまつわる記憶が読みがえってきたので、前回の「THE 団地生活」に続き、

ほっこり第2弾として、「エアチェック」って知ってます?としてお届けします。(例のごとく、体験の無い方には「何のこっちゃ?」なんですが、体験のある方は、かなり楽しんでいただけると思います!)

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【1回1曲の録音に命をかける編】
 ~だって、次いつかかるか?分からないし~

✅ラジカセがまだ無かった頃は、ラジオの側に、テープレコーダーを置いて外部マイクで録音していた。「録音するから静かにしてて!!」って隣室の姉に釘を刺し、録音開始。しかし、途中、階下から母の「ごはんだよー!」との声が響き渡り、録音は失敗。「死ね!」と呟いたことがある(笑)。

✅カセットテープのA面に、「あと1曲入りそうもない」と判断したら、パーソナリティがMCしている間に、「早送り」⇒「カセットをひっくり返して装着」⇒「B面の最初の録音不可部分を『再生』で先送り(10秒間!)」⇒「再生ボタン・録音ボタン同時押し」⇒「録画一時停止ボタン押し」という作業に入るわけだが、たいてい、「録音不可部分の先送り」までで、「次の曲」が始まってしまい、よく涙した。

✅「それではお聞きください!」とパーソナリティが言う。「録音一時停止ボタン」を解除!なんと、その直後パーソナリティが「アルバム『リヴォルバー』のビートルズです!」と言い、それから曲がかかる。当然パーソナリティの声が入ってしまう。「バカヤロー」「なんだよ、フェイントかけんなよ!」と小声で怒りまくった。

✅今度は「それではお聞きください!」の後、フェイントを警戒して、しばらく待っているとと、曲が始まってしまう。「くそッ!」。当時、毎日のように、日本のどこかで、このような戦いが、密かに繰り広げられていた。

✅曲の最後のフェードアウトを、どこまで我慢して録るかが勝負だった。早過ぎても曲が切れた感じで終わり、変だし、待ちすぎると「お送りしたのは・・・」とパーソナリティの声を録音してしまう。すべての行為をやめて、全神経を耳と、指先に集中した。

✅当時、エアチェックを終える時に押す「録音一時停止ボタン」のスイッチの「カチャ」って音が、テープに録音されてしまうことがあり、その音をいかに小さくするか?に苦心惨憺した。が、これもソフトタッチ過ぎると、停止に失敗し、パーソナリティーの「今の曲は・・・」を録ってしまうことになった。

✅46分を超えるアルバムなのに、それが46分テープ(「46」と言ってた)1本に収まると、何とも得した気がした。逆にテープの余ったところにもう1曲入れようとして、途中で切れた時は、何とも言えない喪失感を味わった。

✅「ドルビー」の効果の違いが、最後まで良くわからなかった。BとかCとかあったが。

✅とっておきの曲は値段の高いカセットテープ、「クローム」だの「メタル」だのを使って録った。音量を上げた時の「サッー」というノイズが抑えられていて、びっくりした。


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【カセットテープメランコリー編】

✅テープがたるんでいる時は、鉛筆を穴に入れて巻く。穴のサイズがぴったりで、おどろき!少し鉛筆を斜めにして廻すのがコツ。

✅カセットの上部の「ツメ」を折る(本当に折って、ツメは捨てるのだ)と、録音禁止状態になり、誤録を防げた。でも、そこに、セロハンテープを貼ると、また録音できた。本当にできた。

✅「180」は「巻き戻し」のショックでよく切れた。「120」はよく、ピンチローラーというラジカセの機関部に絡んで、「わかめ」みたいシワシワになった。それを聞くと「ヴィブラート」が思い切り効いて聞こえ、泣けた。

✅ラジカセに装着すると、カセットのA面かB面かの表示が見えず、A面を巻き戻したつもりが、B面を巻き戻していたりして、結構イライラした。

✅「オープンリールテープ」というバカでかいテープを動かすデッキを部屋におくと、それだけで友達にうらやましがられた。また「エルカセットテープ」というテープは、「明治製菓の板チョコ」みたいで、おいしそうだった。


【番外編:FM情報誌】

✅カセットケースを装飾する「カセットレーベル」は、写真が命。その最高峰は、「FM STATION」のレーベルだったと自負している。そりゃそうだ。当時はアマチュアカメラマンなんておらず、みんなプロカメラマンの作品だったのだから。

✅FM情報誌は番組内で放送される曲名が、「全曲」載ってるやつを探した。「…他」なんて表記している情報誌は、「もってのほかだ!!」と思っていた。

✅「インレタ」(転写シール)を使って、カセットケースやカセットに文字を入れた。1文字1文字、貼っちゃ、こすって、貼っちゃ、こすって。まっすぐ貼るのに、ゆうに小1時間。それでも出来上がったら、棚に飾ってニンマリしてた。

人によって、「なつかしー」と思う事は違いますが、ハマるとほっこり出来ると思います。そういう「ほっこり記事」をまた書いてみようと思います。


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