2度目の1人暮らしで初めて沁みるHOME
最近は、清水翔太のHOMEがしんなりと沁み入る、そんな心持ちだ。
実はこの曲。
18歳の頃、地元新潟から大学進学で上京する際に、親父が「この曲は絶対聞け!感動するぞ!!」と言ってCDをプレゼントしてくれた曲だ。
・・・ただし、東京で暮らし始めどれだけ経っても、一向に感動しなかった。
実家は大切な場所だったけれど、子どもの頃の僕が自分らしさを感じていられたのは『実家の中の自分の部屋』であり、その実家を、心の底からHOMEだと感じられていなかったからだと思う。
進学先を東京に絞ったのも、実家から逃げたかったからだ。
それが原動力となり、過酷な受験勉強に励むことができたのかもしれない。
両親から衣食住を満足に注いでもらい、ひたひたと育ったし、自分の部屋にいる間は安らげた。
けれど、『一家団欒の時間』に安らぎを覚えた記憶は、あまりない。
「あれってホントに家族なんだっけ?」と、20歳前後の僕はずっと問いかけ続けていたし、今も、温かな家庭を築くために、家族や家庭について考え、それが行動や言動のベースとなっている。
・・・東京での一人暮らしを7,8年経験し、その後は実家へ戻り、両親と祖母と暮らす生活を5年ほどしてみた。
相も変わらず、親たちのネチネチとした言い争いは絶えなかったけれど、今度の僕は逃げなかった。
それは、いつ会えなくなるかも分からない家族との時間を大事にして、言いたいことを言い合い、しなやかな信頼関係を築き直そうと、"覚悟"を決めていたからだ。
東京で生きる目的を見失い、鬱々としていた僕に光を照らしてくれた両親を、今度は自分が照らそうと決めていた。
さらに、実家から車で15分ほどの場所に姉が暮らしているのも大きかった。
義兄さんや2人の姪っ子たちと一緒に過ごす時間が、何よりの至福。
姉夫婦は、東京からふらふらっと帰ってきた僕を優しく受け入れてくれて、姪っ子たちは、愛することの素晴らしさを僕に教えてくれた。
「女の子だから可愛いでしょ〜?」とよく言われるけれど、そうじゃない。
可愛いから愛するのではなく、愛すると決めているから愛しているんだ。
彼女らがいつか人生に悩んだ時には、何でも相談できる叔父さんとして全力で助けになれるよう、しなやかな信頼関係を育み続けていきたい。
・・・もうじき32歳になる僕は、岡山県の笠岡という土地で1人暮らしをしている。
人生2度目の1人暮らしは、実家や故郷への想いが深まっていると感じる。
「自分が寂しいから」といったホームシックではなく、「自分にとって大切な場所にいるあの人たちは、元気かな?」という、ある種の父性を抱いているからだと思う。
そして、笠岡へ来てから出逢った友達や、ここ数年で出逢った友達。
彼ら彼女らと一緒に過ごす時間が、とても好きだからだと思う。
彼ら彼女らと一緒にいる時の"自分"を、愛しているからだと思う。
僕が僕らしく居させてくれる相手は、心地よく有難い存在だ。
スナックCandyや笠岡で勤めている職場、近所の港といった、『HOME』と感じられる場所もできた。
ところで、ここ最近はお酒で酔いが回ることが多くなってきた。
それは、一緒に呑んでくれる友達に心を許しているからだと思う。
かつて居酒屋店員だった僕は、どれだけ酒場で呑んでも、シャキッとしていてユルさがあまりなかった。
けれど、安心して酔わせてくれる友達や場所が周りに居てくれるから、楽しく酔うことができるんだ。
酔っ払って記憶がなくなることも多々あるけれど…
「あの人と過ごした時間は濃密で心地よかったなぁ」という『記憶』は、こびりついて離れない。
昔は、故郷の家族を頭に思い浮かべても、怒りや哀しみの表情しか出てこなかったように思う。
しかし今は、大切な人たちの笑顔が自然と浮かび上がってくる。
こうした『記憶』があるかないかがとても大事で、僕らのHOMEを、HOMEたらしめるものなのだろう。
今度は僕が、誰かにとっての新たなHOMEになるべく、大切にしたい人たちの笑顔を願い、哀しみに寄り添うことを誓おう。
・・・読んで頂きありがとうございます(*^^*)
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【軟水のたそがれ】
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このnoteは筆者の思想を深堀りするフォトエッセイです。
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