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日本酒と共に想いを酌み交わしたい

お酒を飲みだすと、ありふれた日常が愛おしくなってくるこの感覚は、いったい何なのだろう?

昨日は、ひとり居酒屋で熱燗を呑みながら、こんなことへ想いを巡らせていた。

・・・僕は、日本酒が好きだ。

お酒を飲み始めた頃はその良さが全く分からなかったけれど、23歳くらいから、日本酒の魅力に気づき出した。

そのキッカケは、年末に親父が日本酒を買ってきてくれて、一緒に乾杯したことだった。

当時の僕は、親父と2人で話をすることも少なく、コミュニケーションを取る機会もほとんどなかった。

けれど、「この日本酒ってどこのお酒なの?」と親父に質問し、酒を酌み交わしながらそのウンチクを語ってもらう時を繰り返すうちに、自然と話せるようになっていった。

子どもの頃、親父のことが嫌いだった僕は、「親父が勧めてきたモノ」に関心を向けることはなかった。

けれど日本酒は、僕自身の趣味趣向であり、自分の好きなモノ(日本酒)を通じて、親父のことを少しずつ好きになることができたように思う。

今では、毎年年末に親父と日本酒を乾杯するのが僕らの慣習になっていて、その時期にしか発売されない日本酒を、わざわざ遠くへ買いに行ってくれる親父の姿を見て、感謝が深まる。

昨年末は、実家に帰ることができなくて、寂しかったなぁ。。。

そして、日本酒に興味が湧いてきたことで、僕は『地元』に目を向けるようになった。

『地酒』という言葉があるように、日本酒は、その土地土地に文化として深く根付いている。

例えば、僕が生まれ育った新潟県長岡市では、「乾杯酒は日本酒にしましょう」という条例が存在する。

条例だから、たとえ守らなくとも罰則はないのだけれど、日本で1番酒蔵が多いと言われている長岡市ならではの条例だ。

『地酒』とは、その土地でしか得られない水質のお水であったり、お米であったり、気候であったり…

日本酒の味に多大な影響を与えるものは『大地』だからこそ、そう言われているのだと思う。

ちなみに僕が今住んでいる岡山県は、日照時間が長く、冬もあまり長くない。

一方で、僕が生まれ育った新潟県は、曇り空が多いし、寒い寒い冬の気候が4月まで続くこともある。

だからこそ、寒い時期が長い新潟県では「雪室貯蔵」というお酒の保存方法が編み出され、そのやり方でしか味わえない日本酒が醸されている。

そこには、自然環境という『地』を受容しながら、その上で「どうゆうお酒を造るか?」という造り手の想いがあるはずだ。

土地を背負うことによって、そうした『想い』や『覚悟』が現れ、日本酒に乗っているように感じるから、僕は日本酒が好きなんだ。

日本酒を造る際には、もちろん人の技術も大切だけれど、お水やお米、麹(こうじ)や菌といった『自然』のことを、造り手が理解し受け入れた上で、「じゃあどういった味を目指すか?」という己の『意志』が露になるのだと思う。

だからこそ、僕はその土地に根付く地酒を呑む度に、背景にある風土や人の魅力におもいをはせるんだ。

僕は毎度、日本酒を呑みながらただただ酔っぱらっているだけなのだけれど、その酒場に醸された物語に酔いしれているのも、また事実。

スキな日本酒や、スキな土地に根付く日本酒を通じて、互いの想いを酌み交わしたい。

僕はそう願いながら、しっぽりと酔いを深めてゆく。

・・・読んで頂きありがとうございます(*^^*)

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【軟水のたそがれ】
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このnoteは筆者の思想を深堀りするエッセイです。
※毎週日曜日の夜に更新!

新たな1週間が始まる前に、何か大切なことに気がつくキッカケになれば嬉しいなと思っています!

ゆらりときらめく水鏡のように
他者の魅力を鮮やかに彩る存在でありたい







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