レールの上から、降りてみたい?#44
「マイペースで、いいね。」
って、小学生のころから、言われ続けた。
それは、転校生だったからなのか、下校するときに、いつもみんなとの歩幅がずれたからなのか、給食の時に出てくるしいたけを一個一個取り分けて、わきに残してたからなのか。
大人になってからも、高校を辞めたことや、就職活動をしなかったことや、インドに行ってたことを話すたびに、
レールの上から、降りたんだね。
って、うらやましがられることも、多かったりした。褒めてもらえているようで、うれしかったりもしたけれど、ほんとはちょっとだけ、違ったりもする。
学校に行かなかったんじゃなくて、学校に行けなかっただけで、就職活動をしなかったんじゃなくて、就職活動をできなかっただけで、長すぎる夏休みにすることがないから、インドに行っただけだったりする。
もし、教室に気軽にあいさつをかわせる人がいたら。もし、はたらけるんだという意思と自信ががあれば。もし、休みの日に友だちと会う約束があれば。
ちゃんと、レールの上を歩く力があれば。
「レールを降りたんじゃなくて、はじめから、レールに乗れなかった。」
が、きっと、ほんとなのかなとも、思う。
「社会人になって、なにがいちばんうれしかった?」
って聞かれたら、レールがたくさんあったことなのかな。はたらく場所も選択できて、はたらく内容も選択できて、はたらく人たちも選択できて、もしかしたら、はたらかないという選択も、できたりする。
しかも、星の数ほど選択肢があるなかで、自分がほしい選択肢を自分から探しにいく手段にもなる、インターネットみたいな仕事を偶然選択したなんて、運がよすぎるぞ、自分。
読んでくれた方、ありがとうございます。選択肢がたくさんあったのに、できることが少なかったおかげで、社会人になってからのぼくはずいぶん、ラッキーだったのかな。
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