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Re:自死は悪い事なのか

拙稿をご紹介頂きました。ありがとうございます。希死念慮とは何か、masa matsumoさんと全て一致してはいないけど、それは異なる価値観・人生経験・出来事からくることで自然なことだと思います。

希死念慮とは何なのでしょう。

  1. 喪失感

  2. 悼む気持ち

  3. 無力感(あるいは何か出来たかもと思う気持ち)

  4. 問題がまた起きることを防ぎたい気持ち

  5. この不条理は何なのか理解したい気持ち

①の喪失感と②の悼む気持ちは、私の中では似ているけれど別のものです。「ああ、あの人にもう会えないのだな。半身が失われたようだ」ということと、亡くした方のことを思い巡らせることは、少し違います。
自死遺族としての私は③④⑤も考え抜きました。客観的に小学1年生から小学6年生までの間、父の療養を子どもなりに応援したことが私にとっての(7歳から12歳までの人としての)限界で、40代の父の苦悩や絶望に対して、何も出来なかったことは理解できます。それでも「せめて、私が高校生だったら」など、ifを探し続けました。「何が出来ないことは理解するけれど、何か出来たのでは無いのか?」と、客観視を無効化して感情がループしていますよね。私もどこでもドアがあって、助けられるのなら、何だってするでしょう。でも、ドラえもんはいません。そう理解出来たのは30過ぎてからだから、20年近く考え抜いています。

自死と自死以外の死の違いは、③④⑤と遺族が直面するか、しないかかもしれません。

希死燃料を抱えてこのnoteをご覧になる方もいるかもしれないから、書き添えます。自死を選択なさる局面では、もうご遺族や友人のことを思う余裕は無くなるかもしれないけれど、あなたの不在がご遺族・ご友人に一生ものの爪痕を刻む可能性があるから、精神科の受診を勧めます。病気だとレッテルを貼りたいのではなく、適切な支援ができる専門家がいるから。

精神保健福祉士の業務上、精神障害者の精神疾患の状態、病歴・経歴、その家族関係等の個人の秘密に当たるような事情についても知ることが必要な場合がありますが、一方でこれらの個人情報は不用意に外部に漏洩すると、精神障害者に対する不当な誤解や差別を生みかねません。そのため、障害者のプライバシーを保護し、精神障害者が安心して精神保健福祉士の相談援助を受けられるようにするため、精神保健福祉士には守秘義務が課されています。もし、精神保健福祉士が、相談援助の相手方である精神障害者の秘密を漏洩した場合には、精神保健福祉士の信用を失墜させるだけではなく、精神障害者自身の利益を侵害することになるため、単に登録を取り消すだけでなく、罰則(一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金)を科すこととしています。

7.精神保健福祉士の義務について

精神保健福祉士はPsychiatric Social Workerを略してPSWとお呼びすることもある資格職で、病院に勤務される方の他に、役所(障害福祉課など)やNPOでもお勤めです。引用したのは、守秘義務を明確に負っていることを共有するため。
精神科医ではないけど、彼らは精神科医療と福祉制度に詳しいので、希死念慮の知識や感度も高いです。精神科医が医療の司令塔だけど、医療サービスや福祉サービス、ことに福祉の領域に強いのは精神保健福祉士です。彼らは病院の紹介はしません。
なお、医師・看護師と同じで、「なぜその仕事を選びましたか」と、戸惑う存在は一定の確率でいるから、馬が合わない方と遭遇してもご自身を責めないことを勧めます。

「この不況で経営が困難です。死んでしまえばすべてが解決して楽になるのではと考えています。相談する相手がいません。」(自営)

よくある相談事例 東京都福祉局(精神保健福祉相談(こころの健康相談))

上記のような相談は精神科だけでなく、地元の自治体にも資格・知識・経験のある方がいることと、相談していいのだと知っておくと、自死を選ぶ確率を下げられます。精神科の受診に困難を抱く方も、役所の精神保健福祉士と話すことなら、ハードルが低いかもしれないから共有します。

☝️寄せられた意見は異なるけれど、「放っておけない」気持ちは同じだと、私は読みました。希死燃料は大変な問題で、何人が経験しようとありふれたことでは無いです。でも、多くの人が経験し様々な選択をしたことを知識として得ることは、身を守る上で良いと思います。

ただ僕たちは君に置いて行かれたような、途方も無い寂しさを抱えてる。
そして恐らくそれは一生消えない。

自死は悪い事なのか|masa matsumo

僕は霊能者では無いので、masa matsumoさんの未来を見ることは出来ません。でも、私の経験なら話すことが出来ます。自死した父と同世代になるまで生きて理解したことは増え、父の限界だと自分なりの答えは出しても、引用した部分は私もそうです。

だからね、最後まで君は僕の愛する娘だったんだ。そしてそれは今もそうだよ。これからもずっとね。

自死は悪い事なのか|masa matsumo

ここも共感します。だからこそ、苦しいですよね。どうでもいい存在なら、ダメージを受けたりしないから。

「自死は悪い」と断言できたら、楽だろうと思います。遺族の悲しみに焦点を当てれば、そう発言することも出来ます。だけど、文字通り死ぬほど苦しい立場の方を追い詰めますよね。
なら「自死」に理解を示そうとすると、遺族の無限の忍耐が必要になります。
だから、善悪とは別で、ご遺族の痛みが和らぐことと、死者がもう苦しんでいないことと(宗教観によりますが、苦しむ主体は科学的には存在しません)、そして希死念慮と戦う方が安全を確保出来る方向で、考えたいのが私のスタンスです。

人類史で唯一の存在で、DNAが同じ一卵性双生児も経験は異なるから別人ですよね。それほどかけがえがないことを理解するからこそ、苦しい。失う側・失った側も、もう生き続けることが困難な側も。正解はその方がその方の人生で出すから踏み込めないこと。例えば、私も家族のことをあれこれ言われたら、「何が分かるのですか?」と不愉快に思うでしょう。サバイバルの知識としては、「大切な判断は独りで下さずに、精神科医・精神専門看護師・精神保健福祉士」などの専門家と一緒に、チームで考える選択肢もあることを知るだけでも、身を守りやすくなると思います。

masa matsumoさんに対して、僕は気の利いたことを何も言えないし、他の投稿をnoteのタイムラインで拝見してコメントしようと思っても、コメント出来なかったこともあります。まだ、御息女を亡くされて間もないから、複雑な葛藤があることを察するしか出来ないので。だけど、来年、3年、10年経つと、時間をかけて何かが熟成されることは共有します。

グリーフワークも、ご家族を守ることも、お忙しいと思いますが、時には、お気持ちが楽になる時間も、お持ち下さると、私は嬉しいです。

Thank you for taking the time to read this.