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「『おれの秘密』を読め! 5分だけでもいい」(by 横山剣)

おれの秘密|一般小説作品詳細|NOVEL DAYS
“多層構造的ドタバタSFホラーのような作品です。小説ならではの入り組んだものを書きたいと思って書きました。【骨太小説】コンテストのために書き下ろした作品です。”
https://novel.daysneo.com/works/c4e3045882ea99a8c20781f248b9159a.html
港町・守加護(すかご)でマフィア「天塩商会」のボスの愛人マリに手を出した備後登は、自分の命を見逃してもらうため伝説の殺し屋「デラ富樫」を連れてくることになる。探しても一向にデラ富樫を見つけられない備後は苦肉の策として、売れない俳優・村田大樹を映画の撮影と騙してデラ富樫に仕立てて乗り切ろうと画策する。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B6%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%82%B8%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%A2%E3%83%AF%E3%83%BC

ネタバレすると読む楽しみが減るので、回りくどく紹介しますね。

入り組んだ仕掛けから、三谷幸喜監督の『ザ・マジックアワー』を連想しました。
といっても、「マフィアのボスの愛人に手を出した」から、伝説の殺し屋を探さないといけなくなるとか、「演技です」って騙されて、伝説の殺し屋に仕立て上げられるコメディなので、それぞれ背景が有ります。

・ボスの愛人に手を出す
・やりたい演技が濃くて今風じゃない

などなど。

対して『おれの秘密』に関しては、そうした背景や動機が見えません。「おれの秘密」があるはずなのに、どうして。

場面Aから場面B、場面Bから場面Cと場面転換するのですが、構造が入れ子になってます。場面Bと場面Cに関しては、お互いに入れ子になってる。双方向でなく、後の話ほど入れ子の「外」になってます。

ややこしいのです。
映像化すると、よりややこしさがはっきりすると思います。

全15話を読んで、だんだん書いてないことを読み取り出す人が出てくるし、脳が酔うような構造になっていて、書かれた意味ではなく、作品の中にある情報量でもなく、入れ子構造の活用による特殊な読書体験が本書の魅力です。
おそろしいことに、これ合法なんですよね。

読む薬物。

ナンセンスなSFなので、「ちょっと待て、今、なんて言った」とか「何でそれ知ってるの?」ってなりながら、読み返しつつ進むのも、著者の掌の上ですね。

副作用は無いと思うけど、ご利用は計画的に。

2021/07/03 21:08追記

カクヨムでも公開されたよ!



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