涼雨零音さんのユニゾンは、弾丸6発装填された、読むロシアンルーレットだ(安全で、痛くない)

ユニゾン|一般小説作品詳細|NOVEL DAYS https://novel.daysneo.com/works/ea85a254d1b215c85057652bdbef101d.html

涼雨零音さんの作品。おそらく、朗読不可能な小説だし、著者も仰っているように、コンピュータが無ければ、仮に「規格」だけあっても、膨大な作業が発生するので、事実上手書きでは生み出せない作品です。

作中に出てくるある仕掛けは、読者が読み飛ばすことも計算済みで組み込まれています。

「オレはオレなのか?」

誰もが自明の事として、昨日の私も今日の私も明日の私も同じ私だと思って生きています。ところが、著者の作品世界に行くと、自明だと思っている部分を壊され、唯一無二のはずの自分がそうでもない不条理な世界に叩き落とされます。

タイトルの『ユニゾン』は、音楽用語だけど、読み終えて振り返ると、接頭辞の「Uni」の意味でだいぶ目眩がするかもしれない。私は「なるほど」と唸っています。
http://www.etn.co.jp/etymology/uni/

テスト・フォー・エコー|一般小説作品詳細|NOVEL DAYS https://novel.daysneo.com/works/9db3bdcafa174ffd51da91c9b46ee1f0.html 

👆を振り返っても、自己同一性に揺さぶりがかけられてるし、著者の生み出す不条理には、何故か「私」が絡んでいるのです。著者の出す「オレ・自分・主人公」は、だいたい怪しい。SFならことに。

『ユニゾン』は、悪夢かつ祝祭のような展開、歯の丈夫なミキサーに片っ端から材料を放り込むような展開が用意されている。書き方によっては、不条理なコントになるはずなのだけど、著者が書くと悪夢なんです。笑っていいのか複雑な顔になる、悪夢。

気に入った一説を引用したいけれど、そうしたことはしない方が、この作品をより楽しんで貰えると思うから、ひかえます。

SFが好きな方、もしくは代わり映えのしない日常を抱えた方は、読むロシアンルーレットで安全に脳を吹き飛ばしてみませんか? 弾丸は、1/6じゃなくて6/6の装填です。痛くは無いので、大丈夫怖くない。

読む前と、別人になってるかもしれないけど(ボソッ

2021/07/03 21:10

カクヨムでも公開されたよ!

Thank you for taking the time to read this.