鳥人間コンテストについてはあまり書いていない

7月28日(日)

 長距離飛行の空だ、障子を開けた夫が一言。時刻は五時四十八分、フライトは六時スタートだそう。朝風呂は六時半だというので、十分前くらいに行ったらもう開いていた。一番乗りで露天風呂に行ったら、今は男湯になっている昨日のお風呂の方が見晴らしがよかった。せっかくコンタクトまでしてきたのに残念。わずかに見える琵琶湖の湖面は穏やかに揺れている。ジャグジー風呂で思う存分ブクブクされてたら隣の部屋の女の人が入ってきて無駄にどきどきする。夫が健全な山登り仲間(ただし同室)説を唱えていたが、この時間にゆっくり朝風呂するようでは登山客ではないだろう。久しぶりにまともに湯に浸かってくらくらしてきたので風呂を出て弱すぎるボタンを押してないと止まってしまうタイプのドライヤーで髪を乾かしつつ顔を作っていく。来週アナスタシアを予約しているので、伸ばしっぱなしの眉毛がやばい。人に会う眉じゃない。
 豪勢な朝食の途中、既に会場入りしている友人から時間が早まるかもしれないと連絡が来て、フライトに間に合うかどうかそわそわし始める夫。後で思い知ることになるのだが、人力プロペラ機部門(めっちゃ漕ぐ方)はどのチームがどのくらいの時間飛行するか予測がつかないため、とにかくあらゆる時間が読めないのだ。期待されているチームが早く終わってしまったり、予想を遙かに超える時間を飛び続けることもある。下手すると二時間近く飛んでるらしい。風が止むのを待たなければならないこともある。そんなわけで朝食を切り上げて意味わかんない一方通行の山道を抜けて高速に乗る。
 太陽から逃れられそうにない会場は、アリーナ規模のコンサートとかサッカーの試合とかよりも全然混んでいなくて、比較的まったりしている。ニッチな全国大会、と呟くと、いきなり全国だからね、と夫が拾ってくれた。各校の待機場所付近の木陰には、OBやOGをはじめとする年代も様々な観戦者が陣取っている。母校の学生たちが飛行機を組み立てている後ろで、集まっている同期や先輩後輩その家族など誰が誰やら分からないけど挨拶、やっぱり見事に全員メガネ。子は抱っこに飽きたようで歩きたがっている、プラットホームの近くまで歩いていく。浜辺から木の板に繋がって坂になり、坂の途中でいくつかの飛行機が待機している。この炎天下で、前のチームの飛行距離が読めない中、一年間かけて大事に作ってきた飛行機を壊さないように待っていることは容易ではない。テレビではパイロットばかりが注目されがちだが、それを支える何十人一人ひとりのことを勝手に想像して勝手に泣きそうになる。夫の一学年後輩だという女の子とお互い子連れということもあり湖水浴させつつ会話、今も昔もお祭り騒ぎというか現役のときは言われるがままにやってたという話をしていて、私の想像とはかなりの温度差。大人数の集団なのだからガチで命懸けてる人からただみんなで何かするのが好きな人まで色々だよねそりゃあ。経験のない世界だとみんなガチなんじゃないかと思いがちなのよくないけど、どうしてもそう思ってしまう。
 テレビの放送まで時間があるので(今年は八月二十八日だそう)大会結果とか記録とか詳しいことを書くと消されるらしいので割愛するけれど、せっかく行ったのでよくテレビに映る一般応援席に上ってみた。遮るものがなくて死ぬほど暑いのに場所取りしてる人もいてどうしたらあんな劣悪な環境に一日中いられるのか本当に疑問。絶妙な消耗と子が心配で母校のフライトは見ずに退散。結局子が一番元気で、大人は疲れ切っていたのでした。昨日買わなかったたねやのバームクーヘンとオレンジケーキとリーフパイを買い、酒屋で来週ぐりこに飲ませる生酒と父の土産を買って帰路。

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