女にしか埋められない穴もある(ただしそれを娘で埋めてはいけない)

11月18日(月)

五時半、母の声で目覚める。早起きしなきゃいけない意識はあって、三時、四時半と目が覚めたのだけれど、睡眠リズム的に次は六時だった。六時出発を予定していたので、ちょっと間に合わなそうだけど即起きて支度を始める。母と二人、洗面所で化粧をしているときに、五年前から欠かさず同じ神社にお参りに行っているという話をされる。そのことは知っていたし別にそれ自体は全然どうでもいいのだけれど、五年前というのは私の大殺界で親にも心配をかけた時期でそれもわかるのだけれど、それを私本人に言う必要ある!?という気持ちでいっぱいになってしまい、せっかくこの二日間いい感じに過ごせていたのにやっぱりダメなやつかと思っていると、お参りに行き始めてからうちにはいいことしかないとか言ってるので抑えめに抑えめにそういうの人に言わない方がいいよと言うと、あんただから言ったのよ、出た、母のあんただから言うにろくな話がない説!となってまじでげんなりして話すの止めてアイシャドウを気が済むまでラメラメにした。ラメゴミ民だけど気にしない。下まつげはピンクにした。

心に闇を抱えたまま出発、車移動中も思い返しモヤりが止まらなかったのでぐりこにLINEすると「脛の傷の話は本人がしてきた時か話の流れで行き着いてしまった時以外するべきではない」「母娘は距離感間違えがちというか自他の区別が難しそう」という超的確な返信が来て少し溜飲が下がる。将来私が子に同じようなことしたり言ったりしそうになっていたら絶対に止めてほしいとお願いした。自戒はするけどどうにもならないこともあるので、お互いに言い合える友達本当に大事。

荒んだ心のまま見た早朝の紅葉は本当に綺麗で、両親も楽しそうで良かった。去年も同じ場所に来ているのだけれど、去年は靴も履いていなかった子が走り回ったり落ち葉を拾ったりしているのも感慨深い。来年はこの土地にはいないのでもう一生来ることはないと思ったけど、いいところではあるので忘れた頃にまた来たい気もする。写真の取れ高がすごい。

日帰り出張でうちから三十分くらいの最寄りの新幹線駅まで来るというふしぎちゃんと待ち合わせてランチ。その間夫と両親で子を見ていてくれるということで身軽。新幹線の改札前で待っているけど、少し大きめの在来線駅の改札くらいの大きさ。久しぶり、と思ったけど夏にも会ってるのでそんなに久しくなかった。駅から歩いてすぐのカフェで今日のおばんざいランチを食べつつ二時間がっつり話す。朝の母との一件があった直後に友人と会って話ができたのがとてもありがたかった。ふしぎちゃんの子に会いたい気持ちはあるけどできれば子なしで会いたいのはどうしてだろう?と言ったら、子が生まれる前からの子を交えていない関係性だからじゃない?と言われて納得。例のハロウィンパーティーの写真も見せてもらう。お互いにぐりこが載った『エトセトラ』を読んでいたのに、その話までたどり着けず残念。帰りにちらっと子を見せることができた。子は固まっていたが、ちゃんとバイバイと手を振った。

両親を見送り家に帰ると脱力、夫に掃除機かけてほしいと言いつつ私はもう頑張れない。概ね楽しく過ごせたけど、人が来るという非日常は気持ち的にも体の面でも疲れる。トトロを観ながらミスドのピカチュウを食べたり。夕方のEテレでやっていた連れ去りの再現VTRが怖い。

男にしか埋められない穴がある、って何に出てくる言葉だったっけ、多分大学生の頃に流行った小説か漫画か映画?と思って調べたら男じゃなくて美人にしか埋められない穴でした。モテキ。最近本当に女友達と話すことのありがたみを切に感じていて、ふとしたときに連絡を取り合えたり、帰省するときに会いたいと言ってくれたり遠いのに会いに来てくれたり、そういうのがあってここで死なずに生きてる気がする。もしかしたら母は私をそういう風に思ってるのかもしれないと思うと少し優しくなれる気もするけど私は友達じゃなくて娘なので友達は外注してほしいし私も娘にそれを求めてはいけない。女(友達)にしか埋められない穴は確かにある、けれど娘にそれを求めてはいけない。三十年後の自分に向けてここに書いておく。

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