選択
生活するためにわたしたちは日々、その時々、選択を強いられている。
ルーティンだって選択だ。
その、いつもの流れの通り、事を遂行するという選択。
朝起きる起きないだって選択だし、朝ごはんを食べる食べないも選択。
なんでも選択だ。
天才を天才という言葉で終わらせてはいけない。
なぜあの人たちは天才なのだろう。
言葉選びの秀逸さとか、聴き馴染みやすいメロディだとか、安いギターなのに高そうに聞こえるとか、
そこに至るまでの日々の努力、ひたむきさを尊敬すると同時に、わたしは捻くれているので妬み嫉みをする。
だが、日々、その時々、選択なので。
あの空いた時間にギターを触らなかったのはわたしだし、頭に浮かんだ言葉を消したのもわたしだし、
ライブに出ないかと誘われたのを断ったのもわたしだ。
わたしはただ単に「やらない」という選択をしただけのこと。
彼女が泣きながら曲を書いた日々、わたしは食っては寝てバイトをしただけのこと。
後悔ばかりが募る日々をわたしは選択しただけのこと。
テレビの向こう側で、
アリーナのステージで、
泣きながらありがとうと話した彼女は知らない人になっていた。
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