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孤高の戦士の物語――LIVE EXPRESSセトリ論

※当記事は「NANA MIZUKI LIVE EXPRESS2019」のネタバレを含みます※

■LIVE EXPRESSとは

絶賛開催中の水樹奈々夏ツアー。いよいよ本日千秋楽!
「EXPRESS」は特急、急行ではなく、「配送」や「表現する」という意味でつけたタイトルとのこと。そのためツアーのコンセプトは「想いを届ける」「気持ちと気持ちのぶつかり合い」というところに置いているそうです。

千秋楽は久々のマリンスタジアム。さらに今ツアー唯一のスタジアムモードということで、一体何が起こるのか……
緊張のあまり、眠れぬ前夜を過ごしております。

■題材

ここで取り上げる楽曲は以下のみです。(数字は曲順)
 - *Naked Soldier(3)
 - *革命デュアリズム(3)
 - *REBELLION(6)
 - PROTECTION(14)
 - *UNBREAKABLE(17)
 - suddenly〜巡り合えて〜(18)

セトリ全体の解釈ではなく、ここを切り取るとこんな見方ができるよ!という妄想の産物です。あらかじめご了承ください。

■孤高の戦士の物語

さて、*をつけた4曲には、それぞれ何かと戦っているという共通項があります。

「Naked Soldier」はタイトルからして「soldier」です。 命を賭してでも「世界」を守るという覚悟を決めています。
「革命デュアリズム」もタイトルに「革命」とあります。革命を起こす理由は文脈理解に頼るところが大きいのですが、強いて挙げるなら「変わらぬ明日」に抗うためでしょうか。
「REBELLION」は文字通り「反逆」。「終わろうとする世界」を救うため、「楽園を取り戻」すための戦いです。
「UNBREAKABLE」は他の曲ほど殺伐としていませんが、曲中に「soldier」という単語が登場します。これは「大切な人を護るため」とされています。

共通項を踏まえたところで、始点に置きたいのが「革命デュアリズム」です。
「デュアリズム」というのは二元論のこと。革命は「君」と「僕(便宜上の主人公格)」どちらかだけの戦いではなく、2人が起こしたものであることが読み取れます。

しかし、歌詞に「どんな人生だっていつかは交じり合う」「迎えにゆくから」というフレーズがあることから、どうやら今は離れた場所にいるらしいということも分かります。

もう少し詳細に見てみましょう。
出だしに「伝説の朝に誓った」とあります。この意味がsweared by  in the legend morning(伝説の朝にかけて誓った)ではなく、sweared in the legend morning(伝説の朝に誓った)とすると、このときは2人が一緒にいて誓い合った、と読めます。
しかし「伝説の」ということは、それははるか昔のこと。
「愛が伝承」という歌詞にあるように、遠い昔に愛し合っていた2人が、時代を経て離れ離れになってしまった。それでもなお互いへの愛を抱き続けている。

愛する人に会えない、そんな「変わらない明日」を打ち壊すべく、2人はそれぞれ革命を起こすことを決断します。

「革命デュアリズム」はデュエット曲ということもあり、「君」と「僕」2人ともが描写されていました。しかし、それ以外の曲では、戦っているのは「僕」1人のようです。

何故なら、2人は離れ離れだから。
革命を決意した「僕」は、鼓動が胸を叩くままに、戦いの旅へ出ます。

そう、これは「僕」が「君」に出会うまでの、孤独な戦いの物語です。

■いつだってここには見守る僕がいるから

さて、ここで14曲目の「PROTECTION」を参照します。

「革命デュアリズム」では「変わらぬ明日に抗う」ために革命を起こしたと上で述べました。そして「PROTECTION」には「勝ち組の目がまだある」「変わり始めてく明日を迎えよう」という歌詞があります。
まだまだ革命の最中、僕が「長い夜明ける日」のために必死で戦っている姿が目に浮かぶようです。

では大サビをご覧ください。

君も忘れないで 必ず僕達は
勝ち組の目がまだあるから
理解されない 悲しみと苦しみ
はね除けてね いつだってここには
見守る僕がいるから

僕も忘れないよ 必ず僕達は
勝ち組の目がまだあるから
見付けてくよ 自分に出来る事
大切だね いつだってそこには
見守る君がいるから
誰もが誰かに守られて行くよ

「見守る僕/君」とある通り、「君」と「僕」は相互に見守り合っています。しかしまだ戦いは終わっていない=2人が出会えていないことから、精神的な繋がりであることが伺えます。
「僕」はまだ孤独な戦いの中にいるけれど、確かに「君」の存在を感じている。そして、「君」も同じように。
「大切な人を護るため」「かならず叶えたい夢」があるから、2人は戦い続けます。

■君がいるから自分を誇れる

次に参照するのは18曲目「suddenly〜巡り合えて〜」。
ここまで読んだ方はもうお気付きでしょう。

デュアリズムのときは離れ離れで、「どんな人生だっていつかは交じり合う」と未来に願いをかけていた2人が、やっと「巡り合」うことができました。

「PROTECTION」では精神的な繋がりのみでしたが、こちらでは

振り向けば君がいて 知らぬ間に守られて

とあるように、「君」の実体が確認できています。

「君」が「僕」を、「僕」が「君」を守るために戦ってきたことをお互いが知り、心から「笑顔でいられる」ようになった。
時代を越えた長い別離を経て「初めて二人でいる」時間を「アタリマエに過ごせてる」と喜ぶ姿は、なんと健気なことでしょうか。

革命によって「何かが変わりだ」したのは間違いありません。
これから2人で過ごす未来は、決して「コワレてしまう夢」ではないのです。まさにUNBREAKABLE。

そして2人は「伝説の朝」の「想い出を塗り替えて」「いつまでもいつまででも並んで行」くのでした。

めでたしめでたし。

■千秋楽開演まであと12時間

「革命」とか「世界」とか規模が大きいので話がふくらんでしまいましたが、いかがでしたか?
少しでも千秋楽を楽しむ余地が広がったら幸いです。

ではまた!

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