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トシを取ってできないことが増えると、生活がシンプルになる

腰痛がないのが自慢だったのに…

1か月ほど前から腰痛がひどくなった。とくに椅子から立ち上がるときは身体が二つに裂けそうなほど痛い。もともと座りっぱなしのことが多い仕事だから、腰痛になる原因はいくらでもあるのだが、仕事仲間が腰痛に悩んでいるのがピンと来ないほど腰痛とは無縁で、それが数少ない自慢の一つでもあった。それが突然、こんなに痛くなるとは。

仕方なく近くの総合病院の整形外科に行った。担当の女医さんのレントゲン診断によると、加齢とともに脊髄が圧迫されて、それを囲む背骨の角が歪み、精髄神経を痛めているのだという。なるほど内腿までしびれが走るから、これはそのせいなのだろう。「治ります?」と訊くと、年齢的にむずかしいのだそうだ。これ以上、痛くならないように、お尻が沈み込むようなソファに座るのは避けたほうがいいとアドバイスを受ける。ということは、まあこの痛みとは辛抱強く付き合うほかないのだろう。

これだけ痛いと、重いものを運ぶのはかなりきつくなる。階段の昇り降りもけっこうしんどい。もう飛行機に長時間乗って旅をするなんて無理かもしれないと思うと、さびしくなった。

原因はソファだった

ところが。

お尻が沈み込むほどではないにしろ、いつも使っているソファに座るのをやめてみると、かなり痛みが和らいできた。ほかに原因が思い当たらない。なんだ、そんなことで腰痛がひどくなっていたのか。もちろん完全に痛みが消えたわけではない。でも、身体が裂けそうな、このまま身動きできないのではないかと悲しくなるような痛みはなくなった。これだけでも、かなりうれしい。

昨日、腰痛の原因となったソファを粗大ごみに出した。もう何十年前からあるのかわからないほど古いもので、ひじかけの部分は布が擦り切れていた。それほど愛用していたのだ。コロナ禍でリモート勤務になってからは、かなり多くの時間、このソファに座って仕事していた。その堆積が腰痛となってあらわれたのだと思う。長い付き合いとなったソファが、粗大ごみ回収トラックに投げ込まれるのを玄関前で見届けた。本当にお世話になりました。

ソファがなくなると、その分、部屋が広くなる。移動がラクだ。ものが片付いて、生活がシンプルになるような気がする。ソファに座れなくなるなんてことは序の口で、今後も加齢で身体が衰えていくたびに、できないことが増えるだろう。それを悲しむのではなく、それだけ余計なことをしなくて済む、生活がシンプルになると思えば、気分が晴れやかになるかもしれない。

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