見出し画像

定年後に株式投資を始めるのはどうなんだろう

株であっという間に一儲けしたい悪魔の誘惑

株式投資を35年ほど続けている。1990年頭に始まるバブルの崩壊、金融機関の連鎖倒産、ネットバブルの崩壊、リーマンショック、東日本大震災、新型コロナと、相場の暴落を何度も経験した。最初のうちは堪らず持ち株を売ってしまうこともあったが、それで得た教訓は、「株は長期で持て、持ったら売った者負け」だ。

…などとエラそうに書いてみたけれど、でもやっぱり株で短期に一儲けしたい、そのアブク銭で普段使いはムリな高級寿司屋に行きたい、といった欲望は人間の本能につけ込んだ悪魔の誘惑みたいなもので、私も欲にかられて博打を打ってはやられている。しょせんは小心者のケチな博打なので傷が浅いのが幸いだ。

先日、FBの株式投資のグループに参加してみた。その投稿の一つに、ある定年後の方が、年金だけでは遊ぶお金がないので、2年前にネット証券の口座を開設し、値動きの大きい銘柄のデイトレをしているが、最近、合わせて100万円くらいの損失を出したというものがあった。しかも一度はスマホアプリの操作を誤ったというのだ。

株のデイトレで毎日、小遣いをつくりたい。この誘惑も株式投資の魔力だ。それができたら夢のような生活ができるかもしれない。実際に幸運も手伝って億単位の儲けを出せる人もいて、リーマンショックの前ではあったが9億円のお金をつくったという若い男と酒を飲んだこともある。

でも、それは例外中の例外だ。向こう水な博打で大当たりする人はギャンブルでも宝くじでもいるが、その程度の確率しかない。ましてや年金を補填するために値動きの大きな銘柄をトレーディングするのは、ものすごく気持ちはわかるけれど、誰か止めたほうがいいと思う。

長期と短期で運用を分けた結果は

私は、かなり頻繁に取引する口座、まずまずの頻度で取引する口座、バイ&ホールドの3つの口座に分けて運用してきたが、額も含み益も大きくなったのは最後の口座だ。かなり頻繁に売り買いする口座は金額も少なく、実現損益はトータルでマイナス。

つまり、まったく身も蓋もない言い方をすれば、株式投資は、ある程度まとまった金額を、値動きは少ないが大企業の株に10年単位の長期投資をするのが、私のような特別の知識も情報もない人間にとっては、最も投資の見返りが大きい。だから、定年後に株式投資を始めるのは、退職して無給になってしまったらむずかしいと思う。損失を取り戻す方法がないからだ。なんだか夢のない話だが、長く続けているとそう思う。だから子どもにはETFでもいいから早く投資を始めるように言っているのだが、多忙を理由に聞く耳を持たないのだから困ってしまう。

この記事が参加している募集

#お金について考える

37,253件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?