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真夏のソラに仰ぐ

僕は見た。
マンションの窓から見た光景はとても凄いものだった。
空一面に紫色の大きな星雲のような、いや星のようなまるで生きているかのごとくソレはそこに存在していた。
僕はただソレをずっと眺めているだけだった。
なつみが言った。
すごいね。みんな見ているよ。

僕は唖然となりながらもスマホの電源を入れ写真を撮ろうとした。でもなかなか撮ることができない。
そうこうしているうちにその雲が消えてしまった。あれは一体何だったのだろうか。

もうそろそろ僕は帰ります。
忘れ物はないようにね。
なつみの父が言った。
昨日はどうもありがとうございました。急に押し掛けてしまって。
いいんですよ、うちは賑やかなのが好きなので。

また外を見た。
外は雨が降り出しそうだった。
お腹がすいたなぁ。近くに何かないの。

近くには、カプリチョーザがあるよ。
お父さんが好きなの。噛まなくていいから。

うわー雷が鳴ってきた。なつみの弟がいた。お前は雷が嫌いだからなー。なつみの父が楽しそうにいった。
家を出て7分でつけるよ。なつみはもう出かける準備ができているようだった。

家を出ようとまた空を見上げた。
今度の空は、まるで銀河の中にいるようなそんな深い色に包まれていた。
早く!信号変わっちゃうよ。なつみの右手を掴み、私は走り出した。
でもすぐに手を離してしまった。
そうだ。まだ僕たちはそこまで仲良しではなかった。なつみの方を見ると少し照れて笑っていた。

白いワンピースとショートヘアが似合うそんな彼女。食事に行くことも忘れて見とれてしまっていた。

おわり

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